第 2 章 事故情報提供のためのメディアの現状
2.1 序言
情報システム事故情報を市民へ提供する手段は,従来からの新聞,テレビ,
ラジオに加えて近年,インターネットが大きな位置を占めている.総務省がイ ンターネット利用者に対して行った「情報収集のためにどのようなメディアを 利用しているか」の調査結果[2.1]によると図2.1のとおりである.これによる とニュース情報収集のために利用しているメディアは,大きい順にテレビ84.0%,
インターネット67.4%,新聞62.2%,雑誌・書籍6.2%の人が利用している.本調 査はインターネットを利用している人を対象に行った調査であり,インターネ ットを利用していない人が多数いることを配慮すると,実際にはテレビ,新聞 をニュース情報収集源としている率はもっと高いと考えられる.
図 2.1 情報メディア別の情報収集用途(複数回答)[2.1]
次に総務省が行った各種情報を得る上でよく利用しているメディアに関する ウェブ調査結果[2.2]によると表 2.1 のとおりである.表 2.1 より,社会のニュ ースに関してはテレビが 1 位,新聞が 2 位,社会事象の詳しい解説に関しては 新聞が 1 位,テレビが 2 位,緊急の情報に関してはテレビが 1 位,インターネ
表 2.1 各種情報を得る上でよく利用しているメディア(2つまで回答)[2.2]
1位 2位 3位 4位 5位
社会のニュース テレビ
(89.5%)
新聞 (57.7%)
ホームページ (40.5%)
ラジオ (5.4%)
メーリングリスト (2.9%)
社会事象の詳しい解説 新聞
(58.7%)
テレビ (57.0%)
ホームページ (45.4%)
雑誌 (11.9%)
書籍 (7.1%)
緊急の情報 テレビ
(82.4%)
ホームページ (55.0%)
ラジオ (21.0%)
新聞 (12.2%)
口コミ (5.4%) 趣味関連商品の情報 ホームページ
(83.3%)
雑誌 (44.7%)
書籍 (16.9%)
テレビ (16.2%)
メーリングリスト (15.4%) 病気に関する情報 ホームページ
(61.8%)
テレビ (30.1%)
書籍
(29.9%) 新聞(16.8%) 雑誌 (13.2%)
ットが 2 位である.本データは平成 15 年度であるので,現時点ではもう少しイ ンターネットが増えている可能性がある.
表 2.2 は,日本新聞協会が 2005 年 10 月に行った「全国メディア接触・評価 調査」の調査結果[2.3]を基に,各メディアが 1 位の項目を 3 つずつ抜き出して 作成したものである.表 2.2 から,市民は新聞,テレビ,インターネットの特 徴を生かして使い分けて情報入手していることが分かる.また,同協会が 2005 年 10 月に行った「メディア別接触状況」[2.4]によると図 2.2 に示すとおり,
各メディアに接触している割合はテレビと新聞が 90%を越えている.
表 2.2 各メディアの印象・評価 [2.3]
*複数回答、n=3,443
メディア 印象・評価 評価(%)*
情報源として欠かせない 53.6
社会に対する影響力がある 53.4
地域や地元のことがよく分かる 52.1
情報量が多い 49.9
多種多様な情報を知ることができる 47.0
情報が速い 46.6
情報が正確 43.8
情報内容が信頼できる 39.8
中立・公正である 33.1
親しみやすい 67.0
楽しい 65.5
手軽に見聞きできる 52.8
ラジオ イメージがわからない・評価できない 20.1 インターネット
新聞
テレビ(NHK)
テレビ(民放)
図 2.2 各メディアに接触している割合 (n=3,443, %) [2.4]
図 2.3 ニュースの信頼性に対する評価 [2.5]
図2.3は,金田ら[2.5]が大学生227名に対して行った「メディア接触に関する アンケート」の結果であるが,メディアの信頼性は新聞が最も高いと感じられ ており,次いでテレビ,ラジオ,インターネット,雑誌の順に評価が低くなっ ていることを示している.
以上のことからニュース情報収集のために重要なメディアは新聞,テレビ,
インターネットであるといえる.これらの情報収集メディアは観点を変えれば 有効な情報提供のためのメディアでもある.これらのメディアは,インターネ ットの普及に伴い,多様な形態となっている.次節以降では,本論文の対象で ある情報システム事故情報を市民に提供するという目的に着目して.現状の情 報提供のための各メディアの特性等についてまとめる.