第六章 海外の実地調査と文献調査からみた支援のあり方
第二節 開放刑務所の実態調査
⑷ 早期釈放支援
社会復帰支援担当者として、刑務所内にはソーシャルワーカーがいる。その業務は受 刑態度を評価し、社会復帰に向かって更生プログラムの種類・外出時間・仕事探しの時 期等を本人と相談しながら決定する。その際、人間的な接触と同時に、社会や本人のリ スクの評価をする。また、外部の社会資源(就労・福祉・保健・医療)との調整等を行 い、出所後の生活の道筋をつける。そのため、刑務所のソーシャルワーカーは、地域と の連携を保つコーディネーターの役割をも担っている。担当地域は、全国98自治体を
42 デンマークで代表的な自助グループとして「KRIS-House」、「Clean-House」、「Care-House」がある。そこでは、社会 復帰をめざして入所形態により、生活リハビリテーションが行われている。(www.kris-danmark.dk)
43 メディエーションとは、問題の当事者双方の間に第三者が介入し、話し合いによってその問題への和解や歩み寄り を計る手段で、日本では医療など一部の業界を除いてまだあまり馴染みのない概念である。欧米では、訴訟に代わ る有効な問題解決手段として広く認知されている。「事実」の解決よりもむしろ、当事者同士の感情面や人間関係の 解決に注力する。日本での犯罪関係の取組みは、現在「修復的司法」として実践が積まれている。
それぞれ分割して受け持つ。
■ソーシャルワーカーよりの聞き取り
教育や治療をして出所したときに環境がよくて、犯罪を再度行わないことが私たちのポ イント。でも、現実はそんなうまくいかないときもあるけど、私たちはそこを目標にして います。
早期釈放において重要なのが就労である。刑務所内の作業は、社会に出て職業に就く ための労働教育を行う。例えば、技術習得を目的とした家具製造・板金・大工・営繕・
洗濯等の作業が、月曜日から金曜日まである。一週間に37時間は働かなければならず、
仕事の選択は本人とソーシャルワーカーで決める。また、グループになって、地域に仕 事(ガーデニング・大工・配達・掃除)に出かけ、賃金を得て出所後の生活資金にする。
■ソーシャルワーカーより
外に仕事をしに行くこともあります。ゴミ拾い、ガーデニング、合金の仕事、配達の仕
事などです。仕事をしてもらってお金を稼いでもらって、それで、刑務所の費用を賄おう
とするけど、全然お金にならない。本人たちの生活費とかになるくらい。でも私たちは彼 らが働いたお金で、報酬制度もつくっています。それは、食費だったり、働けば、はたらく ほど食事がよいものが食べれる。
受刑者は最低一人、一週間で400クローネ(日本円で7,500円位)の食費がでます。それ 以上働けばもっともらえる。食費は決まった額を支払うので、多く働ければ、貯金ができ るようになっています。でも、働かないで週400クローネの人もいる。働くのが嫌いとい うのが主な理由ね。刑務所を出られない人には、自室で出来る仕事を与えます。仕事は自 分で決めれられません。来る仕事をするって感じですね。
4.課 題
開放刑務所の課題として、外出時のリスクがあげられる。2011 年のホルセルド開放 刑務所の統計によると、外出が許可された受刑者のうち、約 0.1%が外で暴力を行い、
■ 教官
独居室を7~8つ用意しています。刑務所のルールを破ったり人用です。ここに入れて一 人きりにします。刑務所の決められた仕事をしなかったり、(外出時)に、行ったら行けな いと決められた所(薬物販売エリア)へ行ったりするとルールを守らなかったとして3日 間1人にします。罰という意味と、後は、仕事をするような励ましになるようにします。
職員が受刑者から危害を受けることもある。職員のリスクについて、ソーシャルワー カーSusie.Kjaerと教師のAnina In-hye Krugeにヒアリングを行った。身の危険を感 じることはないそうだが、職務の基本的態度として次のように述べていた。「厳格さと 柔軟さのバランスが大事である。受刑者と良い関係を持つように努力しながら、他方で 規則を守ることには、厳格な態度を示す」。刑務所全体で、支援と保安のバランスを微 妙に保ちながら、日々、実験的に開放刑務所の運営を行っていることが、今回の視察で 確認された。
■ソーシャルワーカーよりの聞き取り
4年ここで働いています。ここの前は7歳から16歳の子どもの学校にいました。これは、
私が希望してなった仕事です。みんなに機会を与えられるからです。
職員は受刑者といい関係を保つようにしているけど、注意しなければいけないのは、距離 をおかないといけないということです。話しを聞いたり受刑者と信頼関係を持たなければ いけないけど、近づきすぎるのは良くない。
筆者が、高齢で罪を犯した高齢者の状況について、職員に質問したが、デンマークで は、高齢受刑者については、社会問題になっていないということであった。
■教官より
(罪を犯す人は)デンマークでは若い人の方が多いです。高齢者の暴力はひどくなっているけ ど、数字は数えていません。他のヨーロッパの国に比べてデンマークはとても少ない方です。
60歳以上とかはあまりいません。
デンマークは,日本や他の先進国と同じく高齢化という国家的課題に直面しながらも,
社会の効率性と公平性の追求により国家の経済成長と社 会保障の両立を実現してきて いる。その背景には,デンマークの政策イニシアティブと地域における市民参加型の社 会システムがある。