第 3 章 直接駆動方式実験機の開発
3.3 システム構成
3.3.1 回転軸の機構
試作機の機構を参考にして実験機の回転軸の機構を Figure 3.4 のように決定 した.その主な構成要素を試作機と比較してTable 3.4に示す.回転軸には,摩 擦抵抗を無くし,回転の振れを小さくするためにエアベアリングを採用し,ロ ータとステータが分離したビルトイン型のDDモータを組み込んだ機構とする ことで減速機構を排除した.その回転角の検出においては,取り付け誤差の影 響を小さくするために,カップリング内蔵のシールド型ロータリエンコーダを 採用してDDモータの下方に配置した.この構成により,回転軸は,その振れ 精度がエアベアリングの高い回転精度に支配され,モータの動力による高い制 御応答が得られる.
DD motor
Air bearing Artifact Upper center (Air bearring)
Artifact Rotary encoder
Air bearing
Worm gear
& Worm wheel Stepping motor Upper center (Air bearing)
Rotary encoder
Figure 3.4 Mechanism improvement of rotary axis Table 3.4 Comparison of rotary axis components
Prototype Experimental instrument
Air bearing GBS100HRENC-1282 NAS-01 SAS
Load [kg] 20 50
Runout [μm] 1 0.8
Rotary encoder ERO725 RON806
Coupling without with
Resolution [pulse/rev] 7,200,000 28,800,000
Accuracy ["] ±1.7 ±1
Motor UFK569AW QT-3802
Type Stepping motor DD motor
ここで,主な構成要素の選定基準を以下に示す.
1)エアベアリング
試作機の最大搭載荷重は20kgであった.想定している歯車の最大荷重は20kg であるが,その他に軸,上部センター,下部センター,等の荷重もかかる.被 測定歯車以外でエアベアリングにかかる荷重の大半を占めると思われるモータ 軸を概略設計して見積もった重量と慣性モーメントをTable 3.5に示す.よって,
実験機の最大搭載荷重は30kg以上が必要と判断して選定を行った.その結果,
保有していたエアスピンドルが要求仕様を満足したので採用した.その仕様を Table 3.6に示す.
Table 3.5 Specifications of the shaft
Moment of inertia [kgm2] 0.00558
Weight [kg] 6
Material SKS3
Table 3.6 Specifications of the air bearing
NAS-01SAS+PT (NACHI)
Deflection Radial [μm P-P] 0.8
Axial [μm P-P] 0.3
Load Axial [N] 490
[Mpa] 0.5
Moment of inertia [kgm2] 0.0659
Weight [kg] 17
Material SUS420
Model (Maker)
Air pressure
2)ロータリエンコーダ
試作機に使われているロータリエンコーダの目盛り本数は 36,000[pulse/rev],
システム精度は±0.8[″]である.そこで実験機では,試作機より高精度な測定能 力を目標とし,使用するロータリエンコーダの精度は同等以上とした.その仕
様をTable 3.7に示す.また,これまでの研究からオープンタイプのロータリエ
ンコーダの場合,組み立て時の回転軸中心に対する目盛り板の偏心が測定精度 に大きく影響することが判った.そこで,その偏心の影響を小さくするために,
一体型の高精度なロータリエンコーダを採用することにした.
Table 3.7 Specifications of the rotary encoder
Model (Maker) RON806 (HEIDENHAIN)
Type Integrated stator coupling
Line count [pulse/rev] 36000
Incremental signals μApp 11
System accuracy ["] ±0.80
Reference mark 1
Mech. Permissible speed [rpm] 1000
Starting torque [Nm] ≦0.5
Rotor inertia [kgm2] 0.0012
Permissible axial motion of
measured shaft [mm] ±0.1
Weight [kg] 3.3
3)DDモータ
これまでの実験から,測定機の回転軸中心のずれが測定精度に大きな影響を 与えることが分かっている.また,測定は一定速度で行うので.等速回転時の 速度変化が少ないことが望まれる.以上のことから,モータの回転振れ精度が 高く,速度リップルが小さくなければならない.回転振れが 1[μm]で測定誤差
が0.4[μm]となってしまうため,目標仕様は,回転振れは1[μm]以下で,速度リ
ップルは数パーセントとした.
次に必要なトルクを算出するために,Table 3.2に示した歯車の測定を想定し,
Table 3.3の条件で検討を行った.まず,設計検討した可動部の全慣性モーメン
トをTable 3.8に示す.ここでは,被測定歯車の慣性モーメントは含んでいない.
Table 3.8 Inertia of moving parts
Air bearing [kgm2] 6.59 ×10-2
Motor shaft [kgm2] 0.558 ×10-2
Roter of DD motor [kgm2] 0.0976 ×10-2 Rotary encoder [kgm2] 0.12 ×10-2 Upper and lower center [kgm2] 0.169 ×10-2
Total Jm [kgm2] 7.5346 ×10-2
加速トルクTαと慣性モーメントJおよび角加速度αの関係は式(3.9)で表せる.
α
⋅
=J
T (3.9)
よって,Table 3.9に示す計算結果に基づき,この結果にロータリエンコーダ の始動トルクを加味し,更に安全率を考慮してDD モータを選定した.その仕
様をTable 3.10に示す.選定したDDモータは,その連続トルクでも,計算し
た加速トルクの最大値の約4倍と大きいので,トルクは十分であると判断した.
Table 3.9 Parameters for DD motor selection
Large Medium Small
Moment of inertia J [kgm2] 0.251346 0.077995 0.07538015
Angular velocity α [rad/s2] 0.171 0.793 10.339
Acceleration torque Tα [Nm] 0.043 0.062 0.779
Size of gear
Table 3.10 Specifications of the DD motor
Model (Maker) QT-3802A (INLAND)
Peak torque [Nm] 6.502
Peak current [A] 6
Rated torque [Nm] 3.295
Rated current [A] 4
Motor constant [Nm/√Watt] 0.406
Theoretical no load speed [rpm] 375
Pole number 20
Friction torque [Nm] 0.135
Rotor inertia [kg・m2] 0.000976
Weight [kg] 1.17
4)組み立て調整
完成後の取り付け精度をTable 3.11に示す.また,Figure3.5は,回転軸の外 観図である.この組み立て精度は,エアベアリングの各仕様以内に収まってい る.よって,エアベアリングに対して組み立てによる余分な外力は加わってお らず,回転軸の組み立ては適切に行われたということができる.また,エアベ アリング単独の回転精度よりも,組み立て後の回転精度の方が良くなった要因 としては,取り付けた軸やモータとエアベアリング回転軸中心の偏心がほとん ど無いために極端な偏荷重が生じず,軸やモータの自重が逆にエアベアリング の振れを抑えていることや,軸端に取り付けたロータリエンコーダ内蔵のベア リングによる振れ止め効果が考えられる.
Table 3.11 Assembly accuracy of rotary axis
Runout Requirement Assembly
Runout of air bearing Radial direction 0.7
Axial direction (R=90mm) 0.6
Runout of shaft for radial direction < 40 15
Eccentricity of shaft to case < 100 2
Unit: μm
0.7[μm]
0.6[μm]
Figure 3.5 Photograph of rotary axis