第 3 章 海底ケーブル敷設に伴う課題
第 1 節 海外事例
2. 国際連系線に関する法令の整備
国際連系について KEPCO はロシア、中国、日本とを結ぶスーパーグリッド構想を検討している。
KEPCO は、国際的なスーパーグリッド構想を韓国国内の需給ひっ迫問題を解決に資するものであり、
電力セクターの輸出を促すことで国内産業の発展を視野に入れた中長期計画として検討している。また、
参加国にとっては、より効率的な電力のやりとりが可能となるとともに、水力やガスなど地域のエネル ギー資源のさらなる活用、風力や太陽光など新エネルギー、再生可能エネルギーの活用を可能とするこ とで更なる成長の可能性をもたらすものとしている。全体計画として1.当該国間でのエネルギー会議
(エネルギーWG)の発足、2.モデル計画と提案、3.FS調査の発足、4.投資計画の策定、5.連 系ビジネスの開始。という段取りで検討されている。この中では長期の不確実性を考慮したフェーズを
電圧 区間 亘長
(km) 運開年 Sinanseong-Singapyeong 79 2010 Singgori-Bukgyeongnam 180 2012 Gangwon-Bukkyonggi 260 2019 Gangwon- SinUljin 260 2019 Seoanseong branch 11 2010 Singapyeong- Sinpocheon 130 2011 Sinpocheon-Sindeokeun 104 2011 Sinchungju branch 87 2011 Gunsan -Saemangeum 56 2012 Bukgyeongnam 1st branch 68 2012 Bukgyeongnam 2nd branch 120 2012 Sinkimhae-Sinnoksan 40 2012
Seonsan branch 86 2013
Dongulsan branch 48 2013 Sinulsan-Sinonsan 16 2013 Sinyangsan-Dongbusan 20 2013 Sindeokeun -POSCO 108 2015
Sejong branch 40 2015
Sinbupyong#2-Youngseo 32 2016 Gajeong-Sinbupyong#2 23 2016 Bukkyonggi-Sinuijungbu 50 2019 Bukkyonggi-Sinpocheon 10 2019
#2HVDC 100 2011
Chungnam-southern Kyonnggi 7 2016
#3HVDC 100 2016
Sea surface wind power HVDC 70 2018 765kV
345kV
DC
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踏まえた実用的なアプローチ、政府と電力会社を含めた当該国間でのエネルギー会議の発足、技術・経 済・政策の専門家グループの発足を考慮すべき点としている。
図 1-57 KEPCO の掲げる北東アジア Super Grid 構想と隣国との連系構想
(出所)KEPCO資料
KEPCOでは隣国ロシア、日本、中国との連系にそれぞれ具体的な狙いを定めて、国際連系の計画を
検討している。韓国‐ロシア連系は、ロシアの豊富な資源の活用、韓国‐日本連系は、最も近い国との 連系、韓国‐中国との連系は多様な連系ルートの確保という狙いを定めている。この中で北朝鮮につい ては後述する第二次エネルギー基本計画で示されるように政治的な論点がクリアできればというただ し書きで検討している。それぞれの計画の進捗段階は以下の表のとおり。
表 1-21 KEPCO の隣国との国際連系計画の進捗
連系 論点 内容
韓国-ロシア
計画概要 ・想定距離:1,000kmウラジオストック‐北京畿道(北朝鮮経由)
・連系システム:HVDC 500-800kV 進捗 ・2012年より連系のFS調査を実施中 検討事項 ・特別区域の通過に係る不確実性
・当該三国の合意
韓国-日本
計画概要 ・想定距離:250km韓国‐北九州市
・連系システム:HVDC 500kV
進捗 ・2012年より連系のプレFS調査を実施中 検討事項 ・商業ベースでの事業の推進可能性
・両国区域での漁協権に関する論点
韓国-中国
計画概要 ・想定距離:350km青島‐仁川
・連系システム:HVDC 500kV
進捗 ・KEPCO CEOと中国国家電網 議長がWEC2013で会談
・Pre FSを実施
検討事項 ・漁業区域での詳細調査
(出所)KEPCO資料より作成
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国際連系の事業推進にかかる具体的なアクションとして、韓国電力とInter RAOが2009年に国際連 系について MOU を結んでいる例などがある。同 MOU では、ロシア、韓国間の送電線建設にかかる FSが検討されており、4,000MWの容量で両国を結ぶ計画がある。事前調査では同計画には12億$程度 の費用を要すると見られている。
2013年11月13日には韓国電力公社は共同研究を通して将来のスーパーグリッド計画の検討及び最 適なルートの選定等を目的としてロシアの民間の発電・金属・採掘事業者であるEn+、新設の理工大学 であるSkolkovo Institute of Science and Technology (Skoltech)とMOUを締結したと発表した63。更 に、2014年2月19日には、Inter RAOと、韓国ロシア電力系統連系妥当性共同研究推進に向けた覚書
(MOU)を締結したと明らかにした64。電力需要の急増を想定し、リードタイムを要する発電所建設の 代わりに国家間電力取引で問題を解消するなど、効率的な電力利用が可能になることを目指している。
両社は今後、最長3年間かけ電力系統連系の技術性と電力交流に伴う経済性などを検討し、事業推進の 是非を決定する計画。発表に合わせて、韓国電力は国家間の電力系統連系は各国の経済的利益追求と電 力供給信頼度の向上に向け、古くから欧州や北米地域で施行されてきたことを紹介し、今回の研究には、
新技術の高圧直流(HVDC)技術を適用する予定であると説明している。
KPX では国際連系にかかるシンポジウムを開催しており、各国での事業機会や、情報交換などを進 めている。KPXは2005年から実施しているソウル国際電力市場会議(SICEM)、世界電力取引協会の 年次総会も開催を含む各種国際会議を開催している。KPX は国際会議などを通して、各国が抱える電 力セクターの課題等に関する情報交換を進めることで各国組織とのつながりも強めている。2007 年に は米国 PJM と業務提携を結び実質的な協力関係を深めてきている。業務提携は拡大しており、現在で は6カ国11組織と提携を結んでいる。日本との関係においては電力系統利用協議会(ESCJ)、電力中 央研究所、九州電力と提携しており、定期会合を通してシステムの安定性と効率化に関する議論を深め ている。ESCJとは2006年以降、計7回、九州電力とは2004年以降、計12回の会合を持っている。
63 http://finance.yahoo.com/news/en-kepco-skoltech-study-integration-020000487.html
64 韓国ロシア電力系統連系妥当性共同研究については第二次エネルギー基本計画にも記されている。
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表 1-22 韓国卸電力市場(KPX)の業務提携先一覧
(出所)KPX,HP資料より日本エネルギー経済研究所作成
提携先 Date
インド電力取引所とのMOU 2012年6月
ASEAN諸国とのMOU 2010年8月
イラン系統管理会社とMOU 2010年5月
シンガポールエネルギー市場(EMC)とMOU 2010年1月
シカゴ気候取引所(CCX)とMOU 2009年6月
PJMとMOU 2009年6月
RTE(フランス) 2007年12月
PJM(米国) 2007年3月
EVN(ベトナム) 2006年10月
電力中央研究所(日本) 2006年10月
電力市場会社(PEMC:フィリピン) 2006年6月
電力系統利用協議会(ESCJ:日本) 2006年5月
アルゴンヌ国立研究所(米国) 2005年12月
九州電力(日本) 2005年3月
電力卸市場管理会社(アルゼンチン) 2005年1月
CAISO(米国) 2004年4月
ERCOT(米国) 2003年2月
86 5. 国際連系線とエネルギー戦略の関係
2010年12月に発表された第5次長期電力需給基本計画には2010年から2019年までの765kV系統、
345kV系統の増強について具体的に計画が発表されている。さらに、2013年2月には第6次電力需給
基本計画が発表されており、電力需給にかかる基本的な方針が示されている。送変電設備および国際連 系にかかる記述は以下の通り。
(1) 第6次電力需給基本計画(以下抜粋)
Ⅶ.送変電設備の計画の推進方針
本計画で定めた拡充基準に基づいて長期送変電設備の計画を策定し、電気委員会の審議を経て確定·
発表する。
●基本方針
○電力系統の信頼性向上
送変電設備を適時拡充し、電力需給に及ぼす影響を最小限に抑える
電圧安定度の向上など、送変電設備の電力供給性能を確保
信頼性と経済性が調和した送変電設備の計画策定 発電所の連携系統の安定性を強化
電力系統の限界送電容量を考慮して、最適な連系点を選定
接続線路の建設条件を考慮して、発電所の系統連系方案を樹立
新規立地発電所は、接続線路少ない竣工を優先的に考慮
*主な大規模電源などの系統構成案については外部の専門家グループの諮問を活用する。
注:送変電設備の電圧別の役割
(765 kV設備)大規模電源による大容量負荷の密集地域間の電力輸送
(345 kV設備)地域間幹線系統網の構築や都心の大電力のサプライチェーンの確保
(154 kV設備)345kVの供給区域内の系統構成や配電系統の電力供給源となる
Ⅷ.管理計画
●信頼性および設備の運用管理の計画
○先進国レベルまで電力系統の信頼性を向上:系統信頼性管理機構を設立し、系統運用人材の育成と技 術力の向上に誘導する
管理機構の設立:先進国型の電力系統の信頼性管理システム構築のための「電力系統と機器の 信頼性機構」設立
- 系統及び設備の信頼性の監視調査を行う。評価管理などを実行する海外の事例:(米国)
NERC、(英国)National Grid、(日本)電力系統利用協議会
- '13年以降は、先進国レベルの電力系統の信頼性基準を制定、電力系統を安定的に運営する
人材育成、技術力の向上を促進:系統オペレータ「専門技術資格制度」を新設し、技術力の向 上を促進する
○発電設備の安全性の強化:電気設備管理の強化等を通じて発展設備の安全性に対する国民の信頼回復
電気設備管理の強化:電気設備の調査および故障診断、許可期間延長のための基準の強化、老
87 朽設備のメンテナンスや点検大幅に強化
低品位炭の使用基準の策定:低品位炭の過剰使用を制限するため定格出力運転と低品位炭の使 用基準を策定
●送変電設備の計画と制度の改善
○送変電設備の詳細計画:送変電設備計画を別途策定·施行
首都圏と西部圏など発電力が集中している地域の信頼性向上、系統不安に起因する大規模な供 給支障と広域停電発生防止策、東海岸の大規模な新規発電力の供給のための接続機器や系統の 補強案を含む
○送変電周辺補正強化:送変電設備周辺地域支援基準などを新設し、送電建設環境の改善
電気事業法の補償範囲の拡大および送変電設備周辺地域支援法制化の検討だ。需要管理の強化
○需要管理総合対策の策定:エネルギー価格の正常化とエネルギー効率向上支援の拡大を通じた市場と 制度による需要管理システムの構築
エネルギー需要管理の拡大策を検討、エネルギー利用合理化基本計画等に反映し、電力産業基 盤基金活用など需要管理の財源調達方案を講じる。温室効果ガス削減計画の事後管理を行う
○履行状況のチェック:設備建設の意向を評価する際、各事業者が策定した温室効果ガス削減計画の実 施状況を定期的に点検する
○建設工程の体系的管理:建設工事の点検を定型化して電気設備の建設現況管理システムを構築
(2) 第二次エネルギー基本計画(以下、抜粋)
2014 年1 月には第二次エネルギー基本計画が発表されており、韓国の総合的なエネルギー政策の基 本方針が示されている。同計画において送変電設備および国際連系にかかる記述は以下の通り。
●合理的な送電網計画•運営
電力系統の安定性と社会的受容性を高めるための送電線路計画、建設のプロセスの切り替えが条件
○4か所の発電所の設備容量の増加、電力需要の大都会の集中化によって送電線故障時の広域停電のリ スクが増加
○系統運用管理の責任はKEPCOが担う。しかし、分散電源の普及により責任の所在が不明確な点が出 てきている。このため、事故防止と発生時の対応の限界(中立的監督機関がなく、プレイヤーと規制 が混在し、系統安全より収益性の主になる場合があるため適切な管理が課題)
①送電線の新規建設時の受容性を高める
○超高圧送電網の追加建設が避けられない場合には、HVDCの地中化等の補完対策を推進
(HVDCは、距離の制約が少なく電磁波の発生がほとんどないため社会的受容性が高いが、国内では実 際の経験などが不足)
HVDC技術の自立化と特性に応じた系統制御•運営戦略を策定、