第 4 章 事例分析 2 東京大学院生出張授業プロジェクト BAP
4.5 省察の分析結果まとめ
4.5.3 前提の省察
(1) 研究 に関 わる 信 念の 自覚
学生 A2 が 企画 をす る背 景 には 、 二つ の信 念が 自覚 さ れて いた 。一 つ は、高校 生 には 理系 文系 にと ら わ れず に社 会貢 献で き る分 野を 選ん でほ しい とい う信 念で あ る。 これ には 学生 A2 が 進路 選択 の際 、社 会 に 関わ りた いと 考え て都 市 工学 とい う分 野を 選ん だ経 緯が 影 響し てい た 。もう 一つ は、自分 の 研究 分野 を世 の中 に広 めた いと いう 信 念で あり 、特 に震 災を 受け て、 都市 工 学を 世の 中に 広め たい と考 える よ うに なっ た。
(2) 自分 の研 究理 解 に対 する 省察
学 生 A2 は 、授 業を 行う こ とを 、 研究 の問 題意 識や 知 識を 整理 する こ
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とに つな げた いと 考 えて いた 。実 際、 学生 A2 は 資料 を作 成す る 中 で、
研究 に関 わる 知識 を 整理 し、 曖昧 にし てき た点 を 明 確 にし た。
(3) 他者 に対 する 仮 定・ 信念 の 省 察
学生 A2 は 実践 の過 程で 、 ほか の 分野 の大 学院 生や 、 高校 生に 対す る 仮定 を見 直す 機会 を もっ た。BAP の練 習会 後の ほか の 大学 院生 との 会話 か ら 、 大 学 院 生 で も 分 野 に よ っ て 認 識 が 異 な る こ と を 、 高 校 生 か ら は 、 都市 工学 に興 味が あ る生 徒が いる とい うこ と 、距 離感 の感 じ方 に 違 いが ある とい うこ とを 学 んで いた 。
4.6 表 現の創出・修正の 分析結果 まとめ
発話 の内 容や プレ ゼ ンテ ーシ ョン 資料 はど う作 られ 、また ど のよ う な 影 響 を う け て 修 正 さ れ た の か 、 分 析 結 果 を 示 す 。 分 析 結 果 の ま と め を 、 表 4-4 に 示し た。 こ の結 果 を まと める と以 下の よう に なっ た 。
(1) 初期 案 の作 成
初期 案は 、前 半部 と 後半 部に 分け て作 成さ れた 。前 半 部の 最も 伝え た いテ ーマ は、 学生 A2 の オリ ジナ ルの 研究 枠組 みを も とに 、新 たに 作成 され 、そ のテ ーマ に した がっ て構 成を 考え た。 資料 の 作成 は、 自分 の なか の研 究の 整理 と して の役 割も あり 、研 究の 問題 関 心の 曖昧 さに 気 づく 契機 にな った 。 後半 部は 過去 のワ ーク ショ ップ の 資料 に修 正を 加 えて 作成 した 。
(2) 発表 資 料と 説明 の修 正
練習 会で ほか の学 生 らの 指摘 を受 けて 多く の修 正を 行 った 。言 葉遣 い やデ ザイ ンを 修正 し たり 、説 明を 補足 した り、 情報 を 絞る など の工 夫 をし た。 また 、高 校 生に 伝え た い メッ セー ジに 対し て 重み 付け も行 わ れた 。修 正は 、基 本 的に は練 習会 で指 摘さ れた こと に 従っ て行 われ た。
(3) 出張 授 業後 の発 表
授業 は、 練習 会後 の 修正 に基 づい て行 われ 、生 徒と の 質疑 応答 が増 や され た。
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表 4-4 表 現の 創出 ・ 修 正 の 分 析 結果
時 期 主 な 表 現 内 容 上 位 コ ー ド の 例 契 機 ・ 要 因
~ 7月 8日
初 期 案 の 構 成
発 表 の た め の 準 備 と し て 作 成 し た 。 前 半 部 は 過 去 の 資 料 を 参 考 に し て 伝 え た い 研 究 の 問 題 意 識 に あ わ せ て 資 料 を 作 成 し た 。後 半 部 は 過 去 に 使 用 し た 資 料 を 修 正 し て 作 成 し た 。 7月 8日
~
7月14日
デ ザ イ ン ・ 言 葉・書 き 方 の 変 化
重 要 な 情 報 を 太 字 に 変 更
都 市 マ ス と い う 言 葉 遣 い の 変 更
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た
説 明 の 補 足 説 明 の ま と め を 追 加 練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。 レ ゴ の 例 で 説 明 を
補 足
学 生 A2が 自 分 で 考 え て 修 正 し た 情 報 の 追 加 学 問 の 全 体 に つ い て
の 情 報 の 追 加
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
ア メ リ カ の 土 地 利 用 の 図 面 を 追 加
学 生 A2 は も と も と そ う す る つ も り だ っ た が 練 習 会 に 間 に 合 わ な か っ た 。
情 報 の 省 略 現 状 分 析 の 説 明 の 省 略
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
構 成 の 変 化 本 日 の テ ー マ の ス ラ イ ド の 移 動
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
一 部 の 文 章 を 別 ス ラ イ ド に 分 割
学 生 A2が 自 分 で 考 え て 修 正 し た イ ン タ ラ ク シ
ョ ン の 増 加
都 市 を ど う 作 れ ば い い か と い う 生 徒 へ の 質 問 の 追 加
練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。
都 市 計 画 は い つ で き た か と い う 生 徒 へ の 質 問 の 追 加
学 生 A2が 自 分 で 考 え て 修 正 し た
ど ん な 期 待 を も っ て 参 加 し た の か に つ い て 生 徒 に 質 問
学 生 A2 は も と も と そ う す る つ も り だ っ た が 練 習 会 に 間 に 合 わ な か っ た 。
説 明 の 変 更 学 部 の 説 明 に 変 更 練 習 会 で ほ か の 学 生 が 指 摘 し た 。 7月14日
~
説 明 の 補 足 具 体 的 に 説 明 す る べ き
生 徒 の ア ン ケ ー ト の 回 答 を 見 て 学 生 A2が そ う 考 え た 。
指 導 方 針 の 変 化
生 徒 に 考 え さ せ る べ き
X2先 生 の 指 摘 を 受 け た 。
学 生 A2自 身 が 、 実 践 後 に 考 え た 。 情 報 の 省 略 分 量 を 減 ら す べ き X2先 生 に 指 摘 を 受 け た 。
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(4) 出張 授 業後 の反 省
反省 会で は、も っと 社会 との 接点 を見 せた い、も っと 生徒 が考 える 時間 を作 るべ きだ った と いう 反省 が述 べら れた 。ま た 、説 明が 長く 無 駄 があ った など の反 省も 、 事後 イン タビ ュー では 出さ れた 。
4.7 おわりに
本事 例の 活動 プロ セ スは、(1)準備 段階、(2)実践 段階、(3)反省 段階 の 大 き く 3 段 階に 分け る こと がで きた 。
省察 に つい て は、 内 容の 省 察で は(1) 発 表 上の 問 題に 対 する 省 察、(2) 企 画 進 行 上 の 問 題 に 対 す る 省 察 が 観 察 さ れ 、 過 程 の 省 察 で は(1) 発 表 上 の 問 題 の 解 決 法 に 対 す る 省 察 、(2) 団 体 の 支 援 に 関 す る 省 察 が 観 察 さ れ た。前提 の省 察で は(1) 研究 に関 わる 信念 の自 覚、(2) 自 分の 研究 理解 に 対す る省 察 、(3) 他 者に 対す る 仮 定・信念 の 省察 が観 察さ れた 。最 も多 く の省 察や 知識 の獲 得 が観 察さ れた のは 、事例 1 と 同様 、(1)の 準 備 段 階で あっ た。一方、事例 1 と異 なり 、(2) 実践 段階 や (3)反 省 段階 にお い て も 、 省察 が観 察さ れた 。
(1)の 準 備 段 階 で は 、 練 習 会 に 向 け て 表 現 の 創 出 が 行 わ れ 、 練 習 後 に 大き な修 正を 経た う えで 、実 践段 階に 移っ てい た。 学生 A1 の 資 料 や説 明方 法の 修正 の 契 機 にな って いた のは 、他 の学 生 から の指 摘、先 生 から の指 摘、 高校 生の 反 応、 実践 後の 反省 であ った 。
また 、事 例で 創造 さ れた と考 えら れる 知識 は下 記 の 5 種 類で あっ た。
1) 知 識の 表 現
伝え るた めの 知識 の 表現 とし て、スピ ーチ と ス ライ ド・プ レゼ ンテ ーシ ョ ン 資料 が作 られ 、実践 プロ セ ス にお いて は授 業計 画 書の 表現 も創 造さ れ た 。 ス ライ ド・プ レ ゼン テー シ ョン 資料 は、前半 部と 後半 部 に分 けて 作成 され た 。前 半部 の 構成 は 、最 も伝 えた いテ ーマ に 即し て表 現さ れた。
練習 会を 経て 説明 を 補足 し 、情報 を絞 るな どの 工夫 が 加え られ た。科学 的知 識だ けで なく 、 学生 A2 が 伝 えた いメ ッセ ージ の 表現 が、 練習 会後 には 重点 的に 加え ら れた 。
2) 表 現方 法 につ いて の知 識
練習 会で 他の 学生 が 発表 上の 問題 点を 指摘 した こと を 契機 とし、学 生 A2 が発 表上 の問 題と そ の解 決方 法を 省察 し、わ かり やす く表 現す る 方 法に つい ての 知識 を創 造 して いた 。こ の知 識を 用い て発 表 の修 正が 行わ れた。
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事後 にも 反省 が行 わ れ、どう し た らも っと 良く なる の かに つい ての 知識 を創 造し てい た。
3) 他 者に つ いて の知 識
練習 会後 のほ かの 学 生や 高校 生の 反応 から 、自分 の想 定と 実際 の 人 々の ギャ ップ に気 づき 、 他者 につ いて の知 識を 得て いた 。
4) 自 分に つ いて の知 識
自分 がど のよ うな 信 念を もつ のか が明 示化 され た 。こ の信 念に 基 づ いて 授 業 が 行 わ れ 、 伝 え る 内 容 に も 影 響 を 与 え た 。 表 現 す る こ と を 通 じ て 、 学 生 A2 の 研究 理解 が整 理さ れ 、 自分 がど のよ うな 点 を曖 昧に 理解 して いた のか につ いて 、 新た な知 識を 得た 。
5) 運 営に 関 する 知識
事 後 に 進 行 管 理 を う ま く す る べ き で あ っ た と い う 企 画 進 行 上 の 知 識 が 創造 され た。
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