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時間軸で見る役割分担の変化

第二章 未就学の第 1 子を持つ共働き家庭の役割分担

2.2 時間軸で見る役割分担の変化

負担する家庭は「夫集中タイプ/妻集中タイプ」とする。それぞれのカップルの役割分担の 変化を図 2 のように整理することができる。

ペアでデータを集めた先行研究で、自分の役割遂行に対する評価が夫妻で異なるという指 摘があった(鈴木他 2019)。これに関して本研究は細かく分担の頻度や時間数にこだわってい ないのも原因であるが、夫と妻の説明では役割分担のタイプ分けに反映されるような、大き なズレはなかった。ただし、家事育児分担に関して夫と妻の見え方や捉え方の相違があり、

これについて後述する。

図 2 時間軸で見る役割分担の変化

図 2 に示されたように、夫妻の役割分担は、妻の妊娠、子どもの誕生や成長に合わせて調 整されている19。時間軸で見ても、共働き夫妻の家事育児分担は妻に偏る形でなされている ことは先行研究と同様である。ただし具体的に見ていくといくつかのことが分かる。

まず、結婚・同居時点から調査時点までの役割分担のタイプの変化により、各カップルを 三つのパターンに分けることができる。ほぼ一貫して夫妻で家事育児を分担するカップル (パターンⅠ)に比べ、夫妻分担という状態にたどり着くことなく、ほぼ一貫して妻に偏る形

19 各カップルを並べる順番について、図の上部(J-B カップルの方向)に近づくほど、全体的 に見て夫妻の役割分担が「夫妻分担」のタイプであり、また夫妻間の調整も柔軟になされて いる。一方図の下部(C-Z カップルの方向)に近づくほど夫妻の役割分担が妻に偏り、かつ調 整されにくくなる。これについての詳細は第 6 章の図 2-3 で示されている。

で役割分担がなされるカップル(パターンⅢ)のほうが多い。そして、その両極の間に、パタ ーンⅡのカップルがある。パターンⅡのカップルでは、子どもが生まれ、だんだん夫妻分担 の状態を実現してそれを維持していくカップル(G、Q)と、はじめは夫妻で家事を分担してい たのだが、妻の妊娠から子どもの誕生を機に、家事育児が妻へと偏っていくカップル(R、

S)、そして、子どもが生まれた直後は、一時的に夫妻で役割分担をしていたが、その後は夫 の分担が抑えられ、妻が家事育児の主な担い手になるカップル(E)である。

本研究の特徴――夫妻の役割分担を断続的なものではなく、一連の動態的な交渉・調整の プロセスを経て行われるものとして描き出すこと――から、ここで役割分担の状況そのもの よりも注目に値するのは、夫妻間の役割分担の変化が妻の妊娠から第 1 子誕生の前後に集中 していることである。子どもが生れた後は徐々に変更に向けた働きかけがなっていく。図 2 において第 1 子入園から調査時点までの間は、ほとんど役割分担タイプの変化が見られな い。

この役割分担のタイプに変化がなくなることは、必ずしも夫妻間の役割分担が安定する形 で行われるというような楽観的に解釈できるものとは限らない。実際に、多くのカップルは この時点で第 1 子の成長によって家庭内のニーズが変ったり、第 2 子が生まれたりしながら も、家事育児が妻に偏っている。つまり夫妻間の交渉・調整自体がなくなっている可能性も 考えられる。