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評価結果

ドキュメント内 歯車測定機の精度向上に関する研究 (ページ 39-44)

第 2 章 既存の高精度歯車測定機の評価

2.3 測定精度の評価

2.3.2 評価結果

試作機の重要な目的は,歯車測定機の校正に用いられるインボリュートアー ティファクト等の基準器を評価できる高精度歯車測定機を実現することであっ た.その測定精度評価においては,歯車基準器の歯形測定に特化し,全歯形誤 差と歯形こう配誤差について,主に測定の繰り返し性と再現性を評価した.繰 り返し性では同一条件での繰り返しに加えて測定速度の影響についても評価し,

再現性では特に取り付け位相の影響について評価した.その評価にはFigure 2.6 に示すインボリュートアーティファクト(型式:JGMA988Master)を用いた.

この基準器は,鏡面仕上げされたインボリュート歯形の歯面を1つ持ち,通常,

歯車測定機の歯形測定精度の評価に用いられる.その諸元をTable 2.3に示す.

Figure 2.6 Photograph of involute artifact: JGMA988Master Table 2.3 Dimensions of involute artifact: JGMA988Master

Base diameter [mm] 98.800

Tip diameter [mm] 117.610

Normal pressure angle [°] 20

Tooth depth [mm] 10.5

Facewidth [mm] 20

また,測定条件として測定速度は3.0[mm/s]とし,円錐(エッジ)形状のφ3.0

となるC軸の回転角θは37.0[°],測定子の移動距離yMは31.90[mm]である.そ して,試作機の測定精度評価において,次の結果を得た.

(1) 短時間(10 分程度)の 10回繰り返し測定における全歯形誤差 Fαおよび 歯形こう配誤差fの測定結果をFigure 2.7,解析結果をTable 2.4に示す.

その結果,ばらつき幅は0.2[μm]以下,標準偏差は0.1[μm]以下であった.

Figure 2.7 Results of ten measurements for about ten minutes Table 2.4 Repeatability for about ten minutes

Width of dispersion [μm] Standard deviation [μm]

Total profile deviation 0.2 0.094

Profile slope deviation 0.1 0.032

(2) 10回繰り返し測定した結果から得られる平均誤差形状と実形状の偏差を 用いて作成したヒストグラムをFigure 2.8に示す.その結果,形状ばらつ きの指標である標準偏差σは0.14[μm]であった.

Standard deviation 0.14μm

0 50 100 150 200 250

-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

deviation [μm]

Frequency

Figure 2.8 Histogram of deviation from average curve

(3) 測定速度を変えた歯形誤差曲線の結果をFigure 2.9に示す.データは上か ら測定速度0.1[mm/s],0.2[mm/s],0.5[mm/s],1.0[mm/s],2.0[mm/s]の測定 結果を並べて示している.測定速度を変更すると歯形誤差曲線の形が大き く変化し,測定速度によって波長 2.5[mm]成分が現れることが分かった.

0 5 10 15 20 25 30

Roll length [mm]

Profile deviation [1μm/div]

0.1[mm/s]

0.2[mm/s]

0.5[mm/s]

1.0[mm/s]

2.0[mm/s]

(4) 長時間(4日間)の測定における全歯形誤差Fαおよび歯形こう配誤差f

の測定結果をFigure 2.10およびFigure 2.11,解析結果をTable 2.5に示す.

測定は1時間おきに4回ずつ実施した.その結果,ばらつき幅は0.4[μm], 標準偏差は0.11[μm]以下であった.

0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30

Time Fα [μm]

Figure 2.10 Transition of total profile deviation in four days

-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0.0 0.2

12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30 0:30 6:30 12:30 18:30

Time fHα [μm]

Figure 2.11 Transition of profile slope deviation in four days Table 2.5 Repeatability for about ten minutes

Width of dispersion [μm] Standard deviation [μm]

Total profile deviation 0.4 0.104

Profile slope deviation 0.4 0.100

(5) 被測定歯車の取り付け位相を変えた全歯形誤差Fαおよび歯形こう配誤差 fの測定結果をFigure 2.12,解析結果をTable 2.6に示す.その結果,取 り付け位相が測定結果に大きく影響していることが分かった.

-2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0

0 90 180 270 360

phase [°]

fHα [μm]

0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0 90 180 270 360

phase [°]

Fα [μm]

Figure 2.12 Results of artifact setting on different phase Table 2.6 Influence of artifact setting on different phase

Width of dispersion [μm] Standard deviation [μm]

Total profile deviation 0.5 0.209

Profile slope deviation 0.8 0.307

以上の結果より,試作機の歯形測定精度は,従来の歯車測定機に比べて分解 能が向上して測定ばらつきが低減し,校正用基準器を評価できるレベルに近づ いた.しかし,問題点として以下の2点を改善する必要があった.

(1) 測定速度を変更すると歯形誤差曲線の形が大きく変化する.

(2) 被測定歯車の取り付け位相が歯形こう配誤差に大きく影響する.

Figure 2.9 に示した測定速度の影響による歯形誤差曲線の変化は非常に大き

い.同じ形状を測定していることを考えると,この変化の原因は明らかに測定 機にある.原因解明のためには,測定中の各部分の挙動がどのようになってい るのかを詳しく調べる必要がある.また,Figure 2.12に示した被測定歯車の取 り付け位相の影響による歯形精度のばらつきも測定機の不確かさをより小さく するためには無視できない.この原因は,回転軸中心に対する被測定歯車やロ ータリエンコーダの偏心,ロータリエンコーダの目盛り誤差,等が考えられる.

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