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ランドマーク

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第4章 広州アイデンティティイメージ形成のための

4.1 ランドマーク

前第3章 2.4 都市構造 1990 年以降の広州は、都市化と伴に都市の空 間構造に重大な変化があった。歴史上に見られる古い街並が、徐々に都 市の中心地から切り離された。1999 年広州市“新中軸”の企画が始まり、

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2000 年から始まった行政区域の調整より広州大会が“新中軸”の建設 が加速しただけでなく、ライティング工程も同時に始まった10。珠江沿 いに鮮やかなレーザ光線で建築や橋を造形し、ネオンライトで広州市の 花や名勝を飾った(図 4-13)。

“新中軸”の建設は、広州の都市開発に新たな姿勢で登場する企画で あり、一連のランドマークは広州大会が開催される前に誕生した。広州 塔(大会のテレビ中継と花火場)、海心砂公園(大会の開閉幕式場)、花 城広場(新たな観光地)、広州オペラ劇場(大会の文芸公演場)、広東省 博物館(歴史文化の展示場)、西塔(広州国際金融センター)等である。

図 4-13“新中軸”周辺のライティング 出典:http://www.gz2010.cn/photoset/0A1A0078/2912.html

ライティングとして計画された“新中軸”は、広州市のランドマーク のようなものとして斬新な都市イメージを創り出した。「広州塔」を中 心とした公共広場は、広州大会後に市民が活動する「場」として使われ ていた。

4.2 「出航する」開会式

開会式は広州大会を開催する象徴的なセレモニーであり、アジア及び 世界の人々に何を伝えるべきかについては、中央政府、広東省、広州市、

広州大会組織委員会は歴史の中の海上シルクロードの開放的精神を広 州の将来の展望として展開していこうと考え、「出航」が広州大会の開 会式のコンセプトとなった。演出としては、「出航」を上演するたびに、

海上シルクロードの歴史を再現しようとした。この方針で、開会式の敷 地選考、改装及び劇場建設までの作業を行い、海上シルクロードのイメ

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ージ作りが視聴覚体験を通して行われた。

国際スポーツイベントの開会式は、通常は競技場で開かれる11。広州 大会の開会式式場は、広州“新中軸”の東方面の海に向かう珠江沿いに ある海心砂という「島」を敷地として選定された。「海心砂島」は、開 会式のコンセプト「出航」のテーマと合わせ、東方へ出航する「船」の 形に改築・装飾された(図 4-14)。そして、夜間でも「海心砂島」を出 航する「船」に見えるように、8面巨大の折り畳める

LED

スクリーンを

「帆」(83 メートル)に喩え表現した。

図 4-14「海上シルクロード」の革新的なイメージを視覚化した船の形(左:昼、右:夜)

出典:広州アジア組織委員会提供

開会式開始時に、広州大会のエンブレムが映る 8 面巨大

LED

スクリー ンの「帆」が上昇している中童声が広東語で広州民謡「落雨大」を謡い、

600 名の水夫が全力で巨大な船を引っ張るといった広州海上シルクロー ドの物語を上演した(図 4-15)。

図 4-15 巨大のスクリーンで造った帆が開幕と共に上昇した 出典:筆者撮影

さらに、巨大な

LED

スクリーンで造った「帆」の上に 180 名河南省の

「武術者」と地上 1320 名の「操作者」との恊働で空中ブランコを演じ た。「武術者」を空中で安定させるため「操作者」が、地上でワイヤを 引っ張り、武術者の動作と合わせながら、恊働作業で類がない演技で鑑 賞者の心に響く作品を作り上げた(図 4-16)。

第4章 広州アイデンティテイメージ形成のための広州大会の「ものづくり」 89 図 4-16 スクリーンの上に空中「武術者」と地上「操作者」との恊働でハイパフォーマンス

出典:左図筆者撮影,右図広州アジア競技大会志,p28

最後の聖火点火儀式は、中国の春節や祭りに燃える爆竹で灯された。

オリンピックの聖火の起源は、古代ギリシャ神話に「プロメテウスとい う神がゼウスから天界の火を盗み出したことにより、人類は火を使うよ うになった」とされている。そのため火は神聖なものと考えられており、

点火儀式は、神々を崇める祭典といわれる12。一方、中国の爆竹は、火 薬が発明前春秋時代から 2000 年の歴史を経て、中国伝統民習生活の一 部分で「鬼や妖怪を避けるための道具で、竹を燃やし、ピリパラの音で 厄神が逃げ、平安と健康が来る」との物語がある13。つまり、広州大会 の点火式では、広州或は中国の風習生活にある「爆竹」を用いて、点火 することで「独自の地域文化性」をあらわした(図 4-17)。

図 4-17 春節や祭りに燃える爆竹にとって聖火を点火 出典:広州アジア競技大会志,p31

開幕式の成功は、中国と外国のデザイナー、芸術者、技術者達の協力

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の成果であるといえる。広州大会開幕式チームは、北京オリンピックチ ーム開幕式を担当した「北奥聯合」というチームと外国人チームである。

総監督は陳緯亞氏で、舞台美術監督はマーク・フィッシャー氏(Mark Fisher 英国を代表する舞台美術家として世界的に高い評価を得ている14) である。マーク・フィッシャー氏の提案によると、「海心砂島」を東方 へ出航する「船」のアイデアが開幕式の鍵であった。彼は広州の地理環 境と歴史文化を見極め、形として創る才能を中国のデザイン計画者に示 した。また、巨大の

LED

スクリーンを折り畳む「帆」の形にすることは、

スクリーンの製造技術が高く要求された。LED スクリーンは、平面や曲 面であれば作りやすいが、折り畳む形を作る技術は、広州大会開催当時 では難しかった。その問題を解決するため、深圳

LED

協会、深圳光電協 会、清華大学、深圳大学約 200 名の設計者、技術者が力合わせることで、

巨大な折り畳未可能な

LED

スクリーンの製造が中国深圳市聯騰科学技術 有限会社によって行われた15

また、空中ブランコの演出をするにあたっては、音楽が同様に強い効 果を果たしたハリウッド音楽の匠ジョン·パウエル氏が(代表作「カン フー・パンダ」)演出のために専用音楽を創作した。日本の喜多郎氏が 開幕式の聖火音楽顧問に、アメリカのマーク・ヴィンセント氏とミシェ ル・ケリー氏が開幕式の外国人チームの音響監督と視覚造形監督を担当 した。そして開会式の「水にバレエ」の演出者はロシアのオリンピック と世界選手権でシンクロナイズド・スイミングチャンピンとなったスタ ー達が世界レベルのバレエを上演した。

以上のように、広州の歴史文化に輝いた海上シルクロードの物語は、

革新的な視聴覚デザインで再現された。最大限に地域環境と歴史文化と 最新の技術を活かした開幕式は、臨場者とテレビ前の人々に新たな「出 航」する広州の姿勢を伝えた。盛大な開幕式は、多数藝術者、演技者と 技術者を全国、世界各国から集め、人々との恊働で創り上げられた。開 幕式は、観賞者の人々の心を動かし、マスコミの宣伝によりさらに市民

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の話題になった16。より多くの市民に現場で開幕式を体験させるため、

本番開催日の前に5回広州市民に向けて上演した。このように、広州の 壮大の歴史文化を演じた物語により市民のプライドを高揚させた17

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