第3章 審理手続
5 争点の整理等
理手続を計画的に進める観点から、その予定時期等を審理関係人に連絡 し、審理手続の実施について協力を求めることが考えられる。
○ 審理関係人から提出された書類等だけでは、争点の整理やその後の審 理手続の判断を行うことが困難な場合には、後述ウの審理手続の申立て に関する意見聴取の実施の必要性を検討する。
ウ 審理手続の申立てに関する意見聴取
① 意見聴取の必要性の判断
審理員は、事件が複雑である場合など、審理手続を計画的に遂行するため必要が あると認めるときは、審理手続の申立てに関する意見聴取を行う。
<法令>◆ 審理員は、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑で あることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、審理手続を計 画的に遂行する必要があると認める場合には、審理手続の申立てに関する意見 を聴取することができる。
法37条1・2項
[解釈]□ 審理手続の申立てに関する意見聴取は、事件が複雑であるなどの事情によ り、審査請求の趣旨や審査請求人と処分庁等の主張の対立点を正確に把握で きず、審理手続の必要性や順序についても的確に判断できない場合に、その 後行うべき審理手続の採否を的確に判断することができるようにするため の手続である。
□ 意見聴取の実施は、審理員が、審理手続を計画的に遂行し、迅速かつ公 正な審理を行う観点から判断するものであり、審査請求人や参加人が意見 聴取の実施を申し立てることはできない。
□ 意見聴取を行うことができる「その他の事情」としては、例えば、審査 請求の趣旨及び理由にあいまいな部分があるため、その後とるべき審理手 続を決定することができない場合などが考えられる。
② 審理関係人への日程等の確認
・ 審理員は、審理手続の申立てに関する意見聴取(以下この節では単に「意見聴 取」という。)を行う場合には、招集を求める審理関係人の都合等を事前に聴取 する。
・ 審理関係人が遠隔地に居住している場合など、相当と認める場合には、電話に より意見聴取を行うことができる。
<法令>◆ 意見聴取は、原則として、期日及び場所を指定し、審理関係人を招集し て行う。
法37条1項
◆ 審理関係人が遠隔地に居住している場合その他相当と認める場合には、
電話により意見聴取を行うことができる。
法37条2項
[解釈]□ 電話による意見聴取を行うことができる「その他相当と認める場合」
としては、審理関係人が出席を望まない場合や、審理員が当該審理関係 人と一対一で通話することにより目的を達することができる場合などが
法37条2項
考えられる。
③ 期日及び場所の指定
審理員は、聴取した審理関係人の都合等を踏まえて日程調整を行い、招集を求め る者の人数等に応じた適切な場所(部屋)を確保した上で、期日及び場所を決定し、
当該審理関係人に通知する。
[解釈]□ 意見聴取は、口頭意見陳述とは異なり、必ずしも審理関係人全員を招集 する必要はなく、審理員が必要と認める範囲で審理関係人を招集すること も許容される。
(運用)○ 申立人等への通知は、書面により行うことが適当であると考えられる。様式例32
④ 意見聴取の実施
a)審理関係人を招集して行う場合
審理員は、指定した場所に会場を設置し、出席者の確認を行った上で、出席し た審理関係人から、表9の審理手続について申立て(証拠書類等の提出について は提出)を行う意向があるか否かを聴取する。
[解釈]□ 意見聴取は、あくまで審理手続の申立てに関するものであり、審理関係 人は、口頭意見陳述のように、意見聴取手続において審査請求に係る事件 に関する意見を自由に陳述することができるものではない。
(運用)○ 審理関係人を招集して意見聴取を行う場合の進行方法等は、個々の事 案に応じ、口頭意見陳述における取扱いも参考に、審理員が適切に判断 することになるが、例えば、以下のような手順で進めることが考えられ る。
→65頁参照
ⅰ)出席者の確認
出席者に対して、身分証明書の提示を求める等により、当該出席者が招集
を求めた審理関係人であることを確認する。
ⅱ)注意事項の説明
意見聴取の冒頭において、手続における注意事項について説明を行う。説
明を行う注意事項としては、口頭意見陳述と同様の事項のほか、事件に関す る意見を自由に陳述することはできないことなどが考えられる。
→65頁参照
ⅲ)審理関係人からの意見聴取
招集した審理関係人から、表9の審理手続について申立て(証拠書類等の
提出(法32条)については提出)を行う意向があるか否かを聴取するととも に、これらの意向がある場合には、その内容及び理由を聴取する。複数の審 理関係人を招集した場合には、審理員が聴取順を定めて、順次聴取を行う。
ⅳ)審理員による出席者に対する質問
争点及び証拠の整理のため、必要に応じ、審理関係人への質問(法36条)
により、出席した審理関係人に対し質問を行う。この際、審理関係人の対応
審理関係人へ の質問→79頁 参照
が必要な手続については対応が可能な日程、証拠書類等の提出については提 出が可能な時期など、その後の審理計画の検討に当たって必要な事項につい ても、併せて質問を行うことが効率的である。
また、出席した審理関係人から他の審理関係人に対する質問の意向が示さ
れた場合には、口頭による審理関係人への質問の申立てとして取扱い、争点 等の整理のため適当と認める場合には、適宜質問を行う。なお、このような 場合には、一般に、改めて申立書を提出させる必要はないと考えられる。
意見聴取の際の秩序維持については、法令上の規定はないが、審理関係人
が争点についての主張を行うなど、意見聴取の趣旨に照らし相当でないと認 める場合は、その発言を制限するなど、秩序維持のため必要な措置をとる。
ⅴ)意見聴取の終了
以上の意見聴取及び質問を終えた場合は、意見聴取を終了する旨を宣言す ることにより、意見聴取手続を終了する。
b)電話により行う場合
意見聴取を行う審理関係人に電話をかけ、通話者及び通話先の場所を確認した 上で、aと同様に、審理関係人の意見の聴取や質問を行う。
<法令>◆ 電話による意見聴取を行うときは、通話者及び通話先の場所を確認しなけ ればならない。
令9条
表9 申立てに関する意見聴取を行う審理手続
審理手続 根拠条文 本章における参考ページ