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年度における、愛媛県の水産ねり製品の生産量は15,477トンで、全国17位、全国シェアの1.8%

ドキュメント内 ドキュメント1 (ページ 159-162)

愛媛県八幡浜市・宇和島市におけるねり製品加工業の現状と課題

平成 3 年度における、愛媛県の水産ねり製品の生産量は15,477トンで、全国17位、全国シェアの1.8%

を占め、他の四国三県の 2 〜 3 倍の生産量である(中四国農林水産事務所提供資料による)。その中で 八幡浜市は、県内随一の水産ねり製品生産量を誇る。八幡浜と並ぶ生産地である宇和島と比較すると経 営規模が大きい。これは大規模経営の業者が数社存在するためであるが、一事業所当たりの従業者数は、

県下の平均と同じく10人前後の小規模経営が多い。

(2)八幡浜かまぼこの特質

八幡浜のかまぼこは、味の良さで知られている。前述したように、(同じく県内随一の)市場からも たらされる新鮮な魚を抜きにして八幡浜かまぼこは語れない。原材料の使用状況について見ると、季節

による変動等はあるが、おおむね 6 〜 7 割を生魚に頼っている(全国的には冷凍すり身が原料の 7 割近 くをしめる)。全国の産地の中でも伝統的製法を守った数少ない存在となっており、愛媛県の伝統的特 産品に指定されている。一方、製造工程の中で生魚の解体処理が最も機械化が進みにくい箇所であり、

生産の合理化をはばむ要因という点で逆に問題点の一つともなっている。しかし、県の産地診断報告書 の中で、産地全体のイメージアップのポイントとして、「他産地にない独特の味がある」「伝統的製法を 守っている」「鮮度の良い原魚に恵まれている」という点をほとんどの業者が挙げており、この特質を より発展させようとする企業努力を続けている。

販売先を見ると、南予・中予の売上げが、販売高の 6 割近くを占め、四国全体では 4 分の 3 を占める。

生物としての制約と交通上の問題もあり、他のかまぼこ産地と比べ、地元依存度が強いのが特色である。

しかし、瀬戸大橋の開通により他県との競合も始まっている。今後売上げ拡大を図るためには、大消費 地である、近畿・関東への販路開拓が必要であろう。

(3)八幡浜かまぼこの歴史

八幡浜かまぼこの創始者は鈴木峰治氏とされる。明治 4 年(1871年)生まれで宇和島出身の峰治氏は、

当時宇和島ですでに製品化されていたかまぼこ等を、川之石等に売り歩く際に、八幡浜港に水揚げされ る大量の鮮魚を見て八幡浜への定着を決意し、明治20年代に八幡浜での製造を始めた。近辺の人にも新 しい製法を教えると共に、できあがったものをてんびん棒で担いで九州まで売り歩き、九州では「伊予 のハンペン屋さん」として有名で、八幡浜かまぼこの販路開拓の先駆者でもあった。峰治は、屋号を

「鈴間屋」とし、さらに明治31年(1898年)より缶詰かまぼこの製造に乗り出し、遠く韓国・中国・ハ ワイ・南米にまでその販路を広げた。峰治の成功に刺激され、豊富な鮮魚の存在という恵みを生かして、

多くの人々の努力により、八幡浜のかまぼこ製造は発達してきたのである。大正 5 年(1916年)には、

峰治らの提唱により、八幡浜蒲鉾同業組合が結成されている。昭和10年(1935年)発行の「八幡浜の文 化」によると、当時三友商会とスター缶詰製造所の 2 社が、それぞれカンガルー印・スター印と称して、

西オーストラリア・南洋方面等の海外市場にかまぼこ缶詰を輸出し、十余万円の利益をあげている、と の記載がある。

2 八幡浜かまぼこを全国ブランドに一製造業者としての歩み

富久保 實さん(八幡浜市江戸岡 昭和 2 年生まれ 65歳)A蒲鉾株式会社会長

(1)蒲鉾生産の変遷一会社設立前後

「戦前は、缶詰等をのぞいたら、ほとんどのかまぼこ製造業者は家内工業でした。わたしも父に連れ られて、8 歳位の時から魚市場に出入りし、小魚のせりにも立ち会って見たりしてました。当時は、ト ロールの休漁期間である夏季は、かまぼこ業も休みで、その間は削りかまぼこを作ったり、氷屋さんに 出稼ぎに行ったりしてました。昭和25年に、(食糧)統制がとけて、自由販売で本格的に製造が復活す ることとなり、わたしが仕事についたのもこの年からです。

船の機械化は進んで漁獲量が増えましたが、かまぼこ製造の機械化は遅れ、魚肉をミンチにするのも 練り上げるのも当時はほとんど手作業でした。それが、昭和25・6 年頃に宇部(山口県)の池内鉄工所 により、かまぼこ製造機械(擂漬、成型の工程)が発明され、その頃から徐々に機械化が進みました。

この頃は、わたしも若く、若い衆を10人くらい雇って親譲りの店を本格的に拡大しようと、朝の 5 時か ら晩の10時まで懸命に働く毎日でした。またよく売れもしました。

昭和32年に、前社長の末広学さんらと語らって、昔ながらのやり方で家内工業のままでは生産拡大も なにもできないから、企業合同をしようということで、8 業者で会社を設立しました。「A蒲鉾株式会 社」と言う社名はそこからきています。組織をしっかりせないかんということで、企業組合ではなく株 式会社にしました。その頃はとにかく皆がむしゃらに取り組み、工場設立・稼働まで(既存の設備を利 用したとはいえ)2 か月もかかりませんでした。35年頃から会社が軌道に乗り始めました。この前後は 機械化も進みましたが、みんなで徹夜ということも度々でした。私達は良かったですが、年配の方はし んどかったと思います。とにかく、今までは一人一人独立独歩でやっていた職種であったのが、組織と してまとまって動いていくというところに、大きな苦労がありました。」

(2)販路、製造工程、製品の特質

「昭和30年すぎまでは、トロールの休漁期間は休んでおりましたが、企業としてやっていくためには 腐りにくいものをということで、薬品会社や包装会社との協力開発で、防腐剤やセロハンを改良してき ました。昭和40年前後に、北海道からの冷凍すり身が入るようになって、原料の安定確保ができ機械化 も進み、会社が大きくなってきました。ただ、八幡浜かまぼこの昧の良さというのは、他県と違って今 でも大部分を鮮魚を原料に作っているところにあるので、それはこれからも守り続けていきたいと思っ てます。ただ鮮魚は季節によって価格の変動が激しく、商売としては辛い面がでてくる時もあります。

昔は、荷車や自転車で大洲まで配達しに行ったり、他の業者と一緒に集荷して小型トラックで松山まで 運んだりもしました。また昔は、土地土地でかまぼこを作っており、そう遠方にまで売りにいくという ことはありませんでした。喜多郡(内子町)等の市場で競って、値段が決まったりということもありま した。とにかく生鮮食料品で賞味期間は 1 週間から10日ですから、運送期間の問題もあります。宣伝す ることも無かったし、販路は四国どまりでした。昭和42〜43年頃から交通の便が良くなって、阪神方面 への出荷も始めました。従業員や株主の知人を頼って、お盆やお正月前の時期に、こちらから出向いて 販路拡大に努めました。しかし当初は知名度も低く、送っても元も取れんようなことも度々でした。最 近、それもようやく安定してきましたが、毎日食べていただく方法はないかということで、現在は問屋 制度を設けて販売しています。

売れる時期は、やはり盆・正月、運動会・結婚式等の続く秋口で、この時期は大変忙しい思いをしま す。また、魚は毎日入ってきますので、わたしどもの会社では週休 2 日の代わりに週44時間労働制にし て、交替で休むようにしており、来年は40時間にする予定です。かまぼこというのは好不景気があまり なく、まじめにやっておればそれほど食いはずれがない商売ではあります。ただ、最近の食生活の変化 で、需要が低迷していることから、消費者の嗜好に合った製品の開発に努めております。

現在の従業員は約100名で、工程のほとんどはオートメ化されています。やはり一番人手がかかるの は、魚をさばく下ごしらえで、これだけは常時30人ほどが手作業でやってます。また、やはり練り上げ 等を手作りしたものは粘着度等風味が違い、高級品になるので、これらも大事に残していきたいと思っ ています。工場が手狭になり、一時は郊外への移転を考えたこともありますが、ここの水がいいことと、

魚市場に近い利便から、最初に設立したこの場所で商売を続けています。八幡浜の名産品としての伝統、

伝統技術としての誇りを大切に、これからも製品を作り続けていきたいと思っています。」

1.地域漁業の概要

(1)拠点としての概要

高知県高知地区の主な漁業は、小型・沖合底曳網や機船船曳網等であり、総じて加工原魚となるよう な魚が多く水揚げされる。そのため、練り物加工、ちりめん加工、干物加工等の水産加工業が地域に多 く存在している。

高知市内には、高知県漁協(高知市支所、御畳瀬

支所、浦戸支所)と春野町漁協(高知市内にある漁 港は春野地区に第 1 種漁港が 1 つあるのみ)の 2 漁協がある。

このうち御畳瀬支所と浦戸支所、春野町漁協で産地市場が開設されている。御畳瀬市場は沖合底曳網 や小型底曳網の漁獲物が主に取り扱われる。市場設備は一定水準にあるが、市場周りの道路事情は良く ない。浦戸市場は機船船曳網や小型底曳網の漁獲物が取り扱われるが、今はほとんど取扱がない。また、

立地条件が悪く、水揚げ機能や製氷機能等は十分とはいえない。春野町市場は機船船曳網の水揚げ市場 である。市場は新しく、シラスの売買に特化している。この他に、高知市内には高知市中央卸売市場が ある。近辺の産地市場で水揚げされた鮮魚の多くは高知市中央卸売市場に出荷される。

(2)漁業生産・水揚げ活動

1)漁業種類別経営体数と生産量の推移

高知市における漁業種類別経営体数の状況をみてみる1。沖合底曳網 3 経営体、小型底曳網39経営体、

船曳網16経営体、刺網11経営体、その他の網漁業 3 経営体、延縄 7 経営体、釣49経営体、採貝 4 経営体、

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