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新聞報道の網羅性について

ドキュメント内 電気通信大学 (ページ 68-76)

第 3 章 通信ネットワーク事故に関する新聞報道の分析と考察

3.4 通信ネットワーク重大事故に関する新聞報道の分析

3.4.2 新聞報道の網羅性について

本項では,重大事故 DB の事例数に対してその中で新聞報道された事例数の割 合を網羅率と呼び,4NDB 全体および新聞毎の網羅率,新聞報道されていない事 例の分析などを行う.なお,全体の網羅性または網羅率に対して,新聞毎の網 羅性または網羅率を明確に区別したい場合は,個別網羅性または個別網羅率と

の定義の各事例集合の関係を図 3.11 に示す.

図 3.11 各事例集合の相関

(1) 網羅性の分析

・事例件数と網羅率

図3.12に重大事故DBに対する新聞報道(4NDB)の事例件数と網羅率の年推 移を示す.この網羅率は図3.11の集合の関係で表せば#(S1∩S2)/#S2(#Sは集 合Sの構成要素の数を表す)である.重大事故DBにおいて,6年間の事例件数 合計は67件,年平均は11.2件,4NDBの網羅率は71.6%である.新聞毎の個別 網羅率は,6年間平均で A紙58.2%,B紙55.2%,C紙53.7%,D紙34.3%であ る.全国一般紙 3 紙の間では大きな差はないが,経済専門紙との間では大きな 差がある.これは新聞社の報道の目的,編集方針などの違いから来ると思われ る.図 3.12 の中に各通信事業者の WEB ニュースリリースの件数および網羅率 も示す.ただし,現時点でアクセス可能な WEBのみであり,過去には存在して いたが,現在は削除されているものもある.2000年から2002年が特に低くなっ ているのはそのためと考えられる.しかし,最近3年(2003年~2005年)のみ のWEBニュースリリースの網羅率でも48.5%であり,重大事故に対する網羅率

4NDB:集合 S1

法律に基づく重大事故

:集合 S3 報告された重大事故 DB

:集合 S2

9 12

8

6

3 4

6 6

8

12 13

9 16

5

9 8

2 1

75.0

88.9

61.5

33.3

75.0 75.0

55.6

12.5 11.1

50.0 50.0

46.2

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年

事例件数

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

網羅率(%)

重大事故DB 4NDB有

WEBニュースリリース 4NDB網羅率 WEBニュースリリース網羅率

重大事故DB N=67

図 3.12 重大事故事例と網羅率

一般市民は一般紙1紙を見ることが多い.1紙のみを見た場合の平均個別網羅 率は,4NDBの場合,50.4%,3NDBの場合,55.7%であり,重大事故としては低 い.仮に複数紙を見た場合に網羅率はどの程度改善するかを図3.13に示す.4NDB の場合,1紙平均50.4%から2紙平均62.4%,3紙平均67.9%,4紙平均71.6%へ改善 する.3NDBの場合,1紙平均55.7%から2紙平均65.7%,3紙平均70.1%へ改善する.

4NDBの場合,新聞間の差異が大きい理由は,経済専門紙の個別網羅率が低いた めである.

30 35 40 45 50 55 60 65 70 75

1紙 2紙 3紙 4紙 1紙 2紙 3紙

網羅率(%)

最大値 平均値 最小値

4NDB 3NDB

図 3.13 複数紙を見た場合の網羅率

・ 障害時間と障害加入数の相関

図3.14に障害時間(分)と障害加入数(利用者数)の間の相関図を示す.1事 例内に複数のサブ事例がある場合には,一番大きいものを代表とし,それ以外 を分割事例として分割してプロットしている.ただし,網羅率を計算するとき は分割事例を除外する.

図3.14より,網羅率が低い事故領域,すなわち図で×が多い領域は,障害加 入数で3万~30万,障害時間で2時間~8時間であり,事故件数も多い.この領域 は事故件数38件,網羅率66%であるのに対して,これ以外の領域は25件,84%で ある.したがって全体の網羅率を改善するには,上記領域の網羅率を上げる必 要がある.

重大事故DB 73事例(分割事例6件を含む)の内,4NDBに有る事例は54事例

(図3.11でS1∩S2),4NDBに無い事例(S1C∩S2)は19事例である.(図3.14で N=69となっているのは73事例の内,4事例については障害加入数データがないの

1 10 100 1000 10000

100 1,000 10,000

障害時間(分)

105 107

106

104

103

母集団:重大事故DB N=69

■:4NDB有り

×:4NDB無し

□:分割事例

109

108

106

1010

107

障害規模

(480分,30万加入)

(480分,3万加入) (120分,30万加入)

(120分,3万加入) 中継線の

場合 電気通信 事業法 で定める 重大事故

図 3.14 障害時間と障害加入数の相関図(重大事故)

れていない重大事故19事例について,報道されていない理由について考察する.

・新聞報道されていない理由の推測

①東京の回線供給元障害による地方の事故:2件

東京の事故は報道されたので地方の事故のニュース性が下がったと考えら れる.

②中継線系故障のために障害規模が比較的小であるが重大事故扱いになって いるケース:1件

③他ニュースと競合して載らなかった可能性のあるケース:4件

ネットワーク重大事故発生と同じ日に他の大きなニュースがあり,紙面スペ ースの制約から報道されなかった可能性があるケースである.競合するニュ ースの条件として,一面にも出ており,社会面では1/2ページ以上占めてい るニュースを選んだ.

④残り:12件

これらが報道されない理由は推測不能であるが,これらの障害地域は,全国 4 件,地方ブロック 5 件,1-2 県 3 件,障害規模は 5×106~6×107であり,一番 事例が多い領域である.また,12 件の内訳は,携帯電話関係 8 件,インター

次に障害規模による網羅率の変化を図 3.15 に示す.図 3.15 から分かるよう に障害規模が大きくなるにしたがって 4NDB の網羅率も大きくなっている.特 に障害規模が 108以上では,4NDB の網羅率は 100%であり,これらの件数は 13 件,重大事故全体の約 19%である.平均新聞数では 3.2 であり,ニュース性は非 常に高い.

0 5 10 15 20 25 30

103

104

104

105

105

105以 障害規模

0 20 40 60 80 100 120

(%)

重大事故事例数 4NDB

網羅率(%)(除,分割事例 ) 網羅率(%)(含,分割事例)

~3×106 ~107 ~3×107 ~108 ~3×108 3×108以上 母集団:重大事故DB,N=69

図 3.15 障害規模分布と網羅率

4NDB上での重大事故

前出(1)「網羅性の分析」の始めの項目「事例件数と網羅率」では,各通信事 業者が総務大臣に報告した重大事故(重大事故DB)を母集団(100%)にして新 聞報道(4NDB)の網羅率を評価した.ここでは,逆に新聞報道された事故(4NDB)

を母集団にして重大事故の件数比率などを調べるために,4NDBの中で法律に定 める重大事故に該当する事故(S1∩S3)の件数,そしてそれらの重大事故DBにお ける有無,すなわち報告されている事故(S1∩S2∩S3)の件数,または報告され

4NDBの中で法律に定める重大事故に該当する事故内容は,厳密には表3.2の事 故の分類でサービスに関する事故のうち,「通信がつながらない」事故である.

「通信がつながりにくい」事故は法律では報告義務とされていないが一部報告 されているので,本研究ではこれらを重大事故に準ずる事故と考えてこれらを 含めて調べた.「一部機能不良」および「その他」を除いているのは,法律の 定義によれば「付加的な機能の提供に係わるものを除く」となっているからで ある.これらの件数の集計結果を表3.8に示す.

表3.8より,4NDBの中で法律に定める重大事故に該当する事故は47件あり,

「通信がつながらない」事故220件(表3.2)の内,24.5%を占めている.また,

47件の内,重大事故DBに無い事例が12件ある.次に重大事故に準ずる事故であ る「通信がつながりにくい」事故19件を上記に含めると計66件となり,4NDB の件数計275件(表3.2)の内,24%を占める.この66件の内,重大事故DBに無い 事例が29件あり,それらの事故内容の詳細は下記のとおりである.

①「通信がつながらない」事故:12件

・「EZWEB」などの携帯電話向インターネット接続サービス利用不可:7件

・携帯電話の通話やインターネット接続不可:1件

・「FOMA」の通話とパケット通信不可:1件

・IP電話サービス利用不可:2件

・ADSL,ISDN接続不可:1件

② 「通信がつながりにくい」事故:17件

・「iモード」などの携帯電話向インターネット接続サービス利用不可:11件

・「FOMA」など携帯電話がつながりにくい:3件

・固定電話がかかりにくい:2件

・パソコンのインターネット接続サービス不安定:1件

上記29件の年別件数は,2000年14件,2001年3件,2002件4件,2003年2件,2004 年2件,2005年4件である.2000年の14件は「iモード」や「EZWEB」等の携帯電 話向けインターネット接続関係の事故である.

表 3.8 法律の重大事故またはそれに準ずる事故に該当する 4NDB 事例数

有り 無し

通信がつながらない 47件 35件 12件 法律に定める重大事故 通信がつながりにくい 19件 2件 17件 上記重大事故に準ずる事故

合計 66件 37件 29件

内,重大事故DBに 4NDB

事故内容 備考

(2) 網羅性に関する考察

①重大事故における新聞報道の網羅率

図 3.13 で重大事故 DB に対する新聞報道の網羅率は,4NDB 全体平均 71.6%,

新聞 1 紙平均 50.4%(一般紙 3 紙平均では 55.7%)であった.重大事故の障害加 入数 3 万以上というのは直接被害を受けた利用者の数であり,間接的被害とし て障害地域以外から障害地域への通信にも影響を与えていることを考えると影 響はさらに大きくなる.3.4.2 項(1)の「新聞報道されていない理由の推測」に よると,携帯電話,インターネットおよびパケット通信関係など近年利用者数 が増大しているサービスの事故が半分を占めている.それにもかかわらず,こ れらの重大事故が 1 紙平均で約半数しか新聞報道されていないのは少ないと考 えるので,各新聞社はネットワーク重大事故のニュース性をもっと高めて報道 することが望ましい.これらの重大事故に関する情報提供を強化することによ り,利用者の不安感,不信感をなくすとともに通信事業者へ改善を促すことに もつながる.

②複数紙を見た場合の網羅率

複数紙を見ることは事故に関する情報(件数および内容)を増やすために有 効である.具体的には,重大事故の場合,一般紙 3 紙で 1 紙,2 紙,3 紙を見た 場合,平均件数は 1 からから 1.18 倍,1.26 倍に増加し,経済専門紙プラス一般 紙の場合,1 から 1.72 倍,1.96 倍,2.09 倍に増加する効果がある.

③4NDB 上での重大事故

4NDB 事例の中から電気通信事業法が定義する重大事故に該当すると思われ る事例を抽出すると 47 件あり,その内,重大事故 DB にないもの,すなわち通

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