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科学技術コミュニケーション教育

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 36-42)

第 2 章 先行研究レビュー

2.2 科学技術コミュニケーションの展開

2.2.4 科学技術コミュニケーション教育

高等 教育 にお ける 科 学技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン の教 育 は、多 様な ニ ー ズが ある 。世界 の 大 学で の 科 学 技 術コ ミュ ニケ ーシ ョ ン の カリ キュ ラム 調 査 によ ると 、大学 での 科学 技 術 コミ ュニ ケー ショ ン 教育 では 理系 学生 のコ ミュ ニケ ーシ ョ ン・ス キル の 向上 に焦 点を 当て る こと が多 い 。また、

科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 で は 大 き く 分 け て 四 つ の 関 連 分 野 が あ る とい う( 図 2-2)Mulder et al、2008。こ れ らは 科学 技術 コミ ュ ニケ ーシ ョン が学 際的 で ある こと を 反 映し てい る。

2-2 科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に 関 わ る 四 つ の 領 域 Mulder et al(2008) の figure.1 を 基 に 筆 者 が 作 成

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また 、海 外の 科学 技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 教育 動向 を まと めた 渡辺 ・ 今井 によ ると 、英 国に はサ イ エン ス・ジ ャ ーナ リス ト、サイ エン ス ライ ター 、コミ ュニ ケー タ ーを 養成 す るコ ース をも つ大 学が 28 校あ る 。これ らの 大学 の教 育で は 、科 学者 の顔 がみ える 科学 技術 、説明 責任 に重 点が 置か れて いる 。韓国 や 中国 では 2003 年以 降 、科 学 技術 コミ ュニ ケー ショ ン コ ース がお かれ 、オー スト ラ リ アで はオ ース トラ リ ア国 立大 学を 中心 に、コ ー スが おか れて いる 。こ れ らの 大学 の多 くは 、コ ミュ ニ ケー ショ ンの スキ ル・実践 教育 とと も に、科学 史や 科学 哲学 、科 学技 術 と社 会に 関わ る科 目を 教え て いる( 渡 辺・今井 、2005)。ここ から わか る こと は、

科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 で は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の ス キ ル に 関わ る教 育と とも に、科学・技 術・社会 に 関わ るメ タな 分野 の 教育 が行 われ てい ると いう こ とで ある 。

一方 、日 本で は、2005 年 に平 成 16 年版 科学 技 術白 書 が 公表 され て 以 降、大学 での 科 学技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 教育 や実 践 が広 まっ た。その ため 歴史 が浅 いの が 特徴 であ る 。日本 の高 等教 育に お ける 大型 の科 学技 術コ ミュ ニケ ーシ ョ ン 教 育プ ログ ラム のな かで 、2014 年 現在、継 続 して いる もの につ いて 、 そ の 教育 内容 を検 討し たい9

(1) 北海 道大 学科 学 技術 コミ ュニ ケー ター 養成 ユニ ッ ト(CoSTEP)10 こ の ユ ニ ッ ト は 科 学 技 術 振 興 調 整 費 振 興 分 野 人 材 養 成 に 採 択 さ れ 、 2005年 に 設置 さ れた 。大 学院 教 育 だけ でな く、社 会人 など も受 講が 可能 であ る。

科学 技術 コミ ュニ ケ ータ ー人 材を 輩出 し 、多 様な 科学 技術 コ ミュ ニ ケ ーシ ョン 実践 を行 う こと 、ま た人 材育 成手 法を 開発 す るこ とで 、科 学と 社会 の双 方向 的で よ りよ い関 係の 実現 を目 指し てい る 。

講義・演 習・実 践 を中 心と した カ リキ ュラ ム構 成で あ り、講 義 では 科 学技 術コ ミュ ニケ ー ショ ン の 概論 のほ か、トラ ン ス・サイ エン ス や コミ ュニ ケー ショ ンの 手 法に つい て 学 習し 、演 習 では ライ ティ ング や グ ラフ ィッ クデ ザイ ン 、プ レゼ ンテ ーシ ョン など を、実 践で はラ イテ ィン グや 映像 制作 、対 話の 場 の創 出な どの 実践 的な 活動 を行 う 。

9 大 学 生 ・ 大 学 院 生 向 け 以 外 に は 、 国 立 科 学 博 物 館 サ イ エ ン ス コ ミ ュ ニ ケ ー タ ー 養 成 実 践 講 座 や 、 日 本 科 学 未 来 館 科 学 コ ミ ュ ニ ケ ー タ ー 研 修 な ど も あ る 。 ま た 、 す で に 終 了 し て い る 大 型 の 教 育 プ ロ グ ラ ム と し て は 、 お 茶 ノ 水 大 学 サ イ エ ン ス & エ デ ュ ケ ー シ ョ ン セ ン タ ー の 「 科 学 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 養 成 プ ロ グ ラ ム 」(2005 年 ~ 2007年 ) も あ る ( 千 葉 ほ か 、2007; 仲 矢 、2008)。

10 北 海 道 大 学 科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー タ ー 養 成 ユ ニ ッ トの 公 式 ウ ェ ブ サ イ ト と 杉 山

(2008) を 参 照 し た 。

http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/ (2014 10 10日 ア ク セ ス)

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(2) 東京 大学 「科 学 技術 イン ター プリ ター 養成 プロ グ ラム 」11

科 学 技 術 振 興 調 整 費 振 興 分 野 人 材 養 成 に 採 択 さ れ 、2005 年 に 設 置 さ れ た 教育 プロ グラ ム であ る。 科学 技術 振興 調整 費の 支 援 は 2010 年 の 3 月に 終了 し、2010 年 4 月か ら は 、東 京大 学教 養学 部 附属 の教 養教 育高 度化 機構 の「 科学 技術 イン タ ープ リタ ー部 門」とな った 。東 京大 学 全学 の大 学院 生を 対象 と した 大学 院副 専攻 プロ グラ ムで あ る。

プロ グラ ムの 目的 は、「 科 学技 術を「わか りや すく 伝 える」だけ でな く 、 科学 技術 の「 何を 伝え るか 」を も 考え、一 般社 会と 科学 技術 の 間の 双方 向コ ミュ ニケ ーシ ョ ンを 実現 でき る人 材を 、社会 のあ らゆ る場 面 へ 送り 出す こと 」 で ある 。

2014 年度 の教 育 内容 は、様々 な 科 学分 野の 研究 内容 を 聞き 、そ の価 値 や課 題を 考え る「 現代 科学 技 術概 論 I」、科学 技術 につ い て書 く基 本 を学 ぶ「科 学技 術ラ イ ティ ング論 I」、修了 研究 につ いて 議 論し、研究 を サポ ート する「 科学 技術 表現 実験 実習 I」、科学 技術 のリ テラ シ ーが 何で あ り、

なぜ 必要 なの かを 理 解す る「 科学 技術 リテ ラシ ー論 I」、修了 論文 を 書く ため の指 導を 行う「 科 学技 術 イン ター プリ ター 研究 指導 I 」「 科 学 技術 イン ター プリ ター 特 別研 究 」 があ る。

(3) 早 稲 田 大 学 科 学 技 術 ジ ャ ー ナ リ ス ト 養 成 プ ロ グ ラ ム(2005~2009)/

早稲 田大 学大 学院 政 治学 研究 科ジ ャー ナリ ズム コー ス(2010 以降)12 早稲 田大 学科 学技 術 ジャ ーナ リス ト養 成プ ログ ラム も また 、科学 技 術 振 興 調 整 費 振 興 分 野 人 材 養 成 に 採 択 さ れ 、2005 年 に 設 置 さ れ た 修 士 課 程の 教育 プロ グラ ム であ る。科 学 技術 振興 調整 費終 了 後は 早稲 田大 学大 学院 政治 学研 究科 ジ ャー ナリ ズム コー ス と なり 、科学 技術 に限 ら な いジ ャー ナリ スト の養 成 を 行 って いる 。本 研 究 では 科 学技 術 に 限定 し 、科学 技 術 ジャ ーナ リス ト 養成 プロ グラ ム の 方に 注目 する 。

科学 技術 ジャ ーナ リ スト 養成 プロ グラ ムで は、次の 5 つの 能力 、す な

11 科 学 技 術 イ ン タ ー プ リ タ ー 養 成 プ ロ グ ラ ム の 公 式 ウ ェ ブ サ イ ト を 参 照 し た 。 http://science-interpreter.c.u-tokyo.ac.jp/currentstudents/index.html (2014 8 1日 ア ク セ ス)

ま た 、 プ ロ グ ラ ム の 社 会 人 向 け の 講 座 も あ り 、 そ の 内 容 は 石 浦 ほ か (2008) に ま と め ら れ て い る 。

12 下 記 の 二 つ の ウ ェ ブ サ イ ト を 参 照 し た 。

早 稲 田 大 学 大 学 院 政 治 学 研 究 科 ジ ャ ー ナ リ ズ ム コ ー ス http://www.waseda-j.jp/(2014 8 1日 ア ク セ ス) 早 稲 田 大 学 科 学 技 術 ジ ャ ー ナ リ ス ト 養 成 プ ロ グ ラ ム

http://www.waseda-j.jp/majesty/index.html(2014 8 1 日 ア ク セ ス)

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わち 1) 科学 技術 の 理解 、2)ジャ ーナ リズ ムと メデ ィ アの 理解 、3) 建設 的批 判精 神 、4)現場 主義 、5)実 践的 スキ ルを 養成 した 。科学 や 科 学 技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 、メデ ィア 、科 学技 術に かか わる 社 会問 題な どを 学習 し、プレ ゼン テ ーシ ョン 、ラ イテ ィン グの スキ ル養 成 や、雑誌 編集 、映 像制 作な どの 実習 も 行っ た。 また 、修 士論 文の 指導 も 行っ た。

(4) 大阪 大学 コミ ュ ニケ ーシ ョン デザ イン ・セ ンタ ー13

2005 年 4 月に 誕生 した セ ンタ ー で あ る。 大阪 大学 が 掲げ る教 育目 標

「教 養」「 デザ イン 力」「国 際性 」のう ち、「 デザ イン 力 =柔 軟な 想像 力」

の育 成を 目的 に 、全 学大 学院 生向 けの 共通 教育 を実 施 して いる 。い くつ かの テー マが ある な かで 、科 学 技 術を テー マと した 研 究や 教育 活動 が実 施さ れて いる 。

大学 院生 が自 分の 専 門分 野の 考え 方を 振り 返る 教育( 八 木ほ か 、2008)、

科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン や 科 学 技 術 社 会 論 に 関 わ る 座 学 等 に つ い て教 育を 実施 して い る 。

(5) 東京 工業 大学 科 学技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 論14

2005年に JST の「 研究 者情 報発 信 活動 推進 モデ ル事 業「 モデ ル開 発」」

とし て受 託研 究が 採 択さ れ、大 学 院正 規科 目と して 科 学技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 論を 開講 し た。

ここ では 、単 に 情報 発信 をす るの では なく 、市 民 と対 話の 場を 作り 出 し、市民 の 科学 技術 につ いて の 意 見と 関心 を掘 り起 こ すコ ミュ ニケ ーシ ョン 能力 をつ ける こ とを 目的 とし てい る ( 西 條 ほか 、2007)。

教育 内容 とし ては 、小学 校 理科 教 育で 利用 する コン テ ンツ の制 作や エ ネル ギー を題 材と し 座学 、イ ンタ ーン シッ プ、サ イエ ンス カフ ェの 運営 など を教 育と して 行 って いる 。

この よう に 、科 学技 術コ ミ ュニ ケ ーシ ョン の高 等教 育 にお ける 比較 的 大型 の教 育 の 取り 組 み で は、講義 とス キル 獲得 のた め の演 習( 実践 を含 む)の双 方を 取 り入 れて いる 。こ のよ うな プロ グラ ム には 科学 技術 社会 論に 関わ る研 究者 が 関与 して いる 。

こ れ ら を 含 む 日 本 の 高 等 教 育 機 関 の 科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を

13 大 阪 大 学 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン デ ザ イ ン ・ セ ン タ ー の サ イ ト を 参 照 し た 。 http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/(2014 8 1 日 ア ク セ ス)

14 東 京 工 業 大 学 科 学 技 術 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 論 の ウ ェ ブ サ イ ト を 参 照 し た 。 http://www.sec-titech.jp(2014 8 1 日 ア ク セ ス)

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調査 した 都築 らは 、全体 の傾 向と して 、双 方向 コ ミュ ニケ ーシ ョン の実 現を 目指 して 、コミ ュニ ケー シ ョ ン能 力や 企画 力を 備 えた コミ ュニ ケー ター の養 成を 進め る こと 、科 学 の 入口 を広 げよ うと し てい るこ とを あげ てい る 。また 、高等 教育 にお い て 養成 され る人 材が コ ミュ ニケ ーシ ョン する 対象 と し ては 、成人 、子ど も 、学 生を 含 む非 科学 者 (市 民 )に 設定 され てい る傾 向が あ ると いう( 都 築・鈴 木 、2014)。ま た、中 野は 北 海道 大学 、東 京大 学、 早 稲田 大学 の 3 大学 の講 義内 容に つ いて 調査 し、1)記 述対 象事 物に 関す る もの(す な わ ち科 学技 術分 野の 個 別の テー マに 関す る もの )、2) 記 述 技法 に 関 する も の (す な わ ち執 筆 ・ 編集 ・ 録 画な どの 技 法に 関 す るも の )、3) 背 景に 関 す るも の ( 科学 技 術 につ い て 報道 ・広 報・政策 提言 する こと の 目的・意 義・動向 につ いて )に 分 類し てい る( 中 野 、2006)。

上記 のよ うな プロ グ ラム では 、座 学、実践 によ る 経験 的ト レー ニン グ 以外 に、メタ 認 知な ど、研究 者 と して の 姿 勢や 考え 方 に関 する 教育 もさ れて いる こと があ る。たと え ば、大阪 大学 や北 海道 大 学で は、専門 家間 の意 思伝 達 の 困難 さ に気 づき 、自 らの 研究 分野 の性 質 や分 野ご との 違い を理 解す る教 育が 行 われ てい る( 八木 ほか 、2008;三 上ほ か 、2008)。こ のよ うな 取り 組み は 重要 であ る一 方で 、科 学 技術 コミ ュニ ケー シ ョ ン 教 育の 報告 や論 文 の 全 体か らみ る 限 り 少 数で ある と思 わ れる 。

一方 で、上記 の よう な大 規模 なプ ログ ラム では なく 、 半 期 2 単 位と い っ た 小規 模の 科学 技 術コ ミュ ニケ ーシ ョン 教育 では 、教育・啓 蒙 型 に限 定し た活 動も 多く み られ る。こ の よう な教 育活 動は 主 には スキ ル養 成を 目的 とし てお り 、教 育と 同時 に地 域貢 献 が 強調 され る 場合 もあ る( 例え ば筒 井 、2007;矢 治ほ か 、2007;加 藤・佐 藤 、201215;上田・毛 利 、2012;

中野 ほか 、2011;末本 ほか 、2007)16。これ らの 活動 は 教員 が自 ら、ある いは 地域 の要 請に こ たえ て企 画さ れて おり 、科学 技術 社会 論の 研 究 者が 関与 しな いこ とが 多 い。学生 の 学 習 効 果と して は 、プ レゼ ンテ ーシ ョン

/ラ イテ ィン グ 能 力 の向 上、学習 のモ チベ ーシ ョン の 上昇 、こ れま での 学習 内容 の理 解の 深 化 、自分 の研 究の 意義 のふ りか え り 、伝え るこ との 難し さの 理解 など が あげ られ てい る。

この よう な 教 育 は 、学生 や科 学者 のコ ミュ ニケ ーシ ョ ン・スキ ル向 上 を目 指し てい くう え では 重要 であ り、一定 の 教育 効果 も確 認さ れ て いる 。

15 こ の 場 合 の 学 生 は 高 等 専 門 学 校 で あ る 。

16 小 規 模 の 科 学 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 教 育 に お い て も 、 ス キ ル だ け で な く 認 識 や 姿 勢 を 重 視 す る 取 り 組 み も あ る ( た と え ば 斉 藤 ・ 戸 田 山 ・ 福 井 、2008)。 そ れ ら は 全 体 の 動 向 か ら 見 る と 、 例 外 的 な 活 動 で あ る と い え る 。

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