第五章 地域生活定着支援センターからの実態調査
第四節 支援者の【対象者理解】の変化
1. 罪を犯した高齢者について、 「矯正施設での理解」
支援者は、矯正施設の面接で受刑中の生活と出所後の生活の希望を聞き取る。その際、
矯正施設内での制限された生活を知り、刑務所って人権ないなー、という感想を持つ。
同時に、言葉の裏にある本人のプライドとか人間性に気がつかないといけない、という 自覚を持つ。この自覚は、人権や人の尊厳の価値を見直し、支援者としての援助の価値 観の基盤やその後の支援の目標になっている。
また、犯罪時の生活状況として、生活の基本ラインにさえ達していなく、必要な情報 にアクセスできていない、状況であったことを知り、福祉的支援の必要な人だと判断す る。
矯正施設での理解
・規律重視の文化
・意向を表すことの難 しさ
・集団行動の徹底
犯罪原因の生活文脈
・生活の基本ラインに達していない
・自力で福祉にたどりつけない
・情報にアクセスできない
・天涯孤独
支援の考え方の変化
・社会の底辺にいる人への支援
→社会福祉対応の必要性
犯罪の背景をみることの大切さ
・犯罪が前面に出ている
・背景を見ないと支援を見誤る
・犯罪だけをみていたら見えな い背景がある
対象者理解プロセス
2.「罪を犯した高齢者理解の変化」
インタビューをした支援者は共通して、触法者というより、福祉的支援な必要な人 あり、社会生活をおくる上で、高齢と犯罪経験という二重のハンディを持ち、生きにく さを抱えてきた人であると捉えている。刑務所に、高齢者という原因で入っているとい うことを知った、自身が知らなすぎた、と罪を犯した高齢者への認識の変化を語ってい る。
それによって、支援の考え方が変わり、今までとは違う、今まで関わったことのない 人で援助は人生の大きなところに関わっていく、という認識を持つ。
⑥支援者:「刑務所って人権ないなーって思うんですよね。」人権ないですよね。名 前なくって番号だし。懲罰なんかもね、社会から見たら良いことをして いるんですよ。例えば、食事では、自分がお腹いっぱいだから、若い、
元気な人に少しあげようとして、あげたら懲罰でしょ。ルール、決まり 事、確かに、決まり事は守らなければいけないんですけど、どこまで?
それでいいのかな、と思うんですよ。言葉遣いも威圧的で、ね。その人 の気持ちとか、希望とか、刑務所ではまずない、こうしたい、
ああしたい、ということが刑務所内ではないじゃないですか、「自分の言 葉で語るということが慣れていない人で、そういうところからスタート しなければね。自分の気持ち言っていいんだよって。」
⑤支援者:「社会の底辺の人への支援ですよね。」生活の最低限の人に支援するとい うことなんですね。
⑦支援者:私たちってその人の内面を見てなんぼの仕事だから、言葉の裏にある本
「人のプライドとか人間性に気がつかないといけない。」
⑥支援者:「飢え死にするか、自殺するしかない、ぎりぎりの状態で食べ物を万引 きした人なんですね。」
⑧支援者:「自力で福祉にたどりつけない人で、必要な情報にアクセスできない人 なんですよ。」
⑨支援者:「お金も家族も住む所もない、生活の基本ラインにさえ達していな人で すよね。」
3.「犯罪の背景をみることの大切さ」
支援者は、援助の重要性として、表面的な触法に着目するのではなく、その人の生活背景 や内面に着目している。暴力だけをみていたら見えない、背景がある、というように犯罪の 原因が生活の背景をみることによってわかると理解している。例えば、人に迷惑をかけると 言っても自分だけなんだから、申し訳ないとか思う人がいない、などの天涯孤独という背景 があるということを述べている。
②支援者:支援の考え方が変わりましたね。よく知らなかったということがあり ます。対象者と接してみて、見方が変わるということでしょうね。刑 務所に入っている人は何かずるくて刑務所に入っていると思っていた んですけど、障害(高齢者)で入っているということを知った、という ことですね。私自身が知らなすぎた
⑥支援者:わりとあちこち(職種)動いてきたんですけど、今回はわからないとい うことが多い。一人ひとり皆違うし、一回一回が初回、いつも始めて みたいな感じ、今まで関わってきた人(前職)と全然違う。身内がいな いって私にとって初めてですから。高齢者は長い間生きてきて、どう いうふうに(支援)すればいいんだろうか、おおきな所に関わっていく 感じ、高齢だと、あと数年で「いままでいろんなことがあったけど、
最後は良かったなー」って思えるような人生、そういう所に関われる というのは、今までとは違う。
①支援者:触法ということ自体が確かに犯罪なんですが、その背景があるんです よね。そこをよく見ていかなければいけない。その辺に関わらないと 見誤ってしまうんじゃないの?犯罪が前面に出ているけど、一般の高 齢者や障害者と同じですよ。 生まれてからの家庭的問題なんか、例え ば、アルコール依存症なんか、飲む理由があるんですよ。
⑧支援者:若い頃から点々(住まい)とし、暴力団に入ったり、ホームレスを経 験した後、行政の紹介で無低(無料低額宿泊所)に入ったけど、責任 者に暴力振るわれて「暴力がすべてを解決する」と思い込んで