第 3 章 直接駆動方式実験機の開発
3.3 システム構成
3.3.2 直動軸の機構
Figure 3.7 Schematic drawing of ball joint machanism
また,試作機では,タンジェント軸機構のボールねじのリードやステッピン グモータのステップ角も測定誤差に大きな影響を与えていることが分かった [2].実験機ではこれら点を考慮して,直動軸には,駆動時の摩擦抵抗による変 動を無くすためにエアスライドを採用し,そのスライダをリニアモータで駆動 するDD機構とすることで減速機構を排除した.また,その位置検出には,高 精度な制御に適したリニアエンコーダを採用した.
ここで,主な構成要素の選定基準を以下に示す.
1)エアスライド
エアスライド可動部(スライダ)には,測定子が被測定歯車の歯面に接触して 誤差を検出する検出器を搭載する必要がある.そこで検出器に対応した耐荷重 性を持ち,想定した被測定歯車の歯形測定に必要なストロークを持ったエアス ライドを選定した.その仕様をTable 3.13に示す.
Table 3.13 Specifications of the air slide
Special (Brother)
[mm] 285
Straightness Virtical [μm/mm] 1.5/250 Horizontal [μm/mm] 0.5/250
Rigidity Virtical [kgf/μm] 4
Horizontal [kgf/μm] 2
[mm2] 125×85
[kgf] 28
Model (Maker) Stroke
Load Table area
1μm
2)リニアエンコーダ
試作機では,アッベ誤差を考慮して測定子の変位センサとしてレーザ測長機 が使われた.また,ステッピングモータを使ったオープンループ制御だったの で,リニアエンコーダにはそれ程高い精度が必要無かった.しかし実験機では,
同様にレーザ測長機を採用するが,リニアモータを使ってフルクローズド制御 するための位置検出器として用いるため,動作安定性のためにリニアエンコー ダには高い精度が要求される.また,モータの発熱による熱膨張が測定値に影 響しないように,スケールの材質は熱膨張係数0±0.1[ppm/K]のZerodurガラス セラミック製とした.選定したリニアエンコーダの仕様をTable 3.14に示す.
Table 3.14 Specifications of the linear encoder
Model (Maker) LIP481R (HEIDENHAIN)
Signal period [μm] 2
Expansion coefficient [ppm/K] 0 ± 0.1
Accuracy grade [μm] ± 0.2
Stroke [mm] 220
3)リニアモータ
回転軸の位置と同期をとりながらスライダ上に搭載された検出器を安定して 駆動する必要性から,駆動中の速度リップルが少ないことが要求される.その ためには,コギングが発生しないコアレスモータで且つ十分な推力を得られる モータが必要である.また,モータが発熱するとその熱が伝搬して様々な部分 が熱膨張して測定に影響を及ぼす可能性がある.そこで,発熱が少なくロータ とステータが非接触で動力をスライダに伝達できるリニアモータを選定した.
次に必要な推力を算出するために,Table 3.2に示した歯車の測定を想定し,
Table 3.3の条件で検討を行った.まず,Table 3.15に設計検討した可動部の全質
量を示す.ここでは,検出器部の質量を3[kg]と見込んでいる.そして,駆動領 域全体において小さいながらも摩擦抵抗 F2がかかると仮定し,加速トルク F1
と減速トルクF3を以下の式で算出した.その結果をTable 3.16に示す.
g M
F2 =μ T (3.10)
2
1 M F
F = Tα+ (3.11)
2
3 M F
F = Tα− (3.12)
Table 3.15 Weight of moving parts Mover of linear motor [kg] 0.3 Slider of air slide [kg] 3.95 Linear encoder head [kg] 0.5
Coupling parts [kg] 0.75
Weight (=Detector) [kg] 3
Total [kg] 8.5
Table 3.16 Parameters for linear motor selection
Large Middle Small
Total weight M [kg] 8.5 8.5 8.5
Acceleration of gravity g [m/s2] 9.8 9.8 9.8
Coefficient of friction μ 0.0005 0.0005 0.0005
Thrust force of friction F2 [N] 0.0417 0.0417 0.0417 Thrust force of acceleration F1 [N] 0.2059 0.3747 1.2804 Thrust force of deceleration F3 [N] 0.1226 0.2914 1.1971
Size of gear
以上の結果,制約条件(F1<定格推力)に基づき,更に高い応答性を確保するこ とを狙ってTable 3.17のような仕様のリニアモータを選定した.その定格推力 は,計算した加速推力の最大値の約10倍と十分過ぎると思えるが,機構のバラ ンスも考慮して決定した.
Table 3.17 Specifications of the linear motor
Model (Maker) S160T (GHC)
Maximum speed [m/sec] 4
Maximum acceleration [G] 2
Instantaneous peak thrust force [N] 57.6
Rated thrust force [N] 13.7
Weight of mover [kg] 0.3
Stroke [mm] 250
4)組み立て調整
完成後の取り付け精度をTable 3.18に示す.エアスライドの水平方向,垂直 方向の平行度は共に要求精度を満足した.Figure 3.8は,直動軸の外観図である.
そして,Figure 3.9は,回転軸と組み合わせた実験機の外観図である.
Table 3.18 Assembly accuracy of linear axis
Requirement Assembly
Parallelism Horizontal [mm/mm] 0.02/100 0.01/150
Vertical [mm/mm] 0.02/100 0.02/150
Figure 3.8 Photograph of linear axis
Figure 3.9 Photograph of the experimental instrument