第5章 市民意識行動形成のためのしくみづくり
3. 都市ホストとしての応援と行動
3.2 ホストとしての行動—ボランティア
2008 年、広州出身のオリンピックチャンピン陈燮霞氏が広州大会の第 一登録ボランティア者としてボランティア啓蒙活動を行った。その後、
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広州市の有名な医者である鐘南山氏、広州市
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業の代表人物である丁 塁氏が広州大会のボランティアになった。2009 年、中国“五・四青年の 日”90 周年の際に青少年ボランティアの応募を行った。その一連の活動 が新聞雑誌、テレビ、インターネット等マスコミの宣伝(図 5−7)で市 民の話題となることで、日常の会話を通じた「試してみよう」、「参加し てみよう」にような連帯感を引き出したと考えられる。
図 5-7 ボランティア広報 図 5-8 広州大会のボランティア者 図 5-7 出典:http://www.gz2010.cn/special/0078009S/Videocenter.html 図 5-8 出典:第 16 回アジア競技大会公式レポート p606
ボランティアの募集は、主に大学生を対象として始められた。広州大 会組織委員会は公式ホームページにボランティア募集専用のオンライ ンシステムを開き、広州に所属する大学とコミュニティに 67 ヵ所の問 い合わせ場を設置した。2009 年 4 月から 2010 年 10 月まで、合計 1,512,331 人がホームページや問い合わせ場を経由して申請状が出され た。申請者の内、年齢の最高齢が 77 歳で、最若年が 6 歳で、81%が大 学以上の学歴を有し、現役の大学生が 60%以上である。
広州組織委員会が大会の要求と申請者が提出した願書をもとに選考 と面接を行い、最終的に都市ボランティア 50 万人、競技会場ボランテ ィア 6 万人が決められた(図 5-8)。競技会場ボランティアの内 382 名が 香港、75 名がマカオ、32 名が台湾、100 名が海外の華僑華人で、18 カ 国計 110 名の外国人を含んだ。都市ボランティアの中には 1,510 名が中 国以外の人もいた。華僑華人と外国人の参加により、広州大会の開催に
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関する情報だけでなく広州という都市を海外に認知した。
ボランティアの基本知識を教えるためにトレーニングの教科書等が 発行された上 736 名のトレーニング教師団が集まり、430 回のトレーニ ング講座・教室が開かれた。トレーニングの内容は広州の歴史文化、ア ジア大会の知識、アジア諸国の礼儀、外国語、緊急時の対応、救急対応 などを含んだ。トレーニングを受けた競技会場ボランティア達は、「競 技場、マスコミ、言葉、礼儀、医療、安全」等の職場で勤めた。特に、
一部分の競技会場ボランティア達は、広州の伝統祭りに出演する獅子舞 を学び、競技試合の休憩時間に獅子舞を舞い、チアリーディングを演じ た(図 5-9)。
図 5-9 競技場のボランティアと競技試合の休憩時間に獅子舞としたチアリーディング 出典:http://blog.sina.com.cn/s/blog_69e646000100n9sw.html
2010 年、広州大会に参加した日本選手団団長の市原則之が次のよう に述べている。「ボランティアを含む要員は十分配属されてスムーズ な対応であった。ゆとりある要員配置のためか、困っているように見 えるとボランティア側 から助けを申し出てくれるなど、質の高いホス ピタリティを感じた」と記されており12、競技場のボランティアを高く 評価した。
都市ボランティア達は、広州市全域 600 所「新生活ステーション」と いうサービス場と、道路交差点、ホテル、観光地などの都市の 7912 ヵ 所で勤めた。都市ボランティア達は、図 5-10 のように「親指活動」と いう活動を盛り上げた。彼等は、交通量が多い道路、駅や商店街へ行っ て、「親指」をモチーフにした手持ち看板を振って、「自動車が歩く人に 譲る」、「バスの中の不便者に席を譲る」、「迷う人を案内する」などのタ
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イミングで「親指」の看板を高く振り感謝と励ましを表した。「親指活 動」には、合計 32.2 万人次のボランティアが参加し、約 200 万人群が 影響された。大会開催期間(2010 年 11 月 12〜27 日)に都市ボランティ ア以外で、広州各市区のコミュニティから集まった約 10 万名の広州市 民が全市 3700 ヵ所の道路交差点やバスステーション等の公共秩序を維 持する活動や、公園や観光地において「広州の文化、観光場を案内する」
等の活動もあった。
図 5-10 都市ボランティア 出典:第 16 回アジア競技大会公式レポート p611
以上のように、60%の現役大学生と幅広い国内外、様々な職業、様々 な年齢のボランティアによって「広州大会」は支えられた。ボランティ アはトレーニングを通じて知識を学び、自らの行動で他人と接するきっ かけをつくり、人と人の距離を近くした。2007 年から始まった「礼儀・
マナー教育」により、「調和の精神」が現代都市生活における市民の行 動にうつされた。
3.3 まとめと考察
広州大会に向けた、市民参加意識や行動を喚起するための「ホストと しての責任と行動」の事例調査結果を以下のようにまとめる。
(1)まとめ
1)ホストとしての責任の事例
日本記者の報道が指摘するように、ホストとしての責任を果たすだけ でなく広州市民がホストとしてアジア大会の模範的な開催都市になる
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ため、380 万の市民が 2004~2010 年に3段階 19 種類のテーマデー活動 により礼儀・マナー啓発教育を受けルールを準じた。市民のブログによ ると、住民の親切さや都市のホスピタリティが向上したりや市民の資質 が高まったことがわかった。
2)ホストとしての行動の事例
ホストとしての行動に、ボランティア活動の例をあげた。広州市出身 のアスリート、広州市の有名な医者、
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業の代表人等が広州大会のボラ ンティアになっただけでなく、国内外、各職業、各年齢の151
万あまり のボランティアへの応募者があった。選考で50
万人の都市ボランティ ア、6万人の競技場ボランティアが決められた。ボランティアはトレーニングにおいて競技場、語学、広州の歴史文化 等を学び、競技場及び観光案内に活かした。一部の競技場のボランティ ア者は広州の伝統獅子舞を学びチアリーディングを演じた。
6万人の競技場ボランティア者は、日本選手団から「質の高いホスピ タリティ」の評価対象となった。
50
万人の都市ボランティアのうち32.2
万人は、交通マナーや都市案内の「親指活動」を行うことで約 200 万人 が影響された。更に、大会開催期間に都市ボランティア以外に、広州各 市区のコミュニティから集まった約 10 万名の広州市民が公共秩序を維 持し都市案内し、人と人が接する際のマナーを広めたことがわかった。(2)考察
1)大会のためのホストの責任と調和社会のホスピタリティ意識 広州大会の主催者は、「都市宣言」にて述べた「市民の教養と都市の 国際化」の実現を目指した。大会を機として、市民のマナーとボランテ ィア意識を醸成し、都市のホスピタリティが向上した。
大会開催前に行った啓発教育やボランティアトレーニングにより、大 幅に市民の資質が向上され、都市のホスピタリティに結びついた。
2)礼儀・マナーは、社会の基本ルールである。「親指活動」のように 市民の良好な社会行為を「褒める」、「認める」、「賞賛」、「高く評価」す
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る宣伝広報が、市民を正しい社会礼儀・マナーへ誘導する方法の一つで あると考えられる。
3)ボランティアトレーニングの授業内容については大会のための競 技場、観客秩序維持などと共に、開催都市の歴史文化をボランティアに 教えることで都市の歴史文化を認識させ、都市の誇りを伝えるメッセン ジャーとしての役割をつくり出すものと思われる。
4)メディアの活用
広州大会の開催は、社会各階級、組織の応援、新聞雑誌、テレビ、ウ ェブサイトやブログ等マスコミの宣伝といった多種多様の「メディア」
の特性を活かすことで国内外に多くの人々の注目を集めた。
5)リーダシップの組織能力
ボランティアの応募活動は、大会開催サービスを確保するための重要 な仕事である。広州大会組織委員会にはボランティア部が設置されてお り、広州市団委という常設行政部門が実際に運営部門としてボランティ アの応募・トレーニングなどの実務を担当した。広州市団委は青年が共 産主義を学習する学校として機能しており、実質中国共産党の予備軍で あり、政府の施策を実行する強い力が持つ組織である13。広州大会開催 において、広州市民は中国・広州を代表するホストではあるが、正しい 市民の資質やボランティアの行動を確実に確保するために、「実行力が 強い」広州市団委が運営部門として選ばれた。そして、広州市精神文明 建設委員会、市区コミュニティとの協働で大会サービスのボランティア 活動、市民マナー教育を推進した。