多孔体ガラスGelsilはサンドペーパーとラッピングペーパーを用いて両端面を平坦に 研磨した。研磨は乾式で行った。研磨後の試料は超音波測定を行うためには,研磨後の両 端面間の平行度が音波の波長の1/10以下の精度となるよう研磨する必要がある。RUN1 においては2.11 mm,RUN2においては1.84 mm の厚さに仕上げた。測定後に両端面 間の距離をダイヤルゲージを用いて測定し平行度の確認を行った。今回用いた試料は研 磨後の測定により,∆l = 5 µm程度の誤差で平行に研磨できていることを確認した。
その後,試料両端にLiNbO3 横波超音波振動子を貼り付けた。接着剤に脱オキシム一 液型RTVゴム(信越化学工業,品名KE44T)をガラス端面に薄く塗布し,固定した。
接着剤の固化を促進するために電気炉内において80◦C前後で固着するまで(1時間前 後)加熱した。図3.2に実際に測定に用いた試料の写真を載せる。
3.2.1 LiNbO
3超音波振動子
本測定では電気信号を振動に変換するために超音波振動子を用いた。超音波振動子は 水晶や今回用いたLiNbO3 など,圧電性を持つ物質を適当な結晶方位にカットしものに 電極を取り付けたもので,圧電効果を利用し超音波の励起,検出に用いられる。圧電効果 とは圧電性結晶に電圧をかけた時に結晶に歪みが生じるもので,本測定ではこの性質を
利用したLiNbO3 の超音波振動子を試料に貼り付けて利用している(付録Aを参照)。超
音波振動子はその厚みにより発生する超音波の周波数帯域が決定される。本測定では基
本波10MHzの横波超音波振動子を用いている。
図3.2 超音波測定の準備を行ったGelsil試料。白い部分がガラス部分で, 両端に
LiNbO3 超音波振動子を貼り付けてある。高圧試料容器に金属製ホルダーを設置し,
そこに試料を固定した。
Au Electrode Ag Wire
図3.3 本測定で用いたLiNbO3超音波振動子
超音波振動子は適当な結晶方位と形状にカットされたLiNbO3に金電極を図のように スパッタしたものである。電極は結晶を挟むようにスパッタされ,片面から信号を取 れるよう側面に回り込む形で電極が作製されている。振動子には基本波の周波数や縦 波,横波の区別など種類があり適切な超音波振動子を選択し用いた。
第3章 実験準備
Computer
G P
│ I B
Synthesizer :NF1944
QH PSD
Delay Generator Gated Amplifier
Frequency Divider
Boxcar System DBM DBM
LPF LPF
0°90° PD sample Cryostat Attenuator
wide‑band Amplifier
PD Pulse
Generator
図3.4 パルスエコー法の測定ブロックダイヤグラム。信号発生器
3.2.2 超音波測定装置の構成
図3.4は本実験に用いたパルスエコー法による測定のブロックダイヤグラムである。測 定系は音波を生成する部分と,音波を検波して音速変化を捉える部分とに分かれている。
信号発生器から出力される正弦波はゲートアンプによって切り出され波束として出力さ れる。信号は超音波トランスデューサにおいて音波に変換され試料に入射される。試料 を伝播した音波は試料反対面のトランスデューサで検出され,検波回路に導入されて音 速変化を捉える。
図3.5に本研究に用いた共鳴法測定系のブロックダイヤグラムを示す。発信器から励 起信号を発信し,励起側超音波振動子により試料内に超音波を入射する。この励起信号 により試料内に定在波を励起する。検出側超音波振動子により試料内を伝搬した音波を 電気信号に変換し,高周波ロックインアンプを利用して検波する。検波の際,励起信号と 同位相の信号を参照信号とし,参照信号との位相差も振幅と同時に測定する。
Synthesizer
RF Lock-in Amplifier Sample
reference signal ATT.
excite signal
Cryostat Temperature
controlle system
Computer GP-IB
図3.5 共鳴法による超音波測定ブロックダイヤグラム