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量的分析の結果

ドキュメント内 テレビニュースに表象される女性被害者 (ページ 82-95)

第 3 章 テレビニュース内容分析 1(量的分析)

3 量的分析の結果

(1)番組の全体的な報道傾向

①全ニュースの報道傾向

各番組の全ニュース本数と時間、1日に報道される平均ニュース本数は、3番組中すべて において1位は『ニュースウオッチ9』(1,938本、360,722秒、19.6本/日)であった。

他2番組の特徴として『NEWS23』は短い時間内で多くのニュースを取り上げ、『報道ステ ーション』は1つのニュースを長く報道しているため本数は少ない(表3-3)。

表 3-3 「全ニュース」の報道本数と時間量

『ニュースウオッチ 9』 『NEWS23』 『報道ステーション』

ニュース本数(本) 1,938 1,893 1,321 放送時間(秒) 360,722 254,358 350,832 平均ニュース本数/日(本) 19.6 19.1 13.4

②被害者報道の報道傾向

同様に被害者報道のニュース本数と放送時間、1日に報道される平均ニュース本数を調べ た結果、被害者を最も取り上げたのは『NEWS23』(232 本)、最も長く報道したのは『報 道ステーション』(38,474秒)であった。全ニュースに被害者報道が占める割合の1位はニ ュース本数では『NEWS23』12.3%、時間量では『報道ステーション』11.0%であった(表 3-4)。

表 3-4 「被害者報道」の報道本数と時間量

『ニュースウオッチ9』 『NEWS23』 『報道ステーション』 合計 平均 ニュース本数(本) 176 232 136 544 181.3 放送時間(秒) 34,948 27,384 38,474秒 100,806秒 33602.0

平均ニュース本数/日(本) 1.8 2.3 1.4 1.8

被害者報道本数/全ニュース(%) 9.1% 12.3% 10.0% 10.0%

被害者報道時間/全ニュース(%) 9.7% 10.8% 11.0% 10.0%

③被害者報道の放送時間

各番組の全ニュースと被害者報道の放送時間を3つに分類した結果が表3-5である。1本 の放送時間が「1〜30秒」のものはニュースフラッシュ型で、当該ニュースの概要のみが報 道されるニュースである。放送時間「31〜90秒」のものは標準ニュース型である。これは 当該ニュースの概要に加え、その背景や原因、影響、進展等について簡単な説明があるニ

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ュースである。放送時間「91 秒〜」は重点ニュース型である。これは当該ニュースについ て多角的視点から報道するニュースで、インタビュー等も多用される。表3-4によれば、全 ニュースの傾向として『ニュースウオッチ9』は「91秒~」のニュースが約半分(55.4%)

を占め、「1~30秒」のニュースは3番組中最も少ない(5.9%)。『報道ステーション』は「91 秒~」ニュースが最も多い(62.0%)。各番組の全ニュースの放送時間の傾向と被害者報道 の放送時間の傾向は同様の傾向を示している(表3-5)。

表 3-5 「被害者報道」の放送時間 単位:本

『ニュースウオッチ9』 『NEWS23』 『報道ステーション』

全ニュース 被害者報道 全ニュース 被害者報道 全ニュース 被害者報道 1~30 115 5.9% 10 5.7% 359 19.0% 34 14.7% 217 16.4% 18 13.2%

31~90 749 38.6% 69 39.2% 799 42.2% 114 49.1% 285 21.6% 26 19.1%

91秒~ 1074 55.4% 97 55.1% 735 38.8% 84 36.2% 819 62.0% 92 67.6%

合計 1938本 100.0% 176本 100.0% 1893本 100.0% 232本 100.0% 1321本 100.0% 136本 100.0%

④犯罪種類による報道傾向

次に、犯罪の中でどのような種類が多く報道されているかを調べ 4 つに分類した結果が 表3-6である。「身体的犯罪」とは主に傷害や殺人などの人間の体に傷つける犯罪を指して いる。「性的犯罪」は強姦や痴漢、セクシュアル・ハラスメントなど、性にまつわる犯罪や 事件である。「経済的犯罪」とは、主に詐欺や横領など金銭に関わる犯罪である。3 番組と もに1位「身体的犯罪」(『ニュースウオッチ9』63.1%、『NEWS23』66.8%、『報道ステー ション』70.6%)。続く2位「経済的犯罪」、3位「その他」、4位「性的犯罪」であった。こ のように、どの番組も「身体的犯罪」が最も多い結果となった(表3-6)。

表 3-6 犯罪分類 単位:本

『ニュースウオッチ9』 『NEWS23』 『報道ステーション』

身体的犯罪 111 63.1% 155 66.8% 96 70.6%

性的犯罪 17 9.7% 22 9.5% 11 8.1%

経済的犯罪 23 13.1% 31 13.4% 19 14.0%

その他 25 14.2% 24 10.3% 10 7.4%

合計 176 100.1% 232 100.0% 136 100.1%

⑤被害者報道の段階

図 3-1 は被害者報道を、事件の発生から時系列によって5 段階に分類したものである。

段階別にみて最も多く報道されたのは「捜査」段階で『ニュースウオッチ 9』34.1%、

『NEWS23』39.2%、『報道ステーション』46.3%であった。各番組を比較した場合、「発生」

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段階を最も多く報道したのは『報道ステーション』で30.9%、「裁判」については『ニュー スウオッチ9』20.5%、事件の「派生」情報については『ニュースウオッチ9』の22.7%で あった。番組によりニュース本数に違いはあるものの、「捜査」段階のニュースが中心であ ることがわかる(図3-1)。

図 3-1 報道段階 単位:本

⑥被害者報道の情報源

次に事件を知るきっかけとなった被害者報道の主な「情報源」について調べた。情報入 手先として多いのは各番組とも「官公庁等」で『ニュースウオッチ9』(86.4%)、『NEWS23』

(90.9%)、『報道ステーション』(91.2%)であった。犯罪ニュースであってもほとんどが 発表に偏っており、独自取材が少ないことが明らかになった(表3-7)。

表 3-7 情報源 単位:本

『ニュースウオッチ9』 『NEWS23』 『報道ステーション』

官公庁等 152 86.4% 211 90.9% 124 91.2%

企業・団体等 16 9.1% 8 3.4% 6 4.4%

局独自 8 4.5% 11 4.7% 5 3.7%

判別不能 0 0.0% 2 0.9% 1 0.7%

合計 176 100.0% 232 99.9% 136 100.0%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

発生 捜査 裁判 派生 その他

『ニュースウォッチ9』

『NEWS23』

『報道ステーション』

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(2)被害者報道のジェンダー調査結果

以上の調査結果をふまえ、被害者報道の各項目においてジェンダーに着目すると次のよ うな傾向が明らかとなった。

①被害者の性別

ニュースで提示された被害者の性別累計結果は図3‐2のようになった。3番組ともに「女 性」が1位で(『ニュースウオッチ9』44.9%(133人)、『NEWS23』40.7%(190人)、『報 道ステーション』47.8%(141人))4割を超えていた。これは「男性」の(『ニュースウオ ッチ 9』33.9%(88 人)、『NEWS23』27.4%(128 人)、『報道ステーション』26.4%(78 人))1.5倍に相当する。3位は「その他」であるが、『NEWS23』が25.3%(118人)と突 出している。「その他」に分類されたニュースには被害者の性別に言及や提示がなかった不 明が多くを占めており、『NEWS23』の場合は112人となっているのが特徴である。「多数」

の項目は、被害者が大勢いる場合で被害者数・性別に言及しないニュースがここにあては まる(図3-2)。

図 3-2 報道された被害者の性別累計 単位:人

上記の結果より、3番組の「男性」「女性」被害者をそれぞれ合計してみると、「女性」被 害者は、「男性」の1.5倍報道されていることが明らかとなった(『ニュースウオッチ9』1.51 倍、『NEWS23』1.48倍、『報道ステーション』1.8倍)。

一方、犯罪被害認知件数(罪種別被害者の年齢・性別認知件数(危険運転致死傷、自動 車運転過失致死傷を除く))は身体的犯罪(男51,274名、女23,741名)、性的犯罪(男248 名、女9,357名)、経済的犯罪(男762,393名、女413,154名)である(警察庁2009)。実 際の認知件数では男性被害者が多いのに報道されないのは、女性被害者の「身体的犯罪」「性 的犯罪」にニュース・バリューがあると送り手側が考えていると推測される。

26.4%

27.4%

33.9%

47.8%

40.7%

44.9%

21.7%

25.3%

11.3%

4.1%

6.6%

9.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

『報道ステーション』

『NEWS23』

『ニュースウオッチ9』

男性 女性 その他 多数

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②犯罪分類とその性別

さらに、この期間に取り上げられた被害者報道を犯罪分類ごとに性別で表示したのが図3

-3である。3番組共通して女性被害者が多く取り上げられていた。「性的犯罪」に関し、3 番組とも男性被害者報道回数は 0 であった。これらから、「身体的犯罪」「性的犯罪」で女 性被害者の報道が極めて多いことが明らかになった(図3-3)。

図 3-3 犯罪分類と性別 単位:回

③事件別報道回数

この期間に起きた事件の中から、3番組合計報道回数が5回以上の事件を抽出したものが 図3-4 である。事件別報道回数 1 位は相撲部屋の若い力士が親方と兄弟子から暴行を受け て死亡した「時津風部屋力士急死事件」の44回。2位は祖母と孫娘2人が祖母の義理の弟 によって殺害された「香川殺人事件」の34回。3位は沖縄に駐留する米兵により女子中学 生が強姦された「沖縄米兵少女強姦事件」の31回であった。被害者の性別でみてみると男 性のみ被害者の事件は3件(「時津風部屋力士急死事件」「佐賀病院殺人事件」「イラン日本 人学生誘拐事件」)であるのに対し、女性のみ被害者の事件は 7 件(「香川祖母姉妹殺人事 件」「沖縄米兵強姦事件」「加古川女児殺害事件」「ロス疑惑三浦元社長逮捕」「川口女性殺 人事件」「紀元会女性信者リンチ事件」「光市母子殺害事件」)であった。

つまり、女性が被害者となった事件の捜査過程が繰り返し報道されることが明らかにな った(図3-3)。

65 49

87 81 62 59

11 0

21 0 17 0

3 6

7 7 3 4

4 6

3 9 11 11

0 20 40 60 80 100 120 140

『報道ステーション』女性

『報道ステーション』男性

『NEWS23』女性

『NEWS23』男性

『ニュースウオッチ9』女性

『ニュースウオッチ9』男性

身体的犯罪 性的犯罪 経済的犯罪 その他

83

図 3-4 事件別報道回数 単位:回

※点線で囲まれた事件は女性のみが被害者の事件

④被害者の年齢と性別

次に、ニュース原稿またはテロップ等で被害者の年齢と性別についての言及を調べたと ころ、年齢「不明」を除くと図3‐5になった。3番組平均では女性被害者は男性被害者の 1.7倍年齢が報道されたことが明らかになった(『ニュースウオッチ9』男性合計が128人、

女性合計197人、『NEWS23』は男性合計192人、女性合計296人、『報道ステーション』

男性合計119人、女性合計239人)(図3-5)。年齢「不明」は3番組平均で14.8%(男性 83人、女性120人)。

また全体的な傾向として「10才未満」、「10代」の男性/女性被害者と、「50代」の女性 被害者が多く報道された。特に「10才未満」の女児は男児に比べ『ニュースウオッチ9』

3.5倍、『NEWS23』は2.3倍、『報道ステーション』は12.8倍報道された。「10代」の男 性被害者が多く報道されたのは、「時津風部屋力士急死事件』の報道回数が多かったためで ある(図3-3)。「50代」の女性は男性に比べ『ニュースウオッチ9』6.3倍、『NEWS23』

は15.3倍、『報道ステーション』は3.7倍報道された。

どの番組も0才〜19才の子どもと若者の報道が多く、女性の年齢表記は男性の1.7倍で あることが明らかになった(図3-5)。

5 9 9 4 6 3 2 6 3 3 2 2 2 2 1 1 2

20 14 12

11 5 5 5 5 5 3

2 6 3

3 2 3 2

19

11 10

5 5 5 6 2 4 3 5 1

3 1

2 1 1 05

1015 2025 3035 4045 50

4

『ニュースウオッチ9』

『NEWS23』

『報道ステーション』

ドキュメント内 テレビニュースに表象される女性被害者 (ページ 82-95)