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事例検討—その2: 2012 年ロンドンオリンピック

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第2章 中国におけるシビックプライドの認識

3.2 事例検討—その2: 2012 年ロンドンオリンピック

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4)「創造都市 22@ Barcelona」

5)「2020 年に向け都市圏の発展計画発表」

である。

シビックプライドの醸成は、ブランディングによるブランドの形成と 同様に一時的なものではなく、持続的にプライドを持ち得るきっかけを 与えることや市民の参画意識が前提であり、常に都市のプロモーション 活動や社会広報教育の努力が必要であると考えられる。バルセロナは、

オリンピックの開催を機に市民意識が初めて出来上がった後、常に市民 と共同で創った地域の偉人のテーマの年、地域文化に根ざしたキャンペ ーン、スポーツイベントの継続開催及び参画活動等、長年に渡った地域 のアイデンティティが各種のイベント、キャンペーンを通して市民の心 に浸透している。

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観視できなかった。1992 年のバルセロナオリンピック以来、未だに長期 的な経済的低迷が続いていたからである。そのため、巨額な公共資金は 市民の日常生活に関わる教育や医療にこそ投入するべきではないのか との声も上がった。それは、財政原則だけではなく道徳原則にもつなが る問題であった。

しかし、オリンピック開催の意義はすべて財政面だけで測るものでは ない。如何なる都市にとっても、オリンピックの開催は国際的に認めら れる最高の機会であろう。財力だけが都市発展に必要な唯一の源動力で もない。選手たちが金メダルを勝ち取る精神力、公平公正な競技環境に よって認められる尊敬のような核心的な価値観がオリンピックの意義 に反映しているのである。そのような意義はオリンピック開催の都市自 体にも同様な価値をもたらすであろう18。ロンドンは過去 400 年間世界 中で最も偉大な都市の一つとして、多くの文化人を排出し近代及び現代 文明をリードしてきた。

1908年ロンドンオリンピックのポスターは当時の絵画風で競技フォ ームが描写され、スポーツの躍動感が強調された。1948年のロンドンオ リンピックは、第二次世界大戦が終結した後に再開された。シンボルマ ークの「ビック・ベン」はイギリスの代表的な建築物でありロンドンの 象徴でもある。国会議事堂の北にあり約 150 年間にわたって大鐘は1時 間ごとに、小鐘は15分ごとに響き、ロンドン市民に時を伝え続けた。エ ンブレムに使われたビック・ベンの針は開幕式の開始時間四時を示して いた19(図2-11)。1932 年以降、オリンピックの大会において重要なビ ジュアルアイデンティティであるエンブレムは「オリンピックの理念と 精神を象徴する五輪」と「開催都市アイデンティティを象徴するマーク」

との融合的な表現である。2012 年のロンドン大会では、当初2012とい う4つの数字の造形だけをモチーフとし抽象的に表現した。これは、ロ ンドンのアート的な新しさを世界に向けて発信することを目指したも のである。しかし、開催都市や国のイメージはあまり感じられず、市民 の反対意見もあったため、その後国旗の要素を加えることにより、国家

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のアイデンティティを表出した(図2-11)。このようにオリンピックの エンブレムには、スポーツ競技を象徴するだけではなく開催都市をシン ボライズするものなどを使い、国のアイデンティティを伝える使命があ ると言える。

図 2-11 左から 1908 年、1948 年、2012 年ロンドンオリンピックシビックのポスターとエンブレム 出典:郭 振山/門 立衆:『The Design of Emblem Mascot and Poster of The Olympic Games』, 3-18,BaiHua Literature and Art Publishing House, 2008;https://www.olympic.org/london-2012

また、2012 年ロンドンオリンピックを機に一連の社会公共事業として フィットネス、交通、コミュニティに関わる諸施設を整備するなどの持 続可能な事業が行なわれた。レジブルロンドンはその一つの代表的な例 である。レジブルロンドン20とはロンドン市の交通サインシステムで、

2015 年に「世界中で一番歩きやすい都市」を目指すプロジェクトである。

都市の交通負担軽減、未来の医療負担軽減の社会現状において「ロンド ン市民の健康のため、都市の持続可能な社会実現のため」21と言った都 市戦略としての市民や来訪者を対象とした「歩行移動」のためのサイン システムである22。2007 年にロンドン西区が初めてテスト実験し、その 後、急速にビッグロンドンの 32 自治市町に広がり、2015 年にロンドン のオリンピックのレガシーとして「世界中で一番歩きやすい都市」とな るという目標達成の事実が残った。筆者が 2016 年 9 月にリーズ市、リ ヴァプール市を視察した際、そのプロジェクトが既にモデルとしてイギ リス全域にわたって広がっていた。レジブルロンドンは単なる交通サイ ンシステムではなく、他の都市と比較しても国の公共事業として大いに 貢献したと言えるだろう。

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図 2-12 レジブルロンドン—「Walk for health」スローガンがサイン本体に書かれた 出典:2016 年筆者が撮影・作成

「ロンドン市民の健康のため、都市の持続可能な社会実現のため」の 都市戦略では、「Walk for health」、「毎日 20 分以上を歩くと、大幅に 心臓病のリスクを減らすことができます」、「歩こう!豊かなストアーと 文化のまちに」をサイン本体に記している(図 2-12)。さらに、「歩いた 方が早い」や、「1km は 12.5 分で移動できる」のような市民がわかりや すい説明文で公報した。また、地下鉄のマップ23に所要歩数をつけ、歩 くことを勧めた(図 2-13)。このように、人々にとってわかりやすい説 明文をもちいたデザインで市民の歩く意欲を喚起した結果、57%のロン ドン市民が歩いて移動したいという結果が出た24

図 2-13 市民が分かりやすい歩く歩数をつけた地下鉄のマップ 出典:

http://www.telegraph.co.uk/news/2016/08/29/new-walking-tube-map-shows-number-of-steps-between-stations/

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3.3 まとめと考察

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