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第1章 で現在の説明的文章指導の問題点を、内容主義と形式主義の観 点から明らかにし、第2章ではこの内容主義と形式主義の統一を目指し

第1節 授業の意図と目的

 本授業をおこなった意図あるいは目的は、はじめに述べたような子ど もの文章離れ、説明文離れを解消するための授業の在り方を明らかにす ることである。そのために、子どもの経験に基づいて、第1章で指摘し たような極端な内容主義や形式主義に陥らない、いわば統一された授業 の在り方を明らかにするのである。

 授業研究は、目標や意図(統一された授業の在り方)に従って目標と 内容(教材)を選択する必要があると考えられるが、様々な事情のため、

(1)目標「段落相互の関係を考えて、叙述に即して正しく読み取るこ   とができる」、教材「カブトガニを守る」

(2)目標「段落のまとまりに気を付けて説明の内容を正確に読み取る

ことができる」、教材「雪国は今一」とした。

 小学校における年間計画に基づいて授業を行うことが授業研究には重 要であると考えたからである。

(1)「カブトガニを守る」の授業について

 この授業では、各段落をまずはじめに文章の形に注目させて理解させ る。2つの文章の表現形式を比較させ、次に各段落の内容を児童の経験 を通して理解させるようにする。また、筆者の気持ちになって内容を理 解させるようにも努める。段落の内容を読み取らせるとき、単にカブト ガニの形や大きさなど生物学的な特長のみに注意を向けさせるのではな く、筆者がなぜ天然記念物である非常にめずらしいカブトガニを取り上 げ説明したかという気持ちをも分からせるように努める。同時に、各段 落の内容がカブトガニの形と大きさ、住んでいる場所、.生存した年代な

ど一つ一つの異なることを理解させるようにする。このようにして、文 章の内容と形式をできるだけ関係付けながら指導するのである。

 具体的に指導案をもとにあげてみる。

 第1時では、展開の部分で、段落の形式(文字が下がっていること)

を教えるとき段落ごとに内容が異なっていることにも目を向けさせるよ うにする。特に2つの文章を比較したときこのことを重要視するのであ る。第2時では、本時の目標「(1)の段落の要点をまとめ、書くこと ができる。」に注目して授業を展開するようにする。要点を書かせると き単に文章を簡単にするのではなく、 「するどいつるぎのようなしっぽ」

では絵を描かせたり、狐のしっぽと比べさせたりして、内容を読み取っ

た上でまとめさせるようにする。第3時では、展開の部分で、筆者の書

き方の工夫に注目させるようにする。例えば、筆者が強調しているとこ

ろに線を引かせるとき、その内容とそれを取り上げた筆者の気持ちを考

えさせるようにする。第4時では、まとめの部分で、それまで読み取っ

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てきた内容(生き続けてきた理由)をもとに段落相互の関係がどのよう になっているのか考えさせるようにする。その時、 「一つ目は」「二つ 目は」「三つ目は」などの表現形式だけでなく、住みか、食べ物、たま ごについての叙述内容からも考えさせるようにする。第5時では、最終 段落の内容「カブトガニを守ることは自然を守り、人間のくらしを守る

ことにつながる」を手がかりに文章全体を読み返させ、筆者の立場に立 って意見を出させるようにする。特に、 「なぜ人間のくらしを守ること につながるのか」を児童なりに書かせ話し合わせるようにするのである。

第6時では、筆者の叙述の工夫を再度見つけさせ、手紙形式で表現させ る。その時、表現形式面では、例えば「一つ目は」「二つ目は」 「三つ 目は」や「そのため」、 「このように」などの接続詞や文末表現など、

また内容面では、アジアの一部→日本、筆者の強調などに気付くように 努める。また同時に、手紙に表現させるときには、段落に意識しながら 書かせるようにも注意する。

(2)「雪国は今一」の授業について

 この授業では、書いてある内容を読み取るために、段落の中心となる 重要な言葉、例えば雪による苦労、生活の障害、雪の性質の利用(盗む

ろ、雪ダム)などをもつ文を見つけさせ、なぜそれが大事と思うのかを 話し合わせるようにする。そして、その中心文をもどに要点を書かせる。

次に要点を参考にさせながら段落相互の関係をつかませ、小見出しを考 えさせるようにする。この流れを簡単に示すと、文章→中心文→要点→

段落相互の関係→小見出しとなる。授業では、 「雪国は今一」とい う文章全体から、例えば、段落(5)冷たくて湿度が一定、段落(6)

雪むろ(生野菜を蓄えるのに最適)、段落(7)天然の大冷蔵庫という

ように段落の内容を理解させ、その関係を比較させる。そして、段落の

内容を最もよく表現している言葉として小見出し(雪を利用する試み)

をつけさせる。このような指導を通して段落(文章の形式)とその内容 を理解させるようにするのである。このような指導の中に筆者の表現の 工夫に気付かせたり、筆者と自分との書き方の違いに気付かせたりする のである。まとめとして、小見出しを利用し、文章を再構成させたのは

このためである。

 以下同様に指導案をもとにあげてみる。

 第1時では、児童に雪についての経験を出させ、雪は生活にとって、

よいこともあるし困ったこともあることに気付かせる。そして、筆者は それをどのように説明しているのかを考えさせ、関心を持つようにする。

第2時では、 (1)〜(2)の段落の内容(雪による苦労)を読み取ら せ、中心文を見つけさせる。このとき、中心文を見つけるためのポイン

ト、すなわち表現面では、こそあど言葉・つなぎ言葉や文末などに注意 し、内容面では、まとめて書いてある文(このように雪は、生活に障害 をもたらすことが多いのです。)を探したり、詳しい説明を除いたりす

るなどを理解させておくようにする。第3時では、本時の目標「段落相 互の関係を考えながら(3)の段落(雪を取り除く方法)を読み取るこ

とができる。」に注目して、授業を展開するようにする。 (1)〜(2)

の段落(雪による苦労)と(3)の段落以降の関係を考えさせ、#の段 落は雪を取り除くことが書いてあり、 (4)〜(9)の段落では雪の利 用のことが書いてあることに気付かせるようにする。そして、本時では、

雪を取り除く方法について理解させるようにする。第4時でも(4)〜

(9)の段落相互の関係に注意しながら読み取らせるようにする。ここ

では、何回も出てくる言葉(含むろ・雪ダム)に注目させ、これを手が

かりに段落相互の関係を理解させるようにする。また、雪むろ、雪ダム

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のそれぞれの利点を調べさせることにより、内容理解を深めるようにす る。第5時では、展開の部分で、筆者の一番いいたいことは何かを考え させ、今の雪国と昔の雪国との違いを比較させるようにする。そして、

今の雪国の人々が、雪をじゃまものと考えて取り除くだけでなく、雪の 性質を進んで生かそうと努力や協力をしているから大きく変わろうとし ていることを理解させるようにする。第6時では、要点をもとに児童な りに意味段落を分けさせる。それらを倹討させ、まとめさせる。このと き、分けた理由を表現面と内容面のどちらからも意見が出るように助言 するよう留意する。その後、小見出しをつけさせる。第7時では、小見 出し(雪による苦労、取り除く方法、利用する試み、

今の雪国)を利用し「雪国は今一」を再構成させるようにする。最

後に再構成した文章と筆者が書いた文章を比較しながら、筆者の意図を

十分理解したり、また、自分の気持ちを適切に表現しているものを選ん

で発表させるようにする。また、発展として、雪国以外での生活の苦労

を見つけさせ、例えば「雨の多い地方は今一」などのような題で文

章を書いてみようという意識を持たせるようにしたい。