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フォールト,重大性,ニュース性の相関関係

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 152-156)

第 5 章 技術的視点での金融情報システム事故に関する新聞報道の分析と考察

5.6 フォールトと重大性レベルおよびニュース性の関係分析

5.6.2 フォールト,重大性,ニュース性の相関関係

本項では,フォールト分類別の重大性とニュース性の関係について分析する.

これらの関係を図 5.4 に示す.

(1) 全体では右肩上がりであり,重大性とニュース性は正の相関がある(r=

0.33,P 値<0.01).

(2) Dev. F は,全体的には重大性とニュース性は正の相関があるといえる(r

=0.30,P 値<0.01). しかし,詳細には,「中」~「特大」では右肩上がりで あるが,「小」では「中」よりニュース性が高くなっている.「小」のニュース 性が高い理由を明らかにするために 4.4.2(2)項②b で述べた,ニュース性に対 するプラス要因に該当する事故の比率を求めると,「小」では 77%,「中」では 23%を占めている.このことから,この「小」のケースでは,利用者への影響は 小さいが,世の中の関心が高いトピックス性の機能に対する不具合が多かった ためにこれらがニュース性に対してプラス要因として働いたと考えられる.

0 20 40 60 80 100 120 140 160

特大

重大性

(積

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0

(折

Dev.F Phy.F (Int.) Phy.F (Ext.) Int.F (Mis.) Int.F (M&D) Int.F (BD) Dev.F Phy. F (Int.) Phy. F (Ext.) Int. F (Mis.) Int. F (M&D) Int. F (BD) 全体

図 5.4 重大性とニュース性:フォールト分類別

(3) Phy. F(Int.)は,「小」から「特大」が右肩あがりになっており,正の相関 がある(r=0.30,P 値=0.01). Phy. F (Int.)の内容はハードウェア故障で あり,これらはトピックス性に関係なくランダムに発生するので重大性とニュ ース性は強い正の相関になっている.

(4) Phy. F (Ext.)は,重大性レベルによってばらついており,相関があるか否 かは不明確である.統計解析によれば,r=0.42,P 値<0.01 であり,中程度の 相関で有意差はある.Phy. F (Ext.)の内容は 5.4.3 項に示したように過負荷と 停電・回線障害・災害関係よりなる.過負荷の原因は,月末,連休前,給料日 などのアクセス集中,処理の瞬間的な増大などであり,これらが上記(2)と同様 にニュース性にプラス要因として働いたと考えられる.一方,後者の停電・回 線障害・災害関係は,情報システムへの影響の大きさだけではなく,災害の大 きさなどトピックス的な要素も絡んでいる.本ケースの場合,停電・回線障害・

災害関係が Phy. F (Ext.)の全体に占める比率を調べると,「特大」13%,「大」

21%,「中」22%,「小」90%となっており,また,「小」の内容は 85%が地域版扱い

がったと考えられる.

(5) Int. F (Mis.)は,全体的には正の相関があるといえる(r=0.28,P 値<0.01). ただし,「中」が傾向から外れてニュース性が高くなっている.この理由を明ら かにするために上記(2)と同様にニュース性に対するプラス要因の比率を求め ると,「小」に対しては 41%,「中」に対しては 44%となっている.またこれらの 平均新聞数を調べると「小」は 3,4,「中」は 4.0 である.これらの差が「中」

のニュース性が高くなった原因と考えられる.

(6) Int. F (M&D)は,全て犯罪行為の原因であり,重大性に関係なくニュース 性は高い(r=0.11,P 値=0.41).

(7) Int. F (BD)は,事例数が 2 件のみであるので相関の判断はできない.

以上より,各フォールトの重大性とニュース性の相関は基本的には正の相関 があるが,ニュース性に対するプラス要因,すなわちトピックス性のある事故 の影響により最終的な相関関係が決まっていることが分かる.

次に,4.4.2 項(2)②で明らかにした「重大性が高いにも関わらず,ニュース 性が低い事例(41 事例)」および「重大性が低いにもかかわらず,ニュース性が 高い事例(57 事例)」におけるニュース性に対するマイナス要因とプラス要因に ついて,要因毎にそれらの事故の原因であるフォールトとの関連について分析 する.ニュース性に対するマイナス/プラス要因の項目毎・フォールト種類毎 の事例件数を表 5.8 に示す.下記説明における番号は表 5.8 における要因の番 号である.

・ニュース性に対するマイナス要因

(1)番号 1:障害の影響が直接的に,短時間に判断しにくい事故

これらの事故は,ネットバンキングやネット証券における接続困難やサービ ス停止などの事故であり,最も多いフォールトは Phy. F (Ext.)における過負荷 である.その他,ネットバンキングやネット証券システムにおける Dev. F, Phy.

F (Int.), Int. F (Mis.)に起因する事故である.

(2)番号 2:障害地域や被害者が比較的限定的であるが,重大性が大きい事故 これらの事故で最も多いフォールトは Phy. F (Int.)であり,ハードウェア故

(Mis.), Dev. F, Phy. F (Ext.)に起因する事故も発生している.

(3)番号 3:相互利用等による利用環境の拡大に伴う事故

これらの事故は他行キャッシュカード利用不可などの事故であり,Dev. F, Phy.

F (Int.), Phy. F (Ext.)が原因となっている.

・ニュース性に対するプラス要因

(4)番号 5:不正引き出しや情報セキュリティ犯罪などの犯罪行為 本犯罪行為の原因は全て Int. F (M&D)である.

(5)番号 6:世の中の関心が高いトピックス性のある事故

これらの事故の原因は,件数が多い順に Int. F (Mis.), Dev. F, Phy. F (Ext.), Phy. F (Int.)である.トピックス性のある事故とは,例えばサービス・新シス テム導入時の事故,利息・金利・手数料などの設定ミス,ウィニーを介した情 報流出ミスなどである.特に Int. F (Mis.)および Dev. F の件数は多いが,そ の理由は,例えば Int. F (Mis.)では,新システムや新サービス開始時に行う各 種データ設定やデータ入力のミスなどであり,新システムや新サービスは世の 中の関心が高いので,ニュース性に対するプラス要因になったと考えられる.

Dev. F についてもプログラムリリースは,新システムや新サービスが多いため,

同様にプラス要因として働いたと考えられる.

(6)番号 7:障害規模は比較的小さいが,全端末またはほとんどの端末が停止す る事故または同一金融機関での繰り返し事故

これらの事故の原因は,件数の多い順に Phy. F (Ext.), Phy. F (Int.), Dev.

F, Int.F (Mis.)である.これらの事故は,障害時間は比較的短時間(30 分以 下がほとんど)であるが,繰り返し障害,1-2 県以内,大手銀行などのいずれか の条件が重なった場合である.

表 5.8 ニュース性に対するマイナス/プラス要因とフォールトの関係 (表中の数値は事例件数)

マイナス/プラス要因 Dev F Phy. F (Int.)

Phy. F (Ext.)

Int. F (Mis.)

Int. F (M&D)

Int. F (BD) 不明 1 障害の影響が直接的に、短時間に判断しにく

い事故 2 3 6 1 5

2 障害地域や被害者が比較的限定的である

が、重大性が大きい事故 2 5 1 4 1 1

3 相互利用等による利用環境の拡大に伴う事

2 1 1 2

4 その他 1 3 3

5 不正引き出しや情報セキュリティ犯罪などの犯

罪行為 12

6 世の中の関心が高いトピックス性のある事故 13 1 6 14

7

障害規模は比較的小さいが、全端末または殆 どの端末が停止する事故または同一金融機 関での繰り返し事故

2 3 4 1

8 その他 1 2

ニュース性に対するプラス要因 ニュース性に対するマイナス要因

5.6.3 フォールトと事故内容の組合せとニュース性・重大性の関係分析

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