阿見町立舟島小学校
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平成 28 年度 研究の全体構想
1 主題設定の理由
本校では,教育目標である「仲間との絆を深め,地域と共に歩む,自立した児童の育成」を受け,「学 校生活のあらゆる場面で,児童のコミュニケーション力を高める指導を展開する」と「授業のユニバー サルデザイン化を図り,だれもが分かりやすい授業づくりに努める」を組織目標として取り組んで いる。
本校における平成 27 年度県学力診断のためのテスト問題の算数科において検討してみると昨年度 に比べて改善しているものの,課題でもあった数学的な考え方と表現・処理を問う問題における正 答率が他の観点別問題と比較して低いことが分かった。
そこで,本年度は一昨年度・昨年度に引き続き,算数科の研究を全職員で推進していくことにし た。特に,ねらいの焦点化,教材の視覚化,互いの考えの共有化,課題の工夫など,授業のユニバー サルデザイン化を図り,誰もが主体的に問題を追究することを通して,互いの考えを伝え合い,算 数的な表現を身に付けたいと考え,本主題を設定した。
2 研究のねらい
基幹学力としての算数科において,焦点化・視覚化・共有化の3つのユニバーサルデザインの要 件を踏まえて授業を構成することにより,互いの考えを意欲的に伝え合い,算数的な表現を身に付 ける児童の育成を図る。
3 研究の仮説
(1)ねらいを焦点化してよりシンプルにすることにより,児童が課題を十分に把握し,学習意欲を 高めて,進んで解決の手がかりを見つけようと思考を深めることができるであろう。
(2)教材を視覚化してイメージを共有したり対比・類別したりすることにより,児童が課題解決の ための思考を深め,自分の考えを進んで表現しようとするであろう。
(3)他の児童の考えを読み取って自分の言葉で表現したり,ペアやグループでの活動を取り入れた りして授業の共有化を図ることにより,児童が表現方法を工夫したり,友達の表現を取り入れた りできるであろう。
(4)少人数指導やティーム・ティーチングなどによる個に応じた指導を充実させていけば,児童の 学習意欲を高め,確かな学力を身に付けることができるであろう。
4 研究の実践
(1)研究の視点
① ねらいの焦点化
ア 授業の中で付けたい力とねらいを吟味し,ねらいを一本化する。
イ 全員が同じスタートラインに立ち,興味や意欲がもてる教材のしかけを工夫する。
② 教材の視覚化
ア 視覚化したイメージを基にして考える活動を取り入れる。
イ 児童のつまずきを視覚化し,思考や理解の補助をする。
ウ 視覚的に対比・類別して違いを明確にする。
③ 思考の共有化
ア 他の児童の考えを読みとる活動を行い,自分の考えで表現させる。
イ ペアやグループの活動を効果的に取り入れる。
④ 個に配慮した指導
ア 支援を要する児童が活躍する姿をイメージした授業づくりを行う。
イ 少人数指導やティームティーチングなどで,個に応じたきめ細やかな指導を行う。
ウ 特別支援コーディネーターとの連携によ り,個の特性に合ったきめ細やかな指導を 行う。
エ 家庭学習のシステムづくりを行い,自ら 進んで家庭学習に取り組めるようにする。
(2)研究の方法
① 研究組織の立ち上げ,各学年による教材開 発
② 児童が集中して学習できる環境の整備
③ ユニバーサルデザイン化についての理論研 修
④ 協同での教材研究と模擬授業の実施
⑤ 全体での授業研究(大研)と学年やブロッ クでの授業実践(授業を見合う小研)
⑥ 支援を要する児童の変容の見取り
(3)第3学年の実践 単元「長いものの長さを比 べよう(長さ)」
① 本時の目標
km や m の単位で表された長さの加減の計 算の仕方を理解し,問題を解決することがで きる。
② ねらいの焦点化
・本時は単位の異なる距離を足して と の道のりを求め,どちらが短いかを比べる活動を行っ た。見通しではたし算をしてからひき算をするとよいこと,またその理由について話し合い,
「たし算(道のり)→ひき算(比べる)」のキーワードを提示した。それにより,児童は計算 の仕方を理解し,正確に計算することができた。
・単位の違いに意識を向けられるよう,自力解決の前に,既習事項の問題を全員で確認した。
計算では,担任がわざと間違えたことにより,子どもたちは「間違ってるよ。mとcmをた しているもん。」と口々に説明をした。また,そろえる必要性は理解できても,換算の仕方が 身に付いていない児童にはヒントカードを配付した。それらにより,自力解決では,児童が 集中して課題に取り組むことができたとともに,全ての児童が単位をそろえることができた。
③ 教材の視覚化
・拡大した問題(地図)の道のりを色分けしたり,計算や説明の手助けとなる言葉(キーワード)
を掲示したりして,視覚的に捉えられるようにした。児童はそれを用いて考えたり,指さし をしながら説明を行ったりすることができた。
④ 思考の共有化
・共有化では,ペアで話し合ったり全体で共有したりして,長さの計算の仕方を理解できるよ うにした。計算の仕方のキーワードを用いるよう声かけをし,算数的な表現の力を身に付け られるようにした。
・今までの積み重ねにより,「まず」「つぎに」
「だから」や「→」などを使って説明をす る力が付いてきていた。本時でもそれを使 い,自力解決をし,さらに友達に説明を行っ た。
・他者説明を行う活動を取り入れた。児童は 友達の考えをよく聞いて,自分の言葉で再 構築し,一生懸命説明し直していた。
(4)第2学年の実践 単元「かけ算」
① 本時の目標
基準量(1つ分)が後に示された問題文の場面を読み取り,「1つ分」「いくつ分」=「全部の数」
と正しく式に表すことができる。
② ねらいの焦点化
・本時では,かけ算であめの全部の数を求める活動を行った。基準量(1つ分)が後に出てく るので,多くの児童が間違え,つまずくこ
とが予想された。そのため,敢えて2通り の式4 5(誤),5 4(正)を取り上げ,
答えは同じだが意味が違うこと,そこから
「1つ分」「いくつ分」に意識を向けられる ようにした。実際の学習では,問題の場面 について,児童は「ふくろの数…4まい」「あ めの数…1ふくろに5こ」と正しく話し 合うことができても,立式では間違えてし まう子が多かった。しかし,両方の式を図
式化することによっておかしさに気付き,1袋にいくつのあめを入れるべきか問題文に返り,
5 4の方が正しいことに気付けるようになった。
③ 教材の視覚化
・問題文をより理解したり,実際の生活の場を想定したりできるよう,飴を実際に袋に入れて 見せ,場面について理解させた。児童は本物に目を輝かせ,意欲的に取り組むことができた。
また,本物から図に置き換えていくこともスムーズでつまずく子がいなかった。視覚化が有 効であった。
・2通りの式の図を隣に配置して掲示し,比較しやすくした。黒板では,図の色分けもし,「① の式の青の○,②の式のピンクの○」と声かけをすることで,混乱を防ぐことができた。
④ 思考の共有化
・隣の子とペアで確認した後,全体で確認した。全体の場では,児童が描いた図についてや「5 のまとまり」という児童の言葉,「これ(あっち)」など曖昧な言葉について,教師が「○○
さんの描いた図ってどういう図?」「それってどういうこと?」と聞き返し,上手につないで 思考や理解を深められるようにした。児童は,より算数的な表現を用いて説明したりまとめ たりできるようになった。
5 研究のまとめ
(1)成果
○ 授業で身に付けさせたい力と授業のねらいを一本化し,ねらいを焦点化したことで,学習内 容や児童の活動がシンプルになり,ねらいを達成することができる児童が増えた。また,それ と同時に教師も指導すること(内容)が明確になった。
○ 教材の視覚化を図ることで,児童の意欲を高めるとともに,問題場面がイメージしやすくなり,
最初のつまずきを減らすことができた。課題を捉えたり,思考を整理したりする場面で大変有 効であった。また,児童の考えやキーワードを提示することで算数的な表現力が高まった。
○ 自分の考えをノートに表現したり,それを元にペアやグループで互いの考えを伝え合ったりす る活動を継続的に行ったことで,自分の考えを整理して分かりやすく伝えられる児童が増えた。
(2)課題
○ ねらいの焦点化が曖昧なまま授業を実践すると,ぼやけた授業になってしまい,児童の理解 も深まらなかった。1時間ごと,単元ごとの授業での焦点化を明確にしていきたい。
○ 他教科においてもユニバーサルデザインを意識した授業づくりを行い,思考力・表現力の育 成を図りたい。