第2章 中国におけるシビックプライドの認識
4.2 都市再生・社会再生において「都市の誇り」の認識
1980 年からの中国改革開放の政策につき中国が急発展すると共に、多 くの地区が都市化に入り都市間の競争が強くなり、各都市の行政は、他 の都市と違ったアイデンティティを発見しようとして、都市として自慢 できるモニュメントや、偉人や、名物や、産業や、観光資源などを都市 のプライドとしてあげた。また、2008 年北京オリンピックの開催成功に より、世界舞台で中央政府は大型イベントをコントロールできるという 自信をアピールした。その後、国際スポーツイベントの招致開催は、開 催都市の都市プロモーションの手段として、中国で多数の国際イベント を活性化させた。また、国際スポーツイベントは開催都市の地方政府が 開催のための競技場などのインフラ建設や国際的レベルにホスピタリ ティを向上する機会として、さらに、イベントに向けて都市の魅力や新 たな都市イメージを来訪者や市民に伝える機会として考えらた。
しかし、開催都市に住む住民は、国際スポーツイベントの開催が自分 の生活や仕事とどんな関係があるのか不明である。スポーツに興味があ
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る住民は、イベント開催の際に本地の現場でアスリートの姿を見ること ができる感動などがあると考えるだろう。また、他の都市が開催してい ないイベントを、本地で国際レベルのイベントとして開催する優越感を 感じるだろう。
本論に取上げた中国広州アジア競技大会開催都市の中国広州市は、悠 久な歴史を持ち、自然環境に恵まれ、中国の第三都会など多数な誇りや 自慢を持つ都市としての普遍認識がある。しかし、経済発展に伴う急速 な都市化によって、都市のスケールや人口が膨張、貧富の格差が拡大し、
市民資質やマナー等の面で、深刻な社会問題に直面しているため、都市 に対するコンプレックスが少なくない。国際スポーツイベント開催を機 に、市民の都市に対するコンプレックスをいかに改善できるかについて は行政が考慮すべき点だろう。
そのため、中国における市民の「都市に対する誇り」や「コンプレッ クス」について解明するための調査を行う。調査の指標は、世界の都市 総合力ランキング29の評価指標を参考とする。この評価指標では、都市 の都市の力を表す主要な6分野(経済、研究・交流、文化・交流、居住、
環境、交通アクセス)の「物質的な価値」と、「人間の感性に訴える力」
という都市の「感性的価値」30の評価指標があげられている(表 2-2)。 これらの指標において評価の高い都市は、都市としての競争力が強く、
都市を誇れる要素をもちやすいと考えられる。例えば、都市の「感性的 価値」は、市民生活の快適さ等の市民と密接に関連している要素がある と考えられ、市民のプライドになりやすいと考えられる。
表2-2 都市総合力評価指標 出典:注 27
都 市 総 合 力 ラ ン キ ン グ ( 分 野 ) 都 市 の 感 性 価 値 ( 要 素 )
経済 新陳代謝
研究・開発 多様
文化・交流 ホスピタリティ
居住 安全・安心
環境 正確・迅速
交通・アクセス 効率
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また、都市評価の要素をあげるために、杉本31は欧州都市の事例研究 と並行して、日本におけるシビックプライドの源泉について実験を行っ た。杉本は、シビックプライドを構成する人々の感情を、自分のまちに 対する「誇り」「愛着」「共感」と規定し、誇りを高める 16 要素をあげ ている。
「誇り」を高めている要素
①映画やドラマの撮影に使われること
②特産品や名産品
③観光客がたくさん訪れること
④市民活動が報道番組や新聞雑誌に取り上げられること
⑤町並み、自然などお気に入りの風景
⑥歴史ある神社やお寺
⑦有名なスポーツチームがあること
⑧美術館や博物館などの文化施設
⑨公園、道路、公民館など計画的に整備された公共の空間
⑩定期的に開催されるお祭りやイベント
⑪まちの象徴となっているモニュメント等のアート作品
⑫学校教育のあり方
⑬隣人やコミュニティとのつながり
⑭行政や NPO 等発行の、まちに関するポスター等
⑮行政が市民向けに行っている説明会やイベント
⑯まちのロゴマークやキャッチフレーズ
上記、「誇りを高める 16 要素」は、市民が都市に対する誇り持つきっ かけとなる要素と考えられる。
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4.3 中国人における「都市に対する誇り」認識の調査