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ニュース性を決めている要因の分析

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 94-104)

第 4 章 金融情報システム事故に関する新聞報道の分析と考察

4.3 各事故報道のニュース性分析

4.3.1 ニュース性を決めている要因の分析

0 20 40 60 80 100 120

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006

事例件数

顧客サービス関連 業務処理関連

共通関連 犯罪行為

N=426

図 4.1 金融情報システム事故事例件数の年推移(大分類別)

表 4.2 ニュース性を決めている要因(候補)

分類 主要要因

顧客 サービ ス関連

業務処 理関連

共通関

犯罪 行為

障害時間

処理遅れ時間

情報配信遅れ時間  

空間的 障害地域の広域性

障害端末数

契約口座数

障害規模=障害時間×(障

害端末数又は契約口座数)

処理ミス件数

処理遅れ件数

誤情報配信件数

情報配信遅れ件数

不正処理件数

情報流出件数

誤処理総額  

1件当たり誤処理金額

不正処理総額

1件当たり不正処理金額

金銭的 時間的

数量的

(1) 顧客サービス関連

顧客サービス関連事故でニュース性を決めている要因は,利用者に提供され るサービスに影響を与える要因であると考えて,表4.2に示した障害時間,障害 端末数,契約口座数,広域性,障害規模についてニュース性,すなわち平均新 聞数との関係を調べた.

① 障害時間(銀行等および証券):図4.2より障害時間が大きくなるに従って 平均新聞数は右肩上がりになっており,障害時間はニュース性を決めている 要因といえる(4NDBの場合,r=0.27,P値<0.01).

② 障害端末数(銀行等):図4.3より障害端末数の増加と共に平均新聞数は右 肩上がりになっており,障害端末数はニュース性を決めている要因といえる

(r=0.47,P値<0.01). 障害端末数10~100に対する平均新聞数が高めに なっているのは,繰り返し障害2件,合併初日のトラブル2件などが含まれて おり,障害端末数は少なかったもののこれらがニュース性を高めたと考えら

0 10 20 30 40 50 60 70 80

30以下 ~100 ~300 ~1000 1000以上 障害時間(分)

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2

新聞数3 新聞数4

平均新聞数(銀行等+証券) 平均新聞数(銀行等) 平均新聞数(証券)

N=204

図 4.2 障害時間とニュース性

0 10 20 30 40 50 60

10以下 ~100 ~1000 ~10,000 10,000以上 障害端末数

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2 新聞数3 新聞数4 平均新聞数

N=109

図 4.3 障害端末数(銀行等)とニュース性

0 1 2 3 4 5 6 7 8

105以下 ~3X105 ~106 106以上 契約口座数

事例件数

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

平均新聞数

新聞数1 新聞数2 新聞数3

新聞数4 平均新聞数

105以下 ~3X105 ~106 106以上 N=24

図 4.4 契約口座数(証券)とニュース性

③ 契約口座数(証券):証券会社の場合,取引はATM等の端末ではなく,店頭 か電話かネットで行われるので端末数の代わりに契約口座数を使う.図4.4 より,契約口座数の増加に伴って平均新聞数は右肩上がりになっているので 契約口座数はニュース性を決めている要因といえる(r=0.51,P値=0.01).

ただし,証券取引所に関しては契約口座数という考え方は適さないので図 4.4のデータには含まれていない.因みにサービス関連事故における平均新 聞数を比較すると,証券会社2.0に対し,証券取引所は3.5と高い.このこと は証券取引所の事故であることがニュース性を高めていることを示してお り,他の要因の影響は少ないことを示している.

④ 広域性(銀行等):障害地域の広さを数市以内,1-2県,地方ブロック(3県 以上),全国(日本全体の半分以上)に分けてそれらの事例件数および平均 新聞数を求めた.図4.5より,数市以内から1-2県へは右肩上がりになってい るが,地方ブロックおよび全国についてはそれほど増加していない.その理 由は,インターネット専業銀行の「ネットバンキング利用不可」事故の障害 地域は基本的には全国であるが,障害規模が大から小までいろいろな事例が 含まれているのでニュース性を下げているためである.「ネットバンキング

めている要因といえる(r=0.46,P値<0.01).

0 10 20 30 40 50 60 70

数市以内 1-2県 地方ブロック 全国

広域性

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2

新聞数3 新聞数4

平均新聞数 平均新聞数(除、ネット)

N=173

図 4.5 広域性(銀行等)とニュース性

⑤ 障害規模:銀行等の障害規模は,「障害時間(分)×障害端末数」とする.

図4.6より障害規模の増加と共に平均新聞数はほぼ右肩上がりになっており ニュース性を決めている要因といえる(r=0.49,P値<0.01).

証券の障害規模は,障害端末数の代わり契約口座数を使い,「障害時間(分)

×契約口座数」とする.データ数は少ないが,図4.7より,傾向としては右 肩上がりであり,ニュース性を決めている要因といえる(r=0.49,P値=0.03).

0 5 10 15 20 25 30 35 40

1K以下 ~10K ~100K ~1,000K 1,000K以上 障害規模

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2 新聞数3 新聞数4 平均新聞数

N=105

103以下  ~104  ~105  ~106  106以上

図 4.6 障害規模(銀行等)とニュース性

0 1 2 3 4 5 6 7 8

107以下 ~3x107 ~108 108以上 障害規模

事例件数

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

平均新聞数

新聞数1 新聞数2 新聞数3 新聞数4 平均新聞数 N=21

107以下 ~3x107 ~108 108以上

図 4.7 障害規模(証券)とニュース性

(2) 業務処理関連

業務処理関連事故でニュース性を決めている要因は,処理関連として処理ミ スや処理遅れ,情報配信関連として誤情報配信や情報配信遅れが利用者に与え

金額,処理ミス件数,処理遅れ件数,誤情報配信件数,処理遅れ時間および情 報配信遅れ時間についてニュース性との関係を調べた.

その結果,誤処理総額および誤処理1件当たり金額については図4.8に示すと おりであり,ニュース性と相関があるとはいえない(誤処理総額の場合,r=0.19,

P値=0.19).件数関係は図4.9に示すとおりであり,処理ミス件数および誤情 報配信件数はニュース性と多少正の相関があるが,処理遅れ件数については相 関があるとはいえない.件数合計については10万件以上では増加しており,多 少正の相関があるといえる(件数全体の場合,r=0.25,P値=0.03).情報配信 遅れ件数についてはデータが1件のみのため省略している.処理遅れ時間につい ては,データが6件と少ないため,情報配信遅れ時間と合わせて図4.10に示す.

図4.10より,遅れ時間はニュース性と相関はない(r=0.17,P値=0.51).

以上から,これらの要因は,件数関係の一部を除いてニュース性を決めてい る要因ではないといえる.その理由は,処理関連事故全体の平均新聞数は2.9と 高いことから,処理関連事故の発生自体がニュース性高く扱われているためと 考えられる.

0 2 4 6 8 10 12 14 16

1万

10

100万

1000

1億

10

100億

100億 誤処理総額,誤処理1件当たり金額

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

件数(総額) 件数(1件当たり)

平均新聞数(総額) 平均新聞数(1件当たり金額)

N=51

図 4.8 誤処理金額(銀行等および証券)とニュース性

0 5 10 15 20 25 30

100以下 ~1,000 ~10,000 ~100,000 100,000以上 処理ミス件数/処理遅れ件数/誤情報配信件数

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2 新聞数3

新聞数4 平均新聞数(全体) 平均新聞数(処理ミス)

平均新聞数(処理遅れ) 平均新聞数(誤情報配信)

N=76

図 4.9 処理ミス/処理遅れ/誤情報配信件数とニュース性

0 1 2 3 4 5 6

~5分 ~30分 ~60分 ~120分 120分以上

遅れ時間(分)

1.0 2.0 3.0 4.0

処理遅れ時間(証券) 情報配信遅れ時間(証券) 平均新聞数 N=18

図 4.10 遅れ時間(証券)とニュース性

(3) 共通関連

共通関連事故のニュース性を決めている要因として情報流出件数について調 べる.ミスと犯罪を合わせて図4.11に示す.図4.11より,平均新聞数は右肩上 がりになっているので情報流出件数はニュース性を決めている要因といえる

(r=0.56,P値<0.01). さらに犯罪性はニュース性を高めている.なお,流 出内容のニュース性への影響を調べたが,多少の影響はあるが,流出件数ほど の影響はなかった.

0 2 4 6 8 10 12 14 16

~10 ~102 ~103 ~103以上

情報流出件数

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

新聞数1 新聞数2

新聞数3 新聞数4

平均新聞数(ミス+犯罪) 平均新聞数(犯罪)

平均新聞数(ミス)

~10 ~102 ~103 103以上 N=32

図 4.11 情報流出件数とニュース性

(4) 犯罪行為

犯罪行為全体の平均新聞数は 3.4 であり,非常に大きい.小分類項目別には,

不正取引 3.2(32 件),情報流出(犯罪)3.8(12 件),その他情報セキュリティ犯 罪 3.2(9 件),市場操縦 4.0(2 件)である.犯罪行為のニュース性を決めてい る要因として,まず不正取引に関して,不正処理金額と不正処理件数について 調べる.不正処理金額は,図 4.12 に示すとおり,総額,1 件当たり金額ともに ニュース性と相関はないのでニュース性を決めている要因とはいえない.その 理由は,不正取引全体の平均新聞数は 3.2 と非常に高く,この行為の発生自体

0 2 4 6 8 10 12 14 16

1万

10

100万

1000

1億

10

100億

100億 誤処理総額,誤処理1件当たり金額

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

件数(総額) 件数(1件当たり)

平均新聞数(総額) 平均新聞数(1件当たり金額)

N=32

図 4.12 不正処理金額とニュース性

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 ~3 ~10 10以上

不正処理件数

1.0 2.0 3.0 4.0

新聞数1 新聞数2 新聞数3 新聞数4 平均新聞数

N=24

図 4.13 不正処理件数とニュース性

正処理総額の場合,r=0.11,P 値=0.56).不正処理件数については,図 4.13 に 示すとおり,不正処理 2 件以上では平均新聞数 3.3 以上で安定しているので,

ニュース性を決めている要因とはいえない(r=0.34,P 値=0.10).

次に情報流出(犯罪)に関する情報流出件数は,上記(3)で述べたとおり,ニ ュース性を決めている要因である.

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 94-104)