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結果と考察

ドキュメント内 中学生の創造性と不安の関係に関する一考察 (ページ 101-107)

@     本6

第3節  結果と考察

5−3−1結果

(1)個人思考におけるアイデアの量と質について

 アイデアの量と質について、方略及び具体例提示の有無、創造能力の高 低で、群ごとにその平均を表5−3−1に示す。

表5−3司 アイデアの質と量の得点

アイデア方略及び具体例提示群 具体例のみ提示群    無提示群 創造能力  高群   低湿   高群   低群   高群   低群

N    17

Mean    3.80

SD  1.42

Mean    2.11

SD  1.36

15

2.40 0.99 1.20 0.86

10

3.80 1.55 1.80 1.40

18

2.89 1.23 1.33 1.08

19

3.53 1.71 1.58 1.35

14

2.86 1.51 0.64 0.84

 個人思考段階におけるアイデアの差は、量・質ともに、創造能力の主

効果のみ有意(量:F(5,87)=11.24,p〈.01)(質:F(5,87)=10.33,pく.01)で

あり、方略・アイデアの具体例提示の有無の群の主効果、交互作用は見 られなかった(F<1)。つまり、どの群も創造能力の高い生徒から多く のしかもユニークなアイデアが得られ、方略・アイデアの具体例提示の 有無は影響しなかったといえる。

 ただ、次のような点で冷間に違いが見られた。

 方略及び具体例提示群には、「焦がしてモナリザの絵をつくる」「一人 ずつ言葉を書いて友達と交換する」「かるたとり大会をする」などのよう に、いくつかの方略をあわせて用いたと思われる発想があった。

具体例のみ提示群には、提示されたアイデア(あるいはそれを少し応用       96

したアイデア)に意見が固まる傾向があり、他の群には見られた「加工し て使う」(トランプ、パズルなど)など(図5−2−2の×のカテゴリー)の 発想は見られなかった。

(2)事後の質問紙調査結果から

① 発言について

 発言した1点、発言しなかった0点とし、その平均得点の差について、

分散分析を行った結果を表5−3−2に示す。

表5紹一2発言の有無の得点

発言  方略及び具体例提示群 具体例のみ提示群    無提示群

 賞賛  あり  賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし 批判N    9

禁止Mean O.78 ありSD  O.44 批判N    7 禁止Mean O.85 なしSD  O.38

8 0.75

0.46

9 0.22 0.44

7

0.71

0.49 8 0.88 0.35

6 0.50 0.55

6 0.83

0.41

7

0.71

0.49 7

0.71

0.49

10 0.50 0.53

9 0.67 0.50

 分散分析の結果、賞賛の有無の主効果のみが有意(F(11,81)ニ4.99,

pく.05)であった。賞賛あり群の方が、賞賛なし群に比べて、有意に多く

発言していた。

② アイデアに対する自信について

 「アイデアに自信がない」について、「ほとんど思わない」(4点)〜

「かなり思った」(1点)とし、その平均得点の差について、分散分析を 行った結果を表5−3−3に示す。

表5−3−3アイデアに対する自信の得点

 自信  方略及び具体例提示群 具体例のみ提示群    無提示群   賞賛  あり  賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし

王比判 Mean   3.67     3.38     3.00     2.50     3.00     2.20

禁止SD  O.50  0.74  0.82  0.84  0.82  1.03

批半』 Mean   3.29     2.78     2.50     2.50     2.57     2.67

許可SD  O.95  1.09  0.76  0.55  0.79  1.00

 分散分析の結果、賞賛の有無の主効果(F(11,81)=4.02,p〈.05)、思考方 略及び具体例の有無の主効果(F(11,81)=6.52,pく.01)が有意であった。 L

SD法を用いた多重比較によると、方略及び具体例提示群の平均が、他の

2群の平均に比べて、有意に大きかった(Mseニ0.73, pく.01)。批判の有無

の主効果は有意でなかった(F(11,8Dニ1.77)。

③ 非依存傾向について

 「誰かが言うだろうから別に自分がいわなくてもいいだろう」について、

「ほとんど思わない」(4点)〜「かなり思った」(1点)とし、その平 均得点の差について、分散分析を行った結果を表5−3−4に示す。

表5−3−4 非依存傾向の得点

非依存傾向方略及び具体例提示群 具体例のみ提示群    無提示群   賞賛  あり  賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし

ヨ批半』 Mean   3.33     3.50     3.29     3.00     2.71     2.80

禁止SD  O.71  0.76  0.95  0.00  0.76  1.03

批判 Mean   3.57     3.44     3.25     3.17     2.29     2.44

許可SD  O.79  0.73  0.71  0.75  0.76  0.88

分散分析の結果、思考方略及び具体例の有無の主効果のみが有意(F

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(ll,81)=10.67, p<.01)であった。 LSD法を用いた多重比較によると、

依存傾向得点の平均は、無提示群の方が他の2群の平均に比べて、有意に

小さかった(Mse=0.62, pく.01)。

④ 非同調傾向について

 「結局は誰か他の人の意見に決まるので、みんなの意見に合わせればよ い。」について、 「ほとんど思わない」 (4点)〜「かなり思った」 (1 点)とし、その平均得点の差について、分散分析を行った結果を表5−3−5

に示す。

      表5−3−5非同調傾向の得点

同調傾向 方略及び具体例提示 具体例のみ提示群    無提示群   賞賛  あり

ま比半」 Mean   3.33

禁止SD  O.71

1批半』 Mean   3.71

許可SD  O.49

賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし 賞賛あり 賞賛なし

 3.38     3.29     2.50     3.29     2.90  0.52     0.76     0.84     0.49     0.99

 3.44    3.13    3.17    3.43    3.22

 1.01     0.64     0.75     0.79     0.67

 分散分析の結果、思考方略及び具体例の有無の主効果のみが有意傾向

(F(11,81)=2.64,p<.1)を示した。LSD法を用いた多重比較によると、

同調傾向得点の平均は、具体例のみ提示群の方が思考方略及び具体例提示

群に比べて、有意に小さかった(Mseニ0.56, p<.05)。

5−3−2 考察

 仮説1に関しては、概ね支持されたと考える。すなわち、発言の有無、

アイデアに対する自信、非依存傾向、非同調傾向のいずれも、批判禁止の の有無によって平均に有意な差はないことから、批判を禁止しても非同調 的態度は高まらないといえる。これは、依存的・同調的態度の原因は、批

判されるかどうかだけでなく、どう思われるかという視線や疎外感による 不安にも根差しているためと推察される。これらのことから、不安の低減 をめざして日常行う教師行動のうち、「間違ってもよいから発表してみな さい」「よかったところだけ指摘してあげてください」などは、必ずしも 生徒の不安をやわらげる結果にはなっていないのではないかと思われる。

 仮説2に関して、発言の有無とアイデアに対する自信から見ると、非依 存的・非同調的態度は賞賛によって多くなるといえる。しかし、非依存傾 向、同調傾向から見ると、その差は見出されない。教師の賞賛により自信 はある程度持てても、他の生徒の視線や疎外感による不安はぬぐえていな いとも解釈できる。賞賛あり群の方が発言した者が有意に多かったのは、

実験後の生徒の反応から推察して、教師の期待に応えようとした結果も大 きいと思われる。したがって、必ずしも自信や非同調的・非依存的態度に 結びついているとは即断できず、仮説2回支持されたといえない。

 仮説3に関しては、具体例のみ提示群と無提示群を比較することで検討 してみると、「かえって自信を損なう」とまではいかない。ただ、非同調 傾向は、具体例のみ提示群の平均が、他の2つの群の平均に比べ、低いと いう有意傾向が見られたことは、具体例のみの提示が同調的態度を起こし やすくしていると言えそうである。少なくとも、具体的アイデア例の提示 が非同調的・非依存的態度の高揚には何も効果を発揮していないことがわ

かる。

 仮説4に関しては、方略及び具体例提示群が他の群に比べて、アイデア に対する自信では他の2群より、非依存傾向では無提示群より、非同調傾 向では具体例のみ提示群より、有意に高い値を示したことから、仮説は支 持されたといえる。

 実験結果より、賞賛や方略及び具体例の提示が、生徒のアイデアに対す

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る自信を高め、創造的態度の1つである非同調的態度を促すものといえる。

ただ、賞賛が非同調的・非依存的態度の高揚となり得てない実験結果から すると、教師の期待に応えようとするだけの 無理な 態度かもしれず、

その意味から方略および具体例の提示は提示された方略を参考に自分で 考えたアイデアが真の意味で自信となり得ているものと思われる。

終章 研究の総括と今後の課題

ドキュメント内 中学生の創造性と不安の関係に関する一考察 (ページ 101-107)