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第五章 地域生活定着支援センターからの実態調査

第七節 【関係機関の連携と課題】

会の中に認められるものでなくてはいけない、でも簡単にはいかないとのジレンマが ある。再犯をする、しないの決定は支援者の認識外のところで行われる。福祉的価値を 中心に本人の意向やニーズを重視する支援では、限界があることを述べていると思わ れる。それらの不可避的、予測がつかない状況を考えると、法で決まった通りにしない と社会からは受けいれられない、という支援の選択につながるのであろう。

刑事司法と社会福祉の協働事業には、支援に対しての共通認識が求められていると

考えられる。

②支援者

1.「協働体制の未整備」

関係機関の連携で支援者が課題として述べていたのは、「行政の無理解」、「社会福祉

や医療との連携不足排」、「刑事司法との協働の壁」、「地域からの排除」の四点の内容に 集約できる。協働体制の未整備により、行政、福祉、司法、地域から罪を犯した人の支 援が受け入れられていないことが明らかになっている。それらの直面する困難に対して 支援者は、個別事例を通して関係づくりへの働きかけをしている。

⑴ 行政の無理解

支援者は本人の意向にそった援助をしようとしているが、それを阻む壁として行政が あることが示されている。社会保障の要である地方自治体からの拒否については、どの 支援者も課題として述べている。行政との関係は各県によって事情が異なるものの、国 の社会保障制度すらスムーズに利用できないという支援の困難性が共通している。

行政の理由としては、財政的な問題がある一方で、地域の安全も考えての拒否も考え られる。他にも住む場所があるのに、なんでうち(の自治体)なんのか、という本音が他 の市で社会資源を探した方がいい、などに現れている。所得保障としての生活保護や住 宅保障としての住まいについての地方自治体からの拒否は、第四章の事例を基にした課 題検討と重なるものである。

④支援者:支援の困難は行政がうんといわないことですね。うちの県は大きい市な ので、生活保護受給者も多い。いきなり出てきましたではダメですね。

④支援者:行政から更生保護に市が関わる根拠がないと言われた

⑥支援者:自治体によって違いますね。結構嫌みを言われる。つい最近では、「な んでうち(の自治体)なんですか」っていうんですよ。本人が帰ってくる 根拠がないって、そこで「本人の住民票があって、本人が帰りたい、こ こに戻ってきたいとお話しをされているので」というと、「定着(地域 生活定着支援センター)は、本人の希望だけで動くんですか、本人が帰 りたいといったらその通りするんですか」っていうんですよ。確かに

(その高齢者は)2カ月くらいしか住んでなくて「ここはきついなー」っ

て思うんですけどね、、、

⑤支援者:「財政的な支援はするが他の市で社会資源を探した方がいい」って言わ れたり、、、前に前科19犯の人がいて、出身地だったんですが、年齢的 には高齢で、その出身地には若い頃までしかいなくて、住民票もなく て、その方の時(行政から)「生まれた所だと言っても持ってこられても 困る」なんて言われて。

⑦支援者:支援センターは(出所)半年前から帰住調整できるのに、行政が本人がい

⑵ 社会福祉や医療との連携不足

地域生活定着支援センターでは、罪を犯した高齢者が出所後、速やかに受入れ先施 設等又は福祉サービスが利用できるように支援することが目的である。したがって、

福祉施設の入所調整や医療機関との連携は基本的な支援になる。

支援者からは、福祉施設や医療機関との連携が不足と述べられている。特に、支援 者は、アディクション、医者や心理職、自助グループとの連携が必要だと考えている。

また、元気な罪を犯した高齢者は介護保険の対象とならないため、高年齢でも福祉施 設の対象者に該当せず、制度の狭間に落ち高齢者施設の入所の妨げになっている。

さらに、支援センターの母体である受託法人からも支援が受けられず、業務が支援 センター内で処理しなければならない状況が語られている。

⑶ 地域との関係と排除

⑥支援者:元気な罪を犯した高齢者は介護保険の対象とならないので、福祉施設 の受け入れ先がない。

⑨支援者:「うち(社会福祉施設)は枠がないからなんともできない」と言われる んですよね、そう言われれば「しょうがない」って言うしかない、、

⑤支援者:出所後、冬に雪のために一人暮らしができない人のための生活支援セ ンターに入所できた。でも、それは常備空いてはいない。たまたま時 期的に夏だったんで入れた、偶然が重なって、でも、次の人は無理だ なと思う。

①支援者:アディクション等、医者や心理職、自助グループとの連携がとれてな い。関わってもらう必要がありますね。

④支援者:恥ずかしいことなんですけど、私たちの法人が理解がなくて、短期入 所あるんですけど、一時的に受け入れてくれたらありがたいんですけ ど、、、 最初(受託)に手を挙げた前理事長が亡くなって、それからは後 ろ向きで。この事業は予算が決まっていて、増えも減りもしない、プラ スもマイナスもない、地域貢献というところでやっているという感じ で、受け入れてくれないことはないんですが、かなり、ハードルが高い ですね。

地域への社会復帰には、支援と同時に、地域の力と本人の力、つまり、当事者の努 力が必要だということも述べられている。

2.「関係機関との連携促進」

関係機関との連携の課題に対して、支援者は個別ケースによって、関係づくりを

作っている。例えば、保護観察所には、施設に入所をお願いする時も一緒に行ってもらっ たり、行政に対しては、合同支援会議等の参加を行政に促す等、高齢者の実情を知って もらう働きかけをしており、巻き込む、という表現を使って表している。このような活動 は、個別ケースに直接関わってもらうことにより、罪を犯した人一般から一人の高齢者 という認識が生み出されるきっかけになると考えられる。

⑤支援員:まだまだ偏見がある。地域の環境を守るために、触法者に触れたがらな い。田舎に行けばいくほど閉鎖的な気がします。出身地でも拒否的なと ころがある。でも、地域の人に、それ(偏見)は違うんだよ、ということ でもないし、でも、この事業を地域の人にも理解してもらわなければな らないし、サポートしてくれる人を増やさなければいけないんだけど、

それが、とても難しい。出かけた時に「こういう事業があるんですよ」

と言うようにしている。少しずつささやき続けようかなと思うんです、

それくらいしか出来なくって、支援を依頼された時、現地調査をするん ですけど、その際、地域の人とお話しします。

⑦支援者:地域で生活しているといっても、地域の人との関わりはないですよね。

私が行けば、いろいろ話しをするけど、そのほかの日はひとりですよ。

⑤支援者:すごく迷惑をかけられたから「戻ってきてもらっては困る」と言われて 地域に戻れないんです。

②支援者:社会福祉だけでなく、心理と医療との連携ですね。K地区のI診療所な んかは貧困者へ対応していますから理解してくれますね。

⑤支援者:保護観察所には、施設に入所をお願いする時も一緒に行ってもらう。

⑦支援員:うちの(地域生活定着)支援センターでは、合同支援会議等の参加を積極 的に行政に促して、社会復帰のプロセスや結果を見せている。

⑦支援員:関わってくれる施設には、何度も訪問して、丁寧に関係を作って行くよ うにしている。

⑨支援員:難しいケースを役所の人と一緒にやって、立ち直ったケースがあったん ですよ。役所の人も達成感を感じるんですね、そうすると次にも繋がる、

だから巻き込むことが大事かなとも思う。