第 2 章 先行研究レビュー
3.5 省察の分析結果まとめ
3.5.3 前提の省察
(1) 目標 設定 と 自 己 の研 究 位 置づ けの 省察
サイ エン スカ フェ を 提案 した 当初 は、 学生 A1 は 、サ イエ ン スカ フ ェ とい う発 表形 式が ア イデ ア発 想に 効率 的で はな いか と 考え 、企 画 し てい た。しか し 、ミ ーテ ィン グで 地 元 企業 関係 者を 対象 に する こと が決 まる と、効率 性に 対 する 考え より も社 会貢 献に 対す る意 欲 が高 まっ た。この 地域 貢献 とい う目 的 は 、入 学時 か らの 研究 と関 わる 人 生の 目標 、つ まり、
地域 社会 への 貢献 、日本 への 貢献 、最 終的 には 世 界へ の貢 献の なか に位 置づ けら れて いた 。
学 生 A1 は 、地 域貢 献を 目 的に 掲 げる よう にな って 以 降、 研究 が地 域 貢献 とど う関 係す る のか をよ り具 体的 に述 べる よう に なっ た。また 、参 加 者 募 集 の た め に 能 美 市 の 企 業 関 係 者 に ア ピ ー ル す る こ と が 決 ま る と 、 学 生 A1 は 、能 美市 の政 策に つ い て調 査し 、企 画が ど う貢 献す るの かに つい ても 考え た 。目 標に 関す る省 察の 結果 は、発 表資 料や スピ ーチ に反 映さ れ、 表現 され た 。
(2) 自分 の研 究理 解 に対 する 省察
学生 A1 はサ イエ ン スカ フェ の準 備プ ロセ スが 、自 分 の研 究に 対す る フィ ード バッ クに な った と語 った 。 学生 A1 は、 練習 会で 説明 を 行 い、
資料 を作 るな かで 、研究 に関 する 見直 しが 行わ れ 、日 本と アメ リカ の基 本的 な特 許観 の違 い をア イデ ア発 想に 関係 付け た 。
(3) 聴衆 に対 する 仮 定 ・ 信念 の 省 察
学 生 A1 は 、準 備 段階で X1 氏に 協力 を要 請し 、対 話 する 中で 、能 美 市の 企業 組合 には ど うい う人 がい て、何を 求め て いる のか 、X1氏 が 自分 たち のこ とを どう 感 じて いる のか とい う事 に関 して 省 察を 行い 、聴 衆に つい ての 知識 を得 た 。そ して 、自 分と 地元 企業 関係 者 の間 に距 離感 があ るこ とに 気づ き 、そ れを 近づ ける には どう した らい い のか 考え 、発 表資 料に 工夫 を加 えた 。
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3.6 表現の創出・修正の分析結果 まとめ
言 葉 や プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 資 料 は ど の よ う に 創 出 ・ 修 正 さ れ た の か 、 分析 結果 を示 す。 分 析結 果の まと めを 、表 3-4 に 示し た。 以下 、 こ の結 果に つい て説 明す る 。
(1) 初期 案の 作成
初期 案は 、練 習 会に 向け た準 備と して 作成 され た 。大 きく 分け て発 明 に関 する 導入 、「発 明空 間」の理 論 、ワー クシ ョ ップ の手 順と いう 流 れで 構成 され た。こ れら の構 成は 、ア イデ ア発 想を 体験 し ても らう とい う目 的か らト ップ ダウ ン 的に 考え られ てい た 。発 表の 中心 で ある「 発明 空間」
の理 論の 説明 資料 は 、過 去の 発表 資料 から 抜粋 して 作 られ てい た。
(2) 発表 資料 と説 明 の修 正
上記 初期 案を もと に、2月4日 以降 発表 資料 やス ピー チ が修 正さ れた 。 2 月 4 日 の 練習 会に おけ るほ か の 学生 らの 指摘 がき っ かけ とな って 、レ イア ウト や言 葉遣 い が修 正さ れ、 説明 の補 足な ども 行 われ た。
地元 にア ピー ルす る 必要 があ ると いう 運営 上の 問 題 が 浮上 する と 、学 生 A1 と 参 加者 (地 元の 市民 ) の 距離 感を 小さ くす る ため の情 報が 追加 され た。ま た、距離 感 を小 さく する ため の情 報は 、X1氏 との 対話 後 に も、
その 対話 内容 を反 映 して 追加 され た。
2 月に は、発 想法 と ほか の知 識と の関 係性 に関 する 説 明が 追加 され た。
これ は、 学生 A1 が 発表 準備 を す る過 程で 気づ き、 新 しく 得た 研究 上の 知識 であ り、 学生 A1 は 新し い 知 識を 是非 説明 に入 れ たい と考 え て 、発 表に 追加 した 。3 月 10 日の 体験 会 にお ける ほか の学 生 の指 摘も 、構 成の 変化 とい う修 正に 影 響し てい た。
発表 が近 づく と、 学生 A1 が発 表 を見 直し 、構 成や レ イア ウト 、言 葉 遣い など を修 正し た 。説 明の 補足 も行 われ 、こ れは 学生 A1 が 概 念 をで きる だけ わか りや す く説 明す るた めに 追加 され てい た 。補 足さ れ た のは、
背景 知識 や、聞 き手 がす ぐに は理 解し にく いポ イン ト 、参 加者 が疑 問を 持ち そう なポ イン ト など であ った 。
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表 3-4 表 現の 創出 ・修 正 の 分 析 結果
時 期 主 な
表 現 内 容 変 更 の コ ー ド の 例 契 機 ・ 要 因
~2月4日 初 期 案 の 作 成
発 表 の た め の 準 備 と し て 作 成 し た 。 目 的 か ら ト ッ プ ダ ウ ン 的 に 必 要 な 内 容 や 構 成 を 考 え た 。 理 論 の 説 明 は 、 過 去 の 研 究 資 料 か ら 抜 粋 さ れ て 作 ら れ た 。
2月 4 日
~
2月 25日
デ ザ イ ン ・ 言 葉・書 き 方 の 変 化
「 先 行 研 究 」 と い う 言 葉 遣 い の 変 化 文 字 サ イ ズ ・ フ ォ ン ト ・ 色 の 変 更
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
説 明 の 補 足 ア イ コ ン の 補 足 的 説 明 の 追 加
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
情 報 の 追 加 自 己 紹 介 の 追 加 練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
背 景 ・ 目 的 の 追 加 参 加 者 募 集 の た め 、 地 元 に ア ピ ー ル す る 情 報 が 追 加 さ れ た 。 情 報 の 省 略 公 報 の 削 除
説 明 内 容 の ス ラ イ ド の 削 除
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
2 月 21 日
~
情 報 の 追 加 敷 居 に つ い て の 説 明 の 追 加
地 元 企 業 の 特 許 公 報 の 追 加
X1 氏 と の 対 話 の 内 容 を 踏 ま え て 修 正 さ れ た 。
2 月 25 日
~
情 報 の 追 加 他 の 要 素 と 発 想 法 の 関 係 を 示 す 説 明 の 追 加
学 生 A1 が 発 表 の 準 備 過 程 で 研 究 上 の 気 づ き を 得 た 。 こ の 気 づ き の 内 容 が 追 加 さ れ た 。
構 成 の 変 化 ス ラ イ ド の 順 番 の 変 化
体 験 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し 、 学 習 し た 。
デ ザ イ ン ・ 言 葉・書 き 方 の 変 化
フ ォ ー マ ッ ト デ ザ イ
ン の 変 化 学 生 A1 が 点 検 し て わ か り に く い 点 に 気 付 き 、 修 正 し た 。
説 明 の 補 足 発 想 技 術 に つ い て の 説 明 の 補 足 的 追 加
学 生 A1 が 点 検 し て わ か り に く い 点 に 気 付 き 、 修 正 し た 。
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3.7 おわりに
本節 では 分析 結果 全 体か ら得 られ た 発 見事 項を まと め る 。
活動 プロ セス は、(1)準 備段 階、(2)実践 段階、(3)反省 段階 の大 きく 3 段 階に 分け るこ とが で きた 。
省 察 に つ い て 、 内 容 の 省 察 で は(1)発 表 上 の 問 題 に 対 す る 省 察 と(2)運 営上 の 問 題 に 対す る 省察 が、過 程 の省 察 で は(1)発 表上 の 問 題 に 対 す る省 察 が 観 察 さ れ た 。 前 提 の 省 察 に つ い て は(1) 目 標 設 定 と 自 己 の 研 究 位 置 づけ の省 察、(2) 自分 の研 究理 解 に対 する 省察、(3) 聴 衆に 対す る 仮定・
信念 の省 察 の 3 種 類 が 観察 され た 。 これ らの 省察 に よる 知識 の 変 化は、
発表 内容 にも 影響 を 与え てい た。省察 の多 くは(1)の準 備段 階で 観 察 され た 。
(1)の 準備 段 階で は、表 現の 創出(修 正を 含む )の 試 みが 何度 も行 われ 、 表現 が発 展的 に変 化 して いた 。 学 生 A1 の 表 現す る契 機に なっ て い たの は、他 の 学生 から の指 摘 、X1 氏 か らの 意見 、研 究内 容に つい て の 理 解の 変 化 、運 営上 の必 要 性、 実践 前の 資料 の見 直し であ っ た。
また 、事 例で 創造 さ れた と考 えら れる 知識 は下 記 の 5 種 類で あっ た。
1) 知 識の表 現
伝え るた めの 知識 の 表現 とし て 、スピ ーチ とス ライ ド プレ ゼン テー シ ョン 資料 が作 られ 、実践 プロ セ ス にお いて は企 画書 と 議事 録の 表現 も創 造さ れた 。ス ラ イド プレ ゼン テー ショ ン資 料は 、学会 発表 資料 から 一部 を 抜 粋 し て 構 成 さ れ 、 補 足 説 明 が 入 る 、 話 す 際 の 構 成 が 変 化 す る な ど 、 様々 な変 化を 受け た 上で 表現 され た。さら に 準備 段階 では 新た に 発 見し た知 識も 追加 され た。また 、科 学 的な 知識 に、親し みを 感じ る ため のメ ッセ ージ 、自 分 自身 のア ピー ルな どが 組み 合わ され て 、ひ とつ の文 脈を 持っ た表 現が 作成 さ れて いた 。
2) 表 現方 法についての知識
練習 会で 他の 学生 が 発表 上の 問題 点を 指摘 した こと が 契機 とな り 、学 生 A1 が 発 表上 の問 題と その 解 決 方法 を省 察し 、わ か りや すく 表現 する 方法 につ いて の知 識 を創 造し てい た。
3) 他 者についての知識
準備 過程 の X1 氏と の対 話 が、 聴 衆の 特徴 や思 いを 考 える 前提 の省 察 を 促 し 、 地 元 企 業 組 合 の 人 々 に つ い て の 知 識 を 創 造 す る 契 機 と な っ た 。
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聴衆 につ いて の知 識 は発 表資 料に 影響 を与 えて いた 。
4) 自 分についての知識
本事 例で 創造 され た 自分 につ いて の知 識と は 、自 分が どの よ うな 信 念 や目 標を もつ のか に 関す る知 識で あっ た。前提 の 省察(目 標設 定 と 自己 の研 究位 置づ けの 省 察)によ って 、自 分の 研究 の 信念(モ ット ー )が明 示化 され 、研究 がど のよ うに 地 域 貢献 する のか につ い ての 知識 が創 造さ れて いた 。
また 、自 分の 科 学的 知識 の理 解に 対す る気 づき もみ ら れた 。練 習会 を 重ね る中 で、自 分が 科学 的知 識を どの よう に理 解し て いる か、曖昧 な理 解と なっ てい る箇 所 はど こか 、気 づい た。これ が 契機 とな って 追加 の調 査を 行い 、新 たな 科 学的 知識 を 創 造 し て い た 。
5) 運 営に関する知 識
事後 の反 省会 にお い て、参 加者 募 集を 研究 会で も行 う べき であ った な どの 運営 上の 問題 点 につ いて の省 察を 通じ て 、運 営に 関す る知 識 が 創造 され 、学 生間 に蓄 積 され た。
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