• 検索結果がありません。

実践活動の分析結果

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 72-89)

第 2 章 先行研究レビュー

3.3 実践活動の分析結果

本節 では、事例 に 関し て何 がい つ 行わ れた のか、具 体的 な活 動の 段 階、

省 察 の内 容、表 現の プロ セス に注 目し て 分 析結 果を 示 す 。事例 で生 じた 主な イベ ント を 次 ペ ージ 表3-2に 示 した 。この 流れ に沿 っ て 、以 下に 分析 結果 を示 して いく 。 具体 的な 活動 、省 察の 分類 結 果、 表現 の創 出・ 修正 の分 析結 果 そ れぞ れ のま とめ は次 節以 降で 行う 。なお 、表 現の 修 正 は些 細な もの を含 める と 膨大 にあ るた め、一部 の 修正 のみ を 抜 粋し て 示 した 。

2 筆 者 は 、 事 例 の 調 査 の 前 に 、 研 究 会 の 学 生 A1~F1 に イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た(2010 12月)。 活 動 経 験 に つ い て は そ の 際 に 確 認 し た 。

3 詳 細 は 第 1 章 の 「 研 究 の 方 法 」 を 参 照 。

64

表3-2 事 例 の科 学技 術コ ミュ ニ ケ ーシ ョン 活動 の関 連 事項

段 階 日 程 主 な イ ベ ン ト 主 な 内 容

準 備 2010 12

25 イ ン タ ビ ュ ー 2011

1月

19 ミ ー テ ィ ン グ 企 画 の 提 案 21 ミ ー テ ィ ン グ 企 画 書 作 成 ・

今 後 の ア ジ ェ ン ダ 作 り 25日 ミ ー テ ィ ン グ 企 画 書 の 修 正

28日 ミ ー テ ィ ン グ 企 画 書 の 修 正 ・ 運 営 に 関 す る 議 論

2 4 練 習 会 発 表 練 習

10日 体 験 会 研 究 会 学 生 に よ る 発 想 法 体 験 15日 打 ち 合 わ せ 市 役 所 役 員 と の 打 ち 合 わ せ 18 イ ン タ ビ ュ ー

21 打 ち 合 わ せ X1氏 と の 打 ち 合 わ せ

( 企 画 協 力 の 打 診 ) 25 ミ ー テ ィ ン グ 発 表 の 修 正 点 報 告 ・

役 割 分 担 に つ い て 3月 2日 イ ン タ ビ ュ ー

3 打 ち 合 わ せ X1氏 と の 打 ち 合 わ せ( 実 施 に 関 す る 相 談 )

7 ミ ー テ ィ ン グ 発 表 の 修 正 点 報 告 ・ 会 場 作 り に 関 す る 議 論

10日 練 習 会 ・ 体 験 会 発 表 練 習 ・ 発 想 法 の 体 験 15日 ミ ー テ ィ ン グ 前 日 ・ 当 日 準 備 と 確 認 18 前 日 準 備 備 品 搬 出 ・ 会 場 作 り 等 実 践 19 サ イ エ ン ス カ フ ェ サ イ エ ン ス カ フ ェ の 実 施

反 省 21日 イ ン タ ビ ュ ー

4月 12日 反 省 会 サ イ エ ン ス カ フ ェ の 反 省 5 23 報 告 書 の 完 成 メ ー ル に よ る 報 告 書 の 共 有

65

(1) 準 備 段階 (1-1) 立 案

2010年 11 月 以 降、 研究 会は 第 17 回サ イエ ンス カフ ェ をど うす るか につ いて 複数 回の ミ ーテ ィン グを 開い て議 論し てい た 。こ のよ うな 状 況を 受け 、12 月末 ごろ に、 学生 A1 は自 らの 研究 をテ ーマ に サイ エ ン スカ フェ がで きな い か、 と考 える よう にな った4

学 生 A1は博 士後 期 課程 の研 究テ ーマ とし て技 術に 関 する アイ デア 発 想法 につ いて 研究 し て い る。 その 研究 成果 とし て、 特 許公 報と いう 発 明の 詳細 が記 され た 公開 資料 を利 用し て 、 技術 開発 の ため のア イデ ア を効 率的 に発 想す る 方法 論を 開発 して いた 。学 生 A1 が開 発し たア イデ ア発 想の 方法 論で は 、既 存の 特許 公 報 を読 む必 要が あ った 。し かし 一 人で 大量 の特 許公 報 を読 むの は難 しい 。そ こで 学生 A1 は 、研 究会 が実 施す るサ イエ ンス カ フェ のス タイ ル が 利用 でき ると い う仮 説を 生成 し た 。 以下 が仮 説に 関 わる 学生 A1 発言 であ る。

サ イ エ ン ス カ フ ェ の 方 式 が 技 術 に 関 し て も 使 え る と 思 え て き た ん で す 。【 中 略 】 特 許 公 報 い う の は 一 件 一 件 が 何 ペ ー ジ か あ り ま し て 、 な か に は ペ ー ジ 数 が 多 い の が あ り ま し て 50 ペ ー ジ と か 100ペ ー ジ と い う の が あ る ん で す 。 で 、 読 み た い 人 が そ れ ぞ れ 別 々 に そ う い う 文 献 を 読 ん で い く と い う 方 法 も あ る と 思 う ん で す け ど 、 全 体 か ら み る と 効 率 が 悪 い な と 思 う ん で す 。 一 人 の 人 が 全 部 読 ん で 理 解 し て 、 他 の 人 が 理 解 す る と 、 他 の 人 は そ の 分 楽 に な る な と 思 う ん で す 。【 中 略 】 サ イ エ ン ス カ フ ェ 形 式 を 使 う と 、 多 く の 人 が 容 易 に 理 解 で き て 、 利 用 で き る と 思 う ん で す 。( イ ン タ ビ ュ ー12 25日 )

上記 でい うと ころ の サイ エン スカ フェ の方 式と い う の は つ まり 、1~

2 名が 特許 公報 につ いて 勉 強し 、 勉強 した 内容 を他 の 参加 者に 話題 提供 をし てか ら 参 加者 全 員で アイ デア 発想 を行 う と いう こ とで ある 。そ う する こと によ り 、 発 想の 効率 が上 がる ので はな いか と 考え た。 学生 A1 は、 上記 のよ うな 信 念を 背景 に 、 サイ エン スカ フェ の 企画 の意 義や 内 容を 表現 した 企画 書 を作 成し た 。 そし てそ の企 画書 を 2011 年 1 月 19 日の ミー ティ ング で 研究 会メ ンバ ーに 提案 した 。 表 現 され た企 画書 は 下記 の通 りで ある 。

4 学 生 A1 へ の イ ン タ ビ ュ ー(2010 12 25)に 基 づ く 。

前 提 の 省 察 : カ フ ェ 形 式 が 技 術 の ア イ デ ア 発 想 に 有 効 と い う 仮 説

66

タ イ ト ル :「 あ な た の 研 究 内 容 に 発 明 は 含 ま れ て い ま せ ん か ? 今 一 度 、 ご 確 認 し ま し ょ う ! 」

目 的 : 発 明 や 特 許 に よ り 親 し み 、 日 本 や 他 の 多 く の 国 々 が 所 有 し て い る 膨 大 な 量 の 知 識 宝 庫 を 活 用 し 、 新 た な 知 識 を 生 み 出 す 際 に 役 立 た せ る

対 象 :JAIST の 学 生

(1 19日 に 配 布 さ れ た 企 画 書 よ り 一 部 を 抜 粋 )

これ に対 し 学 生 B1と 学 生 A1 の 間 では 次の よう な対 話 がな され た 。

学 生B1 が 「 こ う い う の を 中 小 企 業 で や っ た ら く る ん じ ゃ な い で す か ? 」 と 話 す と 、 学 生 A1 が 「 学 生 B1 さ ん 、【 中 小 企 業 に つ い て 】 知 っ て い た ら 教 え て ほ し い ん で す 」 と 答 え た 。 学 生 B1は 能 美 市 内 の 中 小 企 業 で や れ ば 学 官 連 携 で や れ る し 、 皆 さ ん も 喜 ん で く れ る は ず だ と こ た え た 。 学 生 A1 は 「 喜 ん で い た だ け る と 良 い で す 」 と 返 答 し た 。( フ ィ ー ル ド ノ ー ツ 1 19日 )

この よう にし て 学 生 A1は中 小企 業へ 実施 でき ると い う 選 択肢 があ る とい う 知 識を 獲得 し 、学 生 B1 に 同意 し た 。そ の 結 果 、 企 業関 係者 を対 象 に 企画 を 実 施す る こと が決 まっ た。

1 月 21日 に は 、 企 画書 を作 成す る ため のミ ーテ ィン グ を行 った 。こ の 際 には 、学 生 A1 の考 える サイ エン スカ フェ の実 施 目的 は、 当初 から 変化 して いた 。 企 画 の 対 象者 が中 小企 業関 係者 に変 更 され た影 響を 受 け、 学生 A1 は 地 元 の企 業 関 係者 と地 元能 美市 への 地 域貢 献を 実施 目的 にし たい 、と 考え た ので あ る 。 学 生 A1 は ミー ティ ン グ時 に次 のよ うに 発言 して いる 。

今 回 の サ イ エ ン ス カ フ ェ の 第 一 の 目 的 は 、【 中 略 】 ち ょ っ と こ の 地 域 の 人 に 役 立 た せ て い た だ き た い と 思 う ん で す 。( フ ィ ー ル ド ノ ー ツ 1 21日 )

地域 貢献 とい う目 的 は、 単に 後付 け さ れた もの では な い。 企画 提案 前 の イン タビ ュー で は 、 学生 A1 は入 学時 より 、 研 究 と関 わる 人生 の目 標( モッ トー )が あ ると 語っ てい る。 それ は地 域社 会 、日 本、 世界 に 貢献 した いと いう 内 容で ある 。具 体的 には 次の よう に 述べ てい る。

目 的 を 言 語 化 : 発 明 に 親 し み 、 知 識 宝 庫 を 知 識 創 造 に 活 用 す る と い う 目 的

前 提 の 省 察 : 地 域 貢 献 と い う 目 的 の 設 定 知 識 の 獲 得 : 学 生 B1か ら 企 業 の ニ ー ズ と 実 施 可 能 性 に つ い て 学 ぶ

67

私 、 ひ と つ の モ ッ ト ー が あ り ま し て ね 、 地 域 社 会 へ の 貢 献 と 日 本 へ の 貢 献 と 世 界 へ の 貢 献 。【 中 略 】 私 は 子 供 の こ ろ か ら 外 国 に 関 心 が あ り ま し て ね 。 地 域 社 会 へ の 貢 献 は 、 最 近 、10年 、20年 前 か ら で す ね 。 最 初 思 っ て い た こ と は 日 本 で は な く て 、 外 国 に 目 が 向 い て い た ん で す 。 だ け ど 良 く 考 え る と 自 分 と こ ろ を 大 事 に せ な あ か ん と い う と こ ろ が 出 て き て 、 地 域 社 会 へ の 貢 献 と い う の が 出 て き て い る ん で す 。

( イ ン タ ビ ュ ー12 25日 )

この よう に、 サイ エ ンス カフ ェの 目的 は、 学生 A1 が 自覚 する 研究 目 標 の なか か ら 生ま れ た も ので あっ た。 ミー ティ ング で は、 ほか の学 生 との 相談 の結 果、 発 明の 過程 を体 験し て自 分で アイ デ アを 出せ るよ う にな る思 考法 を身 に つけ る こ とを 通じ て 地 域貢 献 に つ なげ る こ とが 決 めら れた 。そ して そ のミ ーテ ィン グを もと に 、 再度 企 画書 が作 成さ れ た。 その 企画 書 で は 目的 が次 のよ うに 表現 され た。

発 明 に つ な が る ア イ デ ィ ア 発 想 法 を 体 験 す る サ イ エ ン ス カ フ ェ を 行 う こ と に よ り 、 参 加 者 が ア イ デ ィ ア 発 想 の 方 法 論 に 対 す る 理 解 を 深 め る こ と を 目 的 と す る 。

(1 20日 企 画 書 よ り 一 部 を 抜 粋 )

この よう に学 生 A1の 地 域貢 献 し たい とい う意 志に 基 づき 、 企 画の 目 的 が 表現 され た。

(1-2) 資 料 の作 成

学 生 A1は 企 画 書 に 基 づ き 、2月4日 の 練 習 会 に 向 け た 発 表 資 料 の 案 を 作成 し た5。 ここ で 作 成さ れ た 資料 は、 三 つ の テー マ に 分け ら れて い た。

一つ は導 入で 、発 明の 例な ど をあ げ、発 明 と は 何か、 ど んな 種類 が ある のか とい うこ とな ど を説 明し てい る。発明 と は何 かを 初心 者に 理 解 して もら うた めの 説明 で あり 、今 回初 めて 作成 され た ( 図3-1参 照)。

二つ 目は 理論 の説 明 で、学 生が 開 発し たア イデ ア発 想 法の 特徴 や理 論 を説 明し た 。自 らが 開 発し たア イ デア 発想 法の キー と なる 概念、「 発 明空 間」がど のよ う な概 念で ある か を 重点 的に 、具 体 例を あげ なが ら 説 明し てい る 。そ のな かの 図 に関 して 、「 モデ ル図 はど こか の 論文 のを 持っ てき たん です か」と いう 質問 に対 して は、過去 にあ る 学会 に提 出し た論 文の

5 ど の よ う に 構 成 し た か と い う 記 述 は 、 学 生 A1へ の イ ン タ ビ ュ ー(2011 2 18 日)に 基 づ く 。

前 提 の 省 察 : 研 究 目 標 の 自 覚

目 的 を 言 語 化 : 参 加 者 が 発 想 の 方 法 論 を 理 解 す る と い う 目 的

68

中に これ が入 って い ると 述べ てい る。この よう に 説明 資料 の 一 部は 、過 去に 作成 した 研究 資 料か ら必 要な 図や 文章 を抜 粋し 、貼り 付け る と いう 形で 作成 され た ( 図3-2参 照)。

3-1 ス ラ イ ド の 例1

( 出 典 : 学 生 A124日 に 発 表 し た プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 資 料 )

3-2 ス ラ イ ド の 例2

( 出 典 : 学 生 A124日 に 発 表 し た プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 資 料 )

三つ 目は 体験 ワー ク ショ ップ の説 明で 、参 加者 が行 う 作業 につ いて 説明 する 内容 であ る 。学生 A1 は 発想 法の 作業 につ い て、 過去 に 一 般の 人 に 説明 した こと が なか った 。こ のた め事 例の サイ エ ンス カフ ェの た めに 一般 の人 でも わ かる 作業 工程 の説 明を 考え 、新 た にス ライ ドを 作 成し た (図 3-3)。

3-3 ワ ー ク シ ョ ッ プ で の 記 述 の 説 明 の た め の ス ラ イ ド

( 出 典 : 学 生 A124日 に 発 表 し た プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 資 料 )

これ らの 構成 は 、ア イデ ア 発想 を 体験 して もら うと い う目 的か らト ッ プダ ウン 的に 考え ら れて いた 。 学 生 A1 は 「 これ を作 ると きに ど う いう 構 成 や 内 容 を 考 え た ん で す か 」 と い う 質 問 に 対 し 、 次 の よ う に 述 べ た 。

69

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 72-89)