本節ではRUN1として行った,音速測定(共鳴法)にる測定について説明する。共鳴 法による音速測定ではまずはじめに多孔質ガラスGelsil試料の共鳴曲線を取得し,試料 の共鳴周波数を得て音速測定が可能であることを確認する。また,高圧試料容器に設置 してある静電容量型圧力計の静電容量と圧力との関係を測定し,圧力計に値を付ける校 正作業を行う。
4.3.1 超音波試料の共鳴曲線の測定
図4.12に励起信号の周波数を連続して変化させて測定した試料内の振幅の周波数依存 性,すなわち共振カーブを示す。試料のGelsil は厚さ2.11mm で,音波は横波である。
約3 Kにおいてヘリウムガスが導入されていない状態で測定した。ロックインアンプに より励起信号に対して位相が90◦ 成分と0◦ 成分に分けてPSD検波したものを,それぞ れ色を変えて描いている。10 MHz付近の大きなピークは超音波振動子固有の共振が観 測されたものである。細かく見えるピークは試料の共鳴が観測されたもので,共振点は 音速の関数である。本実験ではこの試料固有の共鳴周波数の変化を測定することで音速 の変化を測定した。
図4.13は共鳴曲線の一部を拡大したものである。前図と同様に0◦ と90◦ の位相成分 を色を変えて描いている。0◦ 成分がゼロとなる共鳴周波数が確認できる。またその時の 0◦ 成分の値が振幅である。測定器が検出する信号は参照信号に対して位相回りがあり,
また,外部からの雑音などが含まれる。そのままでは正確な試料内の定在波の振幅を求め
4.3 共鳴法による音速測定
0 0.2 0.4 0.6
-1.4 -1.3
-0.29 -0.27
T (K)
∆v/v (%)
23.2 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.277 K
0 0.2 0.4 0.6
-1.5 -1.4
-0.3 -0.28
T (K)
∆v/v (%)
24.1 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.39 K
0.2 0.4 0.6 0.8
-1.5 -1.4
-0.31 -0.29
T (K)
∆v/v (%)
24.9 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.54 K
0.4 0.6 0.8 1
-1.6 -1.5
-0.32 -0.3
T (K)
∆v/v (%)
25.8 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.64 K
0.4 0.6 0.8 1
-1.7 -1.6
-0.34 -0.32
T (K)
∆v/v (%)
26.6 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.72 K
0.4 0.6 0.8 1
-1.7 -1.6
-0.35 -0.33
T (K)
∆v/v (%)
27.4 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.79 K
0.6 0.8 1 1.2
-1.8 -1.7
-0.36 -0.34
T (K)
∆v/v (%)
28.3 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.93 K
0.6 0.8 1 1.2
-1.8 -1.7
-0.37 -0.35
T (K)
∆v/v (%)
28.3 µmol/m2
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.01 K
図4.10 薄膜領域で測定したねじれ振り子共振周波数と音速の温度依存性。音速は空 の試料の音速v0を基準にした変化量∆v/v0である。
1.2 1.4 1.6 -2.3
-2.2
-0.71 -0.69
T (K)
∆v/v (%)
0.13MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.42 K
1 1.2 1.4 1.6
-2.3 -2.2
-0.73 -0.71
T (K)
∆v/v (%)
0.6MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.34 K
1 1.2 1.4 1.6
-2.4 -2.3 -2.2
-0.75 -0.73
T (K)
∆v/v (%)
0.9MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.28 K
1 1.2 1.4
-2.4 -2.3 -2.2
-0.76 -0.74
T (K)
∆v/v (%)
1.2MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.22 K
0.8 1 1.2 1.4
-2.4 -2.3 -2.2
-0.78 -0.76
T (K)
∆v/v (%)
1.5MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.15 K
0.8 1 1.2 1.4
-2.4 -2.3
-0.79 -0.77
T (K)
∆v/v (%)
1.8MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
1.86 K
0.6 0.8 1 1.2
-2.4 -2.3 -2.2
-0.81 -0.79
T (K)
∆v/v (%)
2.4MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.90 K
0.6 0.8 1 1.2
-2.4 -2.3 -2.2
-0.8 -0.78
T (K)
∆v/v (%)
2.45MPa
U.S.
T.O.
∆f (Hz)
0.89 K
図4.11 加圧領域で測定したねじれ振り子共振周波数と音速の温度依存性。音速は空 の試料の音速v0を基準にした変化量∆v/v0である。
4.3 共鳴法による音速測定
5 10
-100 0 100
ᵄᢙ [MHz]
ᝄ [ǴV]
図4.12 長さ2.11 mmのGelsil試料の共鳴曲線
横軸が励起信号の周波数,縦軸が試料内に励起された定在波の振幅である。大きなピー クは超音波振動子固有の共振が現れたものである。細かく見えるピークが試料の音速 にかかわる試料固有の共鳴を示している。
5 5.5 6
-10 0 10
f (MHz)
Amp. (uV)
図4.13 共鳴曲線の一部を拡大すると,励起信号で共振している箇所を確認できる。
励起信号の位相に対し,0◦と90◦の位相成分に分けてプロットしている。ゼロにおい て急な傾きで交差している線が位相成分が0◦の振幅である。本測定では共鳴点すなわ ちこの0◦成分がゼロになる点に励起信号の周波数を変化させフィードバックをかけ,
測定を行った。
0 1 2 0
0.001 0.002
Pressure [MPa]
(1/25.56482)−(1/C)
図4.14 1K で測定した,静電容量圧力計の静電容量と圧力の関係。
られないので,適当な補正を行う必要がある(付録C.2と図C.1を参照。)。音速の温度 依存性の測定では,音波の位相成分の0◦成分をゼロにするように周波数にフィードバッ クをかけ,共鳴周波数を連続的に測定した。
4.3.2 静電容量型圧力計の較正
高圧試料容器に設置されている静電容量型圧力計は,試料の圧力を静電容量の関数と して求めるために較正を行う必要がある。試料温度が1 Kにある状態で外部の配管に接 続された圧力計と静電容量との関係を測定し,静電容量圧力計の値付けを行った。
測定された値と式2.5.3から,最小二乗法を用いたフィットにより以下の圧力と静電容 量の関係を得た。
P[MPa] = 43.66405− 1116.2636
C[pF] (4.3.1)
4.4 音速測定による多孔質ガラスGelsil細孔中の4Heの超流動の観測
-0.2 0
T (K)
Run 1
Run 2
vÉv â103
-0.4 0.2
10-1 100
図4.15 試料に4Heが吸着していない,空の状態での多孔体試料Gelsilの音速温度依存性