第1章 で現在の説明的文章指導の問題点を、内容主義と形式主義の観 点から明らかにし、第2章ではこの内容主義と形式主義の統一を目指し
第2節 授業の概要
のそれぞれの利点を調べさせることにより、内容理解を深めるようにす る。第5時では、展開の部分で、筆者の一番いいたいことは何かを考え させ、今の雪国と昔の雪国との違いを比較させるようにする。そして、
今の雪国の人々が、雪をじゃまものと考えて取り除くだけでなく、雪の 性質を進んで生かそうと努力や協力をしているから大きく変わろうとし ていることを理解させるようにする。第6時では、要点をもとに児童な りに意味段落を分けさせる。それらを倹討させ、まとめさせる。このと き、分けた理由を表現面と内容面のどちらからも意見が出るように助言 するよう留意する。その後、小見出しをつけさせる。第7時では、小見 出し(雪による苦労、取り除く方法、利用する試み、
今の雪国)を利用し「雪国は今一」を再構成させるようにする。最
後に再構成した文章と筆者が書いた文章を比較しながら、筆者の意図を
十分理解したり、また、自分の気持ちを適切に表現しているものを選ん
で発表させるようにする。また、発展として、雪国以外での生活の苦労
を見つけさせ、例えば「雨の多い地方は今一」などのような題で文
章を書いてみようという意識を持たせるようにしたい。
と「雪国は今一」光村4年上(9月6日〜9月14日)である。こ
の二教材を取り上げた理由は、前述の他に小学校における説明的文章教 材には理科に関するものごとを扱った教材と、社会科に関するものごと 1> を扱った教材が半数以上を占めるからである。
1 「カブトガニを守る」(平成6年6月6日〜6月13日)の授業
について
「カブトガニを守る」という教材は、内容や表現形式が適切であり、
児童の発達段階も考慮されているように思われる。そこには、児童が理 解できないような表現形式はなく、取り上げられている対象(カブトガ ニについての説明)も児童の経験にあったものと考えられる。
ところで、児童は文章が明らかならば、容易に内容を理解していくか もしれない。しかし、そこには数多くの指導の重点が存在しているので ある。それは、文章が分かりやすければ分かりやすいほど(単純明快で あれば)、児童は文の構造や内容に注意を示さないことが多いからであ る。もし、複雑な文章だったら、児童は「ぼく、分かんないや。」とか
「もっと簡単に書いてあればなあ。」といろいろ発言するかもしれない。
しかし、教材は、指導のねらいを達成するための資料(問題提起の材料)
でなければならないのである。
私は、読解活動においては、子どもの経験を基礎にし筆者の気持ちを 考えながらその内容を正しく読み取ると同時にその表現形式にも目を向
けさせる必要があると考えている。つまり、 「内容が読みとれた→それ は文の形式にも示されている→つまりそこには筆者の工夫がある」とい うように考えさせるのである。
このようにすれば、内容だけに偏ったり、表現だけに偏った指導には
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ならないと思うのである。
そして、児童が、筆者の工夫(内容と形式およびその関係)を理解で きれば、その後の表現活動においてもそれを活かすことが期待できると
思われる。
このような視点で、 「カブトガニを守る」の授業を構築した。
授業の大まかな流れとしては、次のようである。
1,題名読み 2,段落について
3,内容の読み取り(要点)
4,段落の相互関係について 5,筆者の表現の工夫について
これは、一般的になされている指導とほとんど変わらないと思われる。
しかし、私は、1,2,3,4,において、筆者の工夫に意識を向けさ せるように、特に心掛けた。例えば、 「2,段落について」では、児童 に段落の意味を理解させることが目標であるが、単に知識として、 「段 落は書いてある内容の一まとまり」と教えるのではなく、段落分けも筆 者の工夫の一つであることに特に注意をはらった。教材を用いて説明し てみると、次のようになる。 (一部のみ抜粋)
〈教材1>
一つ目は、海の底のどうの申でひっそりと生活してきたことです。
そのため、てきにおそわれることが少なく、気候の大きな変化にも
えいきょうを受けなくてすんだのです。二つ目は、食べ物が少なく
てすむということです。何も食べなくても、半年以上もどうの中で
生きていられるのです。三つ目は、たまごを数百こずつ分散して産
むことです。そのため、たまごがぜんめっする心配がありません。
このような特ちょうをもつカブトガニも、…(省略)
〈教材2>
一つ目は、海の底のどうの中でひっそりと生活してきたことです そのため、てきにおそわれることが少なく、気候の大きな変化にも えいきょうを受けなくてすんだのです。
二つ目は、食べ物が少なくてすむということです。何も食べなく ても、半年以上もどうの中で生きていられるのです。
三つ目は、たまごを数百こずつ分散して産むことです。そのため たまごがぜんめっする心配がありません。
このような特ちょうをもつカブトガニも、…(省略)
〈教材1>とく教材2>を比べさせて、〈教材1>よりも、〈教材2
>の方が読みやすい(分かりやすい)ことに気づかせる。そこで、この 2つの教材を比べさせ、違いを考えさせる。そうすることで、段落分け の意味にきっかせるのである。次に、具体的に段落はどのように分けら れているかを考えさせる。その中で、 「段落は書いてある内容の一まと まり」ということを理解させるのである。それは、 「〈教材1>とく教 材2>は書いてある内容はまったく同じである。しかし、なぜ筆者はど
ちらでも書くことができたのに、<教材2>のように書いたのであろう か。筆者は、読み手に分かりやすいようにした書き方を工夫しているの である。」ということに気付かせる。
このことを理解させ、考えさせることを指導の重点に置いたのである。
このようにすることによって、児童は、筆者の書き方に十分注意する
ようになると思われる。
ドキュメント内
小学校国語科授業改善についての一考察 : 説明的文章の指導を中心に
(ページ 71-74)