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j「ところで、飛行機は便利でないかな。」「べんり」の意味と用法の  強化。自由に話し合わせる。

k「まだほかに便利なところはないかな。」

  …すること固…できます。

 [

  …たり…だりすることもできます。

 発表したことをこのように板書し、 「も」「たり」の機能と用法に気  づかせる。

1「ヘリコプターの便利さを考えながら読んでみよう。」

 板書を指しながら斉読。このとき、第一行の頭並に気づかせたり、離  着陸→空中という述べ方の順序にも気づかせておく。

m「黒板のことばだけを見て、ヘリコプターの話(説明)をしてみまし

 よつ。 」

 「ヘリコプターは」

 「べんり」「のりもの」「ま上へ」

 「せまいところへ」「空で」「とまって」

 「ゆっくりとんだり」

 右の文節以外は消去しておいて、ヘリコプターについての説明をさせ

 る。

 この指導に見られるように、藤井はa〜dの発問で筆者がどのように してヘリコプターをとりあげ、どのような観点で述べようとしたのかを 児童に追体験させることをねらっている。

 ところで、この教材は、ヘリコフ ターの便利さ(機能など)を客観的

に表現した文章のように思える。いきおい教師は、ヘリコプターの便利

さに目がいき、児童にヘリコプターがどういうものかを教える指導にな

りがちになる。しかし、藤井のようにすれば、 「筆者の理解過程の追体

  むフラ

験」 ができ、一歩踏み込んだ導入ができるということが分かる。つま り、筆者が「ヘリコプターのべんりさ」に焦点をしぼっていったであろ う過程を児童に理解させることで筆者の視点に立たせることができるの である。また、そのような指導は、児童の既有の知識、すなわちジェッ トき(ひこうき)についての知識をもひきだし、読み取りの中で自分の 考えと対比しながら主体的に取り組ませることができるのである。

 そうすれば、児童は筆者の視点に立ちながらも、自分の既有の知識を をもとに「述べ方」を読みとっていくと考えられる。

 e〜gの活動で、ヘリコプターについて読みとるときも、児童は自ず とジェットきと対比しながら読み進めると思われる。例えば、 「ヘリコ プターは、ま上へとびたつことができるとかいてあるぞ。この前、飛行 場で見たジェット機は斜めにしか飛び立てなかったなあ。ははん、書い た人もこのことを言いたかったんだな。」というようなものである。

 そして、 j「ところで、飛行機は便利でないかな。」という発問で、

いっそう筆者の述べ方を意識するようになる。それまで児童は、ヘリコ プターは飛行機よりも便利だと思っていると思われるが、この発問で飛 行機の便利さにも気づく。そこから筆者が「ヘリコプターはべんりなの りものです。」と述べて具体的な例をあげた理由も読みとっていくこと ができるのである。さらに、 「…することも…できます。」の「も」の ような語句についても、筆者の述べ方の工夫として読みとることができ

ると考えられる。

 藤井は、 「説明文を読む場合には、その説明内容についての自分の保

有する知識・情報を整理し、それと筆者の整理したものとを比較しなが

       り う ら読むという読みが大切になってくる.」  と述べている。このことは

       一53一

先の授業で言えば、ヘリコプターの便利さを読み取る場合に飛行機の知 識を手がかりにした読みと言える。藤井が言うように、 「述べ方読み」

では、 「筆者が対象をどうとらえ、それを、言語によって、どのように        ロ ラ

述べようとしているかという、その述べ方を検討させる」  ことが大切 であり、 「自分の立場を確立して読み、読みとった内容に刺激されて、

自己自身の考えを創造しまとめて表現しようとするような態度で読ませ

         コロロう

ることが望ましい」  のである。

 4 述べ方読みに対する批判

 寺井は、読解指導における文章への着目面と文章理解における読み手        101) の思考とを下図のように表している。

ボトムアップ    t

形式 ←

2

3

1

4

→ 内容

   ,

ト ップダウン

 寺井によれば、図表内の形式と内容は文章への着目面を示し、ボトム アップとトップダウンは文章理解における読み手の思考の特性を示して いる。ボトムアップとは、 「先行知識を母体としないで、文章の一語一       セロ ラ

語、一文一文の意味を積み上げていく側面」  で、トップダウンとは、

「読み手の先行知識を母体として、文章の情報を先行知識に組み込み、

先行知識を組み換え、構造化させることで、意味のまとまりを作り上げ

    ほロ  

る側面」  である。

 寺井は、 「形式主義の読解は2(形式面でボトムアップ)、内容主義        ロ う の読解は1(内容面でボトムアップ)に位置付く。」  と述べ、 「批 判される読解指導は、形式や内容に偏っているだけではなく、先行知識       lo5》 の関わりを閉ざしたボトムアップな思考に偏っているのである。」

と指摘している。その上で、説明的文章の読解指導の「今日的提案であ るためには、読みの活動・指導の中でトップダウンな思考をどのように        ロロ シ 保証し、組み込むかを論じることが必要なのである。」  と述べてい

る。

 寺井は以上のような提案をした上で、藤井の「述べ方読み」を批判的 に検討している。

 寺井は「『述べ方読み』は、文章への着目面の比重でしか捉えられて いない。 『ことがら』と『述べ方』との一元化といえども、それは、形 式と内容とを両極とした線上の一点であり、文章への着目面(つまり形       ロロアラ 式と内容)という指標の枠を出ないのである。」  と述べている。寺 井によれば、藤井のいう「ことがら読み」を克服するために最も重要な

ことは、文章の情報を読み手の先行知識にいかに組み込ませるかという

        ロロむシ

ことなのである。  つまり、寺井は、 「述べ方読み」には、 トップダ ウンな思考がおこなわれていないがゆえに、読解指導の改善にはならな いというのである。

 しかし、私は、藤井の提案には児童の先行知識を組み込んだ指導(全 単元を通してとはいわないが)がなされていると思うのである。 「ヘリ

コプター」の授業で、ジェットきと対比させて読ませるのは児童の既有

       一55一一

の知識、すなわち児童の先行知識を組み込んだことになるのではないだ

ろうか。

 5 述べ方読みについて

 藤井が、 「説明文の読解においても、このように(述べ方読み一引用 者)文の意味を正確に読みとらせることによって、感動体験を得させる

        ロロむラ ことができる。」  と述べているところに注目したい。藤井によれば、

「説明文を読むことによる感動(おもしろさ)は、文・文章をたどって、

      ロロロラ より事実(対象)に肉薄するところにある」  というのである。この 感動体験を得させるためにも「述べ方読み」は有効であろうと思われる。

それは、述べ方読みが「『文章』における『述べ方』を読みとらせる指 導」、 「文章中における文の『述べ方』を読みとらせる指導」、 「文章        ラ 中における語の『述べ方』を読みとらせる指導」  というようにきめ

の細かい指導を提案しているからであり、また藤井の35年の実践経験 で裏打ちされたものであるからである。

       ユラ

 内容を読ませない「述べ方読み」は認めることができない  とか、

藤井の提案は、先行研究を踏まえていないので、あまりにも楽観的過ぎ

 セロ う

る  という批判もある。

 しかし、私は、この藤井の提案は実践の過程を踏まえた重要なもので

あると思うのである。

【註】

1)小田心夫著『説明文教材の授業改革論』1986年明治図書

2)森田信義著『筆者の工夫を評価する説明的文章の指導』1986年   明治図書

3)藤井囲彦「説明文の読ませ方をこう改善したい一『ことがら読みS   から『述べ方読み』への転換を一『教育科学国語教育』第381号

  明治図書1987年p.p.5〜13

4)小田迫夫著『説明文教材の授業改革論』1986年明治図書p. 1   51

5)上掲書p. 151 6)上掲書p. 168 7)上掲書p. 169 8)上掲書p. 169

9)批判読みとは、与えられた文章に対して、読み手自身の考えや経験   などをふまえつつ、その内容や表現に批判的検討を加えながら読み   進めていく読み方である。単に批判することだけを指しているので   はなく、それをも含めてもっと広く、文章に主体的に取り組み、問   答しながら読み進める読み方を指している。 (野地潤家編『国語科

  重要用語300の基礎知識』1981年明治図書p. 145) 〔吉

  田島久一稿〕

10)小田迫夫著丁説明文教材の授業改革論』1986年明治図書p.

   169

11)上掲書p. 169

12)上掲書p. 169