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再審査請求の手続については、法66条1項により、原則として審査請求の手続を準用しているこ とから、本章では、審査請求における手続との相違点を中心に、解説する。

1 再審査請求の受付

(1)再審査請求の方式

再審査請求は、個別法に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、再審査請求書を 提出してしなければならない(法66条1項で準用する法19条1項)。

再審査請求に必要な事項(法66条1項で準用する法19条2項、4項及び5項3号)が記載され た書面であればよい。その方式・手続等は、基本的に審査請求と同様である(第2編第1章1(6 ページ)参照)。

(2)裁決庁等を経由する審査請求

再審査請求は、原裁決と原処分のいずれを対象とするかにかかわらず、裁決庁又は処分庁のい ずれを経由して行うことも可能であり、この場合における再審査請求期間の計算については、裁 決庁等に再審査請求書を提出し、又は必要な事項を陳述した日を、再審査請求をした日として取 り扱うことになる(法66条1項で準用する法21条)。

再審査請求書の提出等を受けた裁決庁等の手続は、審査請求と同様である(第2編第1章1(6 ページ)参照)。

2 再審査請求の適法性審査(形式審査)

再審査請求の適法性審査(形式審査)についても、基本的には審査請求の場合と同様である(第 2編第1章2(11ページ)参照)。ただし、詳細については、次のように審査請求とは異なる部分も ある。

(1)再審査請求書の記載事項

再審査請求書において記載が必要となる事項は以下の表のとおりである。

表17 再審査請求書の記載事項

記載事項 根拠条文

必ず記載が必要な事項

①再審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所 法66条1項で準用する法19条2項1号

②再審査請求に係る処分の内容 法66条1項で準用する法19条2項2号

③原裁決があったことを知った年月日 法66条1項で準用する法19条2項3号

④再審査請求の趣旨及び理由 法66条1項で準用する法19条2項4号

⑤裁決庁の教示の有無及びその内容 法66条1項で準用する法19条2項5号

⑥再審査請求の年月日 法66条1項で準用する法19条2項6号 一定の要件に該当する場合に記載が必要な事項

① 再審査請求人が法人その他の社団若しくは財団 である場合、総代を互選した場合又は代理人によっ て再審査請求をする場合

その代表者若しくは管理人、総代又は代理人の氏 名及び住所又は居所

法66条1項で準用する法19条4項

② 再審査請求期間(※)の経過後において審査請求を する場合

その正当な理由

(※)原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月・原 裁決があった日の翌日から起算して1年(法62条1項本文・2 項本文)

法66条1項で準用する法19条5項3号

(2)再審査請求先の確認

再審査請求については、誤った教示をした場合や教示をしなかった場合の救済措置(法22条・

83条)は設けられていないが、適切に教示がされなかったことにより再審査庁でない行政庁に再 審査請求書が提出された場合には、担当職員は、早急に再審査請求人に対し、正しい再審査請求 先に再審査請求書を提出すべきであり、当該行政庁に対する再審査請求は不適法な再審査請求と して却下されることになる旨を説明する(なお、正しい再審査請求先が把握できない場合には、

裁決庁又は処分庁に対して再審査請求書を提出することができる旨を説明する。)。(その他の事項 については、第2編第1章2(11ページ)参照)

3 再審査請求書の補正

再審査請求書の補正については、基本的には審査請求の場合と同様である(第2編第1章3(20 ページ)参照)。

4 審理手続を経ないでする却下裁決

審理手続を経ないでする却下裁決についても、基本的には審査請求の場合と同様である(第2編 第1章4(22ページ)参照)。

5 執行停止

執行停止についても、基本的には審査請求の場合と同様である(第2編第1章5(23ページ)参 照)が、再審査請求は、裁決庁等の上級行政庁や裁決庁等が再審査庁となることを想定した手続で はないため、審査庁が処分庁等の上級行政庁又は処分庁等のいずれでもない場合の執行停止と同様 の手続としている。

そのため、再審査庁は、再審査請求人の申立てがある場合に限り、裁決庁等の意見を聴いて、執 行停止をすることができ(職権ですることはできない。)、また、とることができる具体的な措置は、

原裁決等の効力、原裁決等の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止の措置となる(「その他の措 置」をとることはできない。)(法66条1項で準用する法25条3項)。なお、「原裁決等」とは、原処 分を対象とする再審査請求の場合には原処分、原裁決を対象とする再審査請求の場合には原裁決を 意味するが、原裁決について行う執行停止としては、例えば、原裁決が原処分を変更する内容であ る場合で変更後の処分を前提とする後続の手続の進行により著しい損害が生ずるときに当該手続の 続行を停止することや、原裁決が原処分を取り消す内容である場合で原処分の取消しにより著しい 損害が生ずるときに原裁決の効力を停止することが考えられる。

6 審理手続の承継

審理手続の承継についても、基本的には審査請求の場合と同様である(第2編第1章6(27ペー ジ)参照)。

7 再審査請求の取下げ

再審査得請求の取下げについても、基本的には審査請求の場合と同様である(第2編第1章7(30 ページ)参照)。