1 研究主題
互いに支え合い,主体的に学ぶ学習集団づくり
2 研究のねらい
主体的に取り組む協働的な活動を通して,児童自らが絆を感じ取り,安心して意欲的に学べる環 境を整え,学力向上とよりよい学習集団づくりの両立を目指し,教師の支援の在り方を究明する。
3 研究の仮説
(1)授業づくりについて
ペアやグループ,コの字など児童同士が協働して課題を解決する場を確保することで,互いに ケアし合う関係づくりができるであろう。また,教師は子供の活動を観察する中で,一人ひとり の学びのつまづきを発見し,支援することができるであろう。
(2)学習課題の工夫
容易には解けない,考える必要のある課題を工夫したり,学習を深めるための具体物を用意し たりすることにより,主体的,探求的姿勢が育つであろう。またその際,既習の知識や技能を活 用して考えることで,基礎・基本が身に付くであろう。
(3)発問の工夫
リボイスを減らし,児童同士の発言をつなぐ発問や問いかけを工夫することで,主体的に聴く 力が育ち,また,児童自身が自分の考えを理解してもらえたと感じることで,友だちへの信頼感 が高まるだろう。
(4)ICT機器の活用
本年度導入された,タブレット型コンピュータや無線LAN等の教育機器を活用することで,
個の能力を引き出し,意欲を高める。
4 研究の内容
(1)授業実践を行う上での基本的な考え方
授業づくりのポイント 学力向上の視点 生徒指導の視点
○ ペアやグループで協働 して課題を解決する時 間を確保する。
・ペアやグループの中で,自由な 発想が促される。
・児童同士の関わりや,クラス全 体の課題に着目する。
・何気ない子供のつぶやきや,子 供の表情に着目する。
・ 児童同士の関係性や,クラス全体 の課題を洗い出すような協議をす る。
・ 学習活動を通して,互いにケアし 合う関係が作られる。(絆づくり)
〈学習課題の工夫〉
○ 容易には解けない問題 を工夫する。
○ わからないことを大切に し,納得するまでみん
なで考える。
・課題に対する児童の反応は?
・ 自分の分からない点を明らかに することで,探究的姿勢が育つ。
・ 既習の知 識や技 能を活 用して
「わからないこと」を考えること で,基礎・基本を確かにする。
・ 自分なりにまとめる時間を確保し ているか。
・ 児童のつぶやきから,課題に対す る取り組みはどうだったか。
・ グループやペアでの,児童同士の 関わりから見えた課題は何か。
・ 学びを交流するために,個々の児 童にどんな力が必要か。
・ 「分からない」「できない」気持 ちを共有し,共に考える姿勢が育 つ。
授業づくりのポイント 学力向上の視点 生徒指導の視点
○ 友だちの発言を聴いて いないと答えられない 発問を工夫する。
・ 教師の投げかけに対する児童の 反応は?
・ 児童が発言しているときの,他 の児童の反応は?
・主体的に聴く力が育っているか。
・ 自分の考えとの相違点,共通点 を考えながら聴いているか。
・ 自分の考えを理解してもらえたこと で,友だちへの信頼感が高まる。
・ 相手の考えを理解しようという受 容的な態度や,理解した上で合 意点を見つけようとする態度が育 つ。
(2)学習における基礎・基本の定着と意欲付け
① 国語辞典の活用(語彙を増やす)3年生で購入,図書室教室に常備
どの教科でも,常に辞書を身近に置くことで,自らわからない言葉や意味を調べ,学習の助 けとなるようにする。
② 漢字検定・計算検定の実施
授業では,課題の工夫を行うことで基礎的な反復練習の時間が不足してしまいがちである。
そこで,到達度に合わせて一人一人に漢字と計算の検定を実施し定着を図る。
③ 週末作文の実施
毎週末「自分発見作文」として,それぞれの学年や学習内容に合った条件の下,工夫した題 材で作文を書くことで,楽しみながら文章を書くことができるようにする。
④ 自主学習の徹底
一人一冊自主学習ノートを用意し,毎日自分で学習する内容を決め,学習する習慣を付けら れるようにする。
(3)その他の取り組み
① 各学年の授業をオープンにし,研修の機会を増やす。
年3回の要請訪問を実施。麻布教育研究所東京大学大 学院の永島孝嗣先生の指導を受け,教師の指導力の向上 を目指す。要請訪問以外でも,自由に授業を見合い,日 頃から協議,研修を行う。
② 定期的に学級力を分析し,取り組みを見直す。
「学級力向上プロジェクト・田中博之著」を参考に,
学級力アンケートを行い,レーダーチャートを使って話 し合うことで,共働的な学級作りを行う。
5 研究の実践
(1)外部講師を招聘しての研究授業の実施(年間3回実施)
指導案作成,授業実施,研究協議での共通理解という基 本的な授業研究を行うことで,授業力の向上を図ることが できた。2年次の職員,10 年次の職員と同様に全職員が授 業を実践し,相互参観することによって,それぞれの良さ を見いだすことができた。また,指導案作成上の共通理解,
授業での児童の動きを観察することで授業づくりを学んだ。
(2)若手教員研修・10 年経験者研修を生かした取組
若手教員研修・10 年経験者研修,さらには中堅教員研修,免許更新講習のための研修,中学校 免許取得者など様々な教員の研修を他の職員に伝えることで,日常的に学びに触れることができ
ていたと考える。これらはすべて自ら求める研修となって いった。学校の職員がそれぞれ個々の学びをもちながらの 勤務となった。
(3)ICT機器を活用した授業実践
本年度導入されたタブレット型端末機を用いた授業づく りをおこなった。少人数のため,一人一人にタブレットを もたせて授業で用いることができた。さらに,デジタル教 科書の利用が児童の興味関心を大いに高めた。
6 研究の成果と課題
(1)研究の成果
① 授業形態の工夫
授業で児童同士が協働し,学び合う課程で自分の考えを発言し合うことで,考えを深めるこ とができるようになった。
② 学習課題の工夫
これまで中心としていた,基礎基本の習得に偏るあま り,ドリル的な学習を行ってきたが,課題を工夫したこ とで,誰もが考えを広げ深められるようになりつつある。
また,阿見スタイルの授業づくりによって学んだことの 定着が図れつつある。
③ 発問の工夫
二者択一の質問や,答えやすい質問を避け,考えて答えるということに軸をおいた授業での 関わりを行った。
④ ICT機器の活用
本年度導入されたタブレット式パソコンを活用することで,特別支援学級の児童も一人一人 が端末の操作を覚え,興味深く授業に取り組むことができた。
(2)研究の課題
① 互いにケアし合う関係が教え合う関係になってしまい,教える立場と一方的に教わる立場と いう関係性ができてしまった部分がある。
② 教師のリボイスを減らすことを目標とし,意識として高まってきているが,児童同士の意見 のつながりについては,まだ課題が残る。児童の意見や考えをつなぐ,教師の発問の仕方や投 げかけについて,今後も研修を深めていく必要がある。
③ 今後,学級力向上プロジェクトを実施する上で,単学級でメンバーが変わらないという条件 のもと,児童が意欲的に活動を行っていくために,どのように変化をもたせて実施していくか が課題である。