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CQ

CPR

中の抗不整脈薬の投与は転帰を改善するか?

P:あらゆる状況下の成人の心停止

I:抗不整脈薬(アミオダロン、リドカイン等)の投与 C:抗不整脈薬非投与(無投薬またはプラセボ)

O:退院時、30 日後、60 日後、180 日後、1 年後の神経学的転帰および生存、ROSC

推奨と提案

成人の難治性 VF/無脈性 VT の ROSC 率を改善するためにアミオダロンの使用を提案する(弱 い推奨、中等度のエビデンス)

成人の難治性 VF/無脈性 VT においてアミオダロンの代替治療としてニフェカラントあるい はリドカインの使用を提案する (弱い推奨、非常に低いエビデンス)

成人患者に対してマグネシウムをルーチンには使用しないことを推奨する (強い推奨、低 いエビデンス)

エビデンスの評価に関する科学的コンセンサス

心停止において、難治性心室性不整脈に対して抗不整脈薬を用いることが出来る。「難治性」

VF/VT は、多くの試験において異なって定義されているが、一般に 3 連続あるいは初回の ショックで停止出来ない VF/VT と定義される。現在進行中で、結果のまだ得られていない試 験においては、難治性 VF/VT は「1 回以上のショック後も持続ないし再発する VF/VT」と定義 されている。

抗不整脈使用の有無に関する比較は、アミオダロン、リドカイン、マグネシウム、ニフェ カラントに関しての報告がある。マグネシウムに関する検討は、トルサードドポアントや低 マグネシウム血症への治療ではなく、VF/VT 全般に対する治療を対象としている。ニフェカ ラントは限定的な地域でのみ使用可能である。

1) アミオダロンと非投与

重大なアウトカムとしての神経学的転帰良好な生存退院について、1 件の RCT では、504 例 の院外心停止症例において、アミオダロンの投与(1mg のアドレナリンに続く 300mg 投与)は 非投与との間に有意な差を示さなかった(7.3% vs 6.6%, p=NS, RR 1.11, 95%CI 0.59~

2.10)(中等度のエビデンス:深刻な非直接性によりグレードダウン)。

重大なアウトカムとしての生存退院について、1 つの RCT では、504 例の院外心停止症例に おいて、アミオダロンの投与(1mg のアドレナリンに続く 300mg 投与)は非投与との間に有意 な差を示さなかった(13.4% vs 13.2%, p=NS, RR 1.02, 95%CI 0.65~1.59)(中等度のエ ビデンス:深刻な非直接性によりグレードダウン)。

重要なアウトカムとしての ROSC について、1 件の RCT では、504 例の院外心停止症例にお いて、アミオダロンの投与(1mg のアドレナリンに続く 300mg 投与)は非投与に比して、高い ROSC 率を示した(64% vs 41%, p=0.03, RR 1.55, 95%CI 1.31~1.85)(中等度のエビデ ンス:深刻な非直接性によりグレードダウン)。

2) リドカインと非投与

重大なアウトカムとしての生存退院について、2 件の後ろ向き観察研究では両治療の差を 認めなかった。290 例の院外心停止症例では、リドカイン投与(50mg, 200mg まで反復投与可) における生存率は非投与と差がなかった(14% vs 8%, p=NS)。116 例の院外心停止症例で も、リドカイン投与(100mg)の生存率は非投与と差がなかった(11% vs 2%, p=NS) (非常 に低いエビデンス:非常に深刻なバイアスのリスク、深刻な非直接性によりグレードダウン)。

重要なアウトカムとしての ROSC について、2 件の単一施設の後ろ向き観察研究があった(非 常に低いエビデンス:非常に深刻なバイアスのリスク、深刻な非直接性によりグレードダウ ン)。一方の研究では 290 例の院外心停止症例において、リドカイン投与(50mg, 200mg まで 反復投与可)の ROSC 率は非投与に比して高かった(45% vs 23%, p<0.001) 。他方の研究で は 116 例の 3 連続ショック治療に抵抗性であった VF による院外心停止症例において、リドカ イン投与(100mg)は非投与と同様の ROSC 率であった (55% vs 54%, p=NS)。

3) マグネシウムと非投与

重大なアウトカムとしての神経学的転帰良好について、1 件の単一施設 RCT では、初期の

調律を問わない 156 例の院内心停止症例(50%が VF/VT)において、マグネシウム投与(2g [8 mmol]ボーラス+ 8 g [32 mmol] 持続投与/ 24 時間) は非投与と同様の神経学的転帰を示し た(14.5% vs 7.5%, p=NS, RR 1.93, 95%CI 0.75~4.96)[退院時 Glasgow Coma Scale (GCS) 中央値 15 (IQR 15~15) vs 15 (IQR 15~15), p=NS](低いエビデンス:深刻な不精確さ、

深刻な非直接性によりグレードダウン)

重大なアウトカムとしての生存退院について、4 件の RCT では、いずれも治療による差を 認めていない(低いエビデンス:深刻な不精確さ、深刻な非直接性によりグレードダウン)。 1 件の単一施設 RCT は、調律を問わない 156 例の院内心停止症例(50%が VF/VT)において、マ グネシウム投与(2g [8 mmol]ボーラス+ 8 g [32 mmol] 持続投与/ 24 時間)は非投与と同様 の生存率を示した(21% vs 21%, p=NS, 調整後 OR 1.22, 95%CI 0.53~2.81)。1 件の単一 施設の研究では、CPR を施行されながら救急部門に搬送された調律を問わない院外心停止 67 例において、マグネシウム投与(5g [20 mmol]ボーラス)と非投与の生存率には差がなかった (1 例 vs 0 例, p=0.46)。

1 件の多施設研究では、109 例の VF による院外心停止症例において、マグネシウム投与(2g [8mmol]ボーラス)の生存率は非投与と差がなかった(3.6% vs 3.7%, p=1.0, 生存率上昇に 関する未調整 RR 0.98, 95%CI 0.53~2.81)。1 件の単施設研究では、105 例の VF による院 外心停止症例において、マグネシウム投与(2g [8mmol] ボーラス、1 回のみ反復投与可)は非 投与と生存率に差を認めなかった(4% vs 2% p=0.99)。

重要なアウトカムとしての ROSC について、3 件の RCT では治療による差を認めていない(低 いエビデンス:深刻な不精確さ、深刻な非直接性によりグレードダウン)。1 件の単一施設の 研究では、CPR を施行されながら救急部門に搬送された調律を問わない院外心停止 67 例にお いて、マグネシウム投与(5g [20 mmol]ボーラス)と非投与は ROSC に差を認めなかった (23%

vs 22%, p=0.97)。1 件の多施設研究では、109 例の VF による院外心停止症例において、マ グネシウム投与(2g [8mmol]ボーラス)の ROSC は非投与と差がなかった(25% vs 19%, p=

0.39)。1 件の単一施設の研究では、105 例の VF による院外心停止症例において、マグネシウ ム投与(2g [8mmol] ボーラス、1 回のみ反復投与可)の ROSC 率は非投与と差を認めなかった (17% vs 13%, p=0.56)。

4) ニフェカラントと非投与

重大なアウトカムとしての生存退院について、1 つの単一施設後ろ向き研究 148 では、63 例の院外ないし院内心停止例において、ニフェカラント投与(初期投与 0.27mg/kg+維持投与 0.26mg/kg/h)は非投与に比べて生存率を改善した(心臓死の OR 0.26, 95%CI 0.07~0.95, p

= 0.041)(非常に低いエビデンス:非常に深刻なバイアスのリスク、非常に深刻な非直接性、

不精確さによりグレードダウン)。

推奨と提案

成人の難治性 VF/無脈性 VT の ROSC 率を改善するためにアミオダロンの使用を提案する(弱 い推奨、中等度のエビデンス)。

成人の難治性 VF/無脈性 VT においてアミオダロンの代替治療としてニフェカラントあるい はリドカインの使用を提案する (弱い推奨、非常に低いエビデンス)。

成人患者に対してマグネシウムをルーチンには使用しないことを推奨する (強い推奨、低

いエビデンス)。

患者にとっての価値と

ILCOR

の見解

これらの推奨を行うにあたり、重要なアウトカムとしての生存入院に対するアミオダロン の有益性を考慮した。しかし抗不整脈薬が、重大なアウトカムとしての生存退院率あるいは 神経学的転帰良好に対して、有益であるか有害であるかの検証には不確実さが残ることに留 意した。アミオダロンの代替としてリドカインやニフェカラントを使用することの推奨にあ たり、これを支持するエビデンスは乏しいものの、一部の国においてアミオダロンが使用で きないあるいは使用されていないことに ILCOR ALS タスクフォースは留意した。新たなデー タが少なかったことから、タスクフォースは現在の臨床行為を変更しないことが重要である と判断した。

Knowledge Gaps

(今後の課題)

・ 生存退院や神経学的転帰良好の差を検証するために、十分な検出力を有する RCT が必要 である。

・ これまでのアミオダロンの試験の信頼性を低減させる潜在的な要因は、ポリソルベート 溶媒を使用していたことである。この溶媒は血圧を低下させることが知られており、こ れをプラセボとして使用した対照群では、これが転帰を悪化させるバイアスとして作用 していたかも知れない。今後の研究では、この作用を考慮するかあるいは他の溶媒を使 用すべきである。

・ アミオダロンをリドカインないしプラセボと比較して機能的転帰を評価する試験が進 行中である。

・ VF/VT が最初の薬物に抵抗性であった場合、次の薬物をどのように選択するかについて のデータはない。