1 主題設定の理由
平成27年度県学力診断のためのテストの結果を分析すると,全ての学年において数学的な考え 方と知識・理解を問う問題における誤答率や無答率が高いことが分かった。平成28年度学校教育 指導方針における確かな学力を育む教育の推進として,算数科は「知識・技能の確実な定着と数学 的な思考力・判断力・表現力の育成」が明示されている。その中で,具現化のための取組の1つと して,「説明し伝え合う学習活動の充実」が掲げられている。また,本校でも学力向上に向け,「学 び合いを通して,自ら学び続ける子を育てる」ことを目標とし,その中でペア学習や少人数による 話し合い活動を充実させることを単元計画に位置づけている。
そこで,本年度は算数科において説明し伝え合う学習活動の充実を通して,知識・理解の確実な 定着と数学的な思考力・判断力・表現力を育成したいと考え,本主題を設定した。
2 研究のねらい
説明し伝え合う学習活動の充実を通して,知識・理解の確実な定着と数学的な思考力・判断力・
表現力を育成する算数科学習の指導の在り方を究明する。
3 研究の仮説
説明し伝え合う学習活動を充実させることで,知識・技能を確実に定着させ,数学的な思考力・
判断力・表現力を児童に育成することができるであろう。
4 主題に迫るために
(1)児童の実態把握と分析
4月に6年生が行った全国学力・学習状況調査を全職員で採点し,本校の児童の実態を把握し た。そこで,本校の児童の課題として,単元としては「小数のわり算」や「割合・百分率」の結 果が低いことが分かった。わり算の意味(商は何を表しているのかなど)やわり算の確かめ方,
答えの見積もりなどが分かっていない。整数の時からのわり算でしっかりと押さえていく必要が ある。また,同じく「割合・百分率」も割合の意味の捉え方ができていないので,「全体に対して どれだけなのか」や「何を基の1にしているのか」ということについて理解できていないことが 分かった。そこで,算数は内容の系統性や学習の連続性が特性であるので,この分野で力を付け ていくために下学年から関連している単元を洗い出し,授業改善を行っていくこととした。
(2)伝え合う学習活動の充実
右に示した「阿見町スタンダード」を土台に算数科の授業を進め ていく中で,伝え合う学習活動を充実させていくために,アクティ ブラーニングの視点にたった授業を行うことが重要であると考え,
学習過程の工夫を行うこととした。そのために,特に次の3つに重 点をおいて授業を展開していくようにした。
① 児童が学習課題をつくるなどの課題提示や問題提起の工夫
② 自力解決やまとめの場面で自分の考えを書く時間の設定
③ 自分の考えを伝え合うペアやグループでの活動に重点をおい た授業スタイルの確立
(3)その他の取組
知識・理解の確実な定着と数学的な思考力・判断力・表現力を育成していくためには,子ども 達の学ぶ意欲を高めていくことも大切である。そのために,学習して身に付けたものを日常生活
<阿見町スタンダード>
① 問題提示
② 見通し
③ 自力解決
④ ペアやグループ交流
⑤ 全体での比較検討
⑥ まとめ
⑦ 適用練習
⑧ ふりかえり
に活用できることに気付いたり,算数のよさを実感したりすることができるような算数に親しむ 言語活動を充実させていきたいと考えた。そこで,次の2つに取り組んだ。
① 算数コーナーの設置
② 学年の実態に応じた算数レポートづくり
5 研究の実践
(1)授業実践
茨城県教育研修センターの校内研修支援事業を活用した授業実践(2回)
要請訪問による授業実践(1回)講師 石岡市立恋瀬小学校長 湯原敦子先生
① 1年「ながさくらべ」
本時は,初めて任意単位を使って長さを比較する場 面で,任意単位を「何を基にすればよいのか」という ことやその「いくつ分」ということをしっかりと確認 しながら学習を進めた。課題提示では,「教科書の縦 は,横よりどれだけ長いか」と問いかけ,前時まで に学習した直接比較により,「これだけ長い」と手を 使って表すことができた。そこで,「これだけ」とは どのように表せばいいのか全体で考えさせ,「何かの いくつ分を使って表せる」ということを全体で確認し た。そしてペア学習を取り入れ,何のいくつ分かとい
うことを調べて,様々なものが任意単位となり,そのいくつ分かということを使えば,長さが 表せることが分かった。ただし,様々なものが任意単位となることが分かったが,課題提示の 部分に時間がかかりすぎてしまい,全体での比較検討の場面で,「1つ分の大きさが違うから,
様々なものが任意単位となる」というところまで話し合いを深めることができなかった。さらに,
課題提示の工夫をしていく必要があることが分かった。
② 6年「比例と反比例」
本時は,比例の関係を活用し,問題の解決方法を表 現することができるようになることを目標としてい る。課題提示では,児童の日常生活と関わるように,
校外学習のしおりを作るために必要な用紙を準備す るという場面を想定したり,実際にはかりに1枚乗せ て計り1枚では軽すぎて正確に重さが出ないことを 確認させたりすることで,児童の興味・関心や比例関 係を使って計算する必要感を高めることができた。ま た,グループ学習では,ワークシートを右隣りの人に 渡し,他者説明を行うこととした。他者説明すること
で,様々な考えに触れ,友達の考えをより深く理解したり,分からないところを一緒に考えた りすることができた。また,全員が同じ考えだったグループは,一緒に別の方法を考えること もできた。最後に,実際にまたはかりを使って,答えが合っていることを確認させ,比例の関 係を活用し,問題解決をすることのよさを実感することができた。しかし,全体の比較検討の 場面では,少しの考えしか共有することができなかったので,つまずきも含め,みんなで様々 な考えに触れ,考えを深めていけるようにしていく必要がある。
<ペア学習の様子>
<他者説明の様子>
③ 3年「大きな数のしくみをしらべよう」
本時は,ある数とその10分の1との関係について 理解する場面である。10分の1の数は,10倍した 数の逆であることから,一の位の0をとった数になる ことは容易に予想できることであるが,それぞれが考 えたことをグループ学習で交流させ,しっかりと理解 させるようにした。絵や図をかいたり,十進位取り記 数法を使ったりして様々な考えを共有し,位が1つ下 がり一の位の0をとった数になることを理解するこ とができた。また,適用問題でも他者の考えを活用し て解いている児童も見られ,学習内容が身に付いてい
ることが分かった。今後,さらに全体での話し合いで思考を深めていくために,教師側からの 切り返した質問をしていけるようにしていきたい。
(2)その他の取り組み
① 算数コーナーの設置
学習環境の見直しを行い,整備した。各フロアーで空 いているスペースに算数コーナーを設置した。それぞれ の学年の発達段階に応じた掲示物を作成し,掲示した。
② 学年の実態に応じた算数レポートづくり
今年度は,全学年夏休みに行った。1〜3年生は,「親子でチャレンジ!算数レポート」と題し,
身の回りにある「言葉にかくれた数」を探してもらった。ことわざや四字熟語だけでなく,人 名や地名など,様々なものを親子で見つけることができた。4〜6年生は,学びの広場の時間 を活用し,算数レポートに取り組んだ。4・5年生は,「代金の見積もりの仕方を考えよう」と いう課題で,実際の買い物の場面を想定し,概数を活用するよさを実感できるようにした。また,
6年生は五輪の年ということで,「オリンピックの年の見分け方」という課題で,学習して身に 付けたものを日常生活に活用できることに気付かせるようにした。何名かのレポートを掲示し,
児童がお互いのものを見合えるようにした。
6 研究のまとめ
(1)研究の成果
・ 年度当初に全職員で全国学力・学習状況調査を自校採点し,児童の実態を把握したことで,
本校の課題を共有し,授業改善に取り組むことができた。
・ アクティブラーニングの視点にたった授業を展開させていくことを意識していくことで,子 ども達の説明し伝え合う活動も少しずつ活発になってきており,知識・理解の確実な定着と数 学的な思考力・判断力・表現力を育成するための授業として改善されてきている。
(2)今後の課題
・ 説明し伝え合う学習活動を通して思考力や表現力を高めるために,児童の解決状況を見なが ら,目標を達成した児童の姿を明確にし,目的をしっかりともった話し合い活動を取り入れて いく必要がある。
・ 今後もアクティブラーニングの視点にたった授業を実践していくために,児童が主体的に動 き出すような学習課題を工夫して提示したり,児童とともに課題を作り上げたり,ペアやグルー プでの学習を取り入れて言語活動を充実させたりして授業改善を進めていきたい。
<グループ学習の様子>