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第3章 審理手続

11 審査請求人等による提出書類等の閲覧等

【概要】

審理員は、審査請求人又は参加人から、提出書類等の閲覧又は写し等の交付の求めを受けた場 合は、交付を拒むことができる「正当な理由」の有無の確認、提出書類等の提出人の意見の聴取 を経て、その実施について決定する。

ア 審査請求人又は参加人からの求め

① 本手続の内容

審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出 書類等の閲覧又は写し等の交付(以下「閲覧等」という。)を求めることができる。

<法令>◆ 審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、

提出書類等(法32条1・2項の証拠書類等、法33条の書類その他の物件及び 法29条4項各号に掲げる書面)の閲覧又は写しの交付を求めることができ る。

法38条1項前段

[解釈]□ 審査請求人又は参加人による提出書類等の閲覧等の手続は、審査請求人 又は参加人の手続保障の充実を図る見地から、これらの者が審査請求の審 理において適切に主張・立証することができるよう、認められているもの である。

(運用)○ なお、本手続とは別に、審理員が、運用上、審査請求人等の求めによ らず、職権により、審査請求人等に対し、提出書類等の写しの交付等を 行うことが一律に排除されるものではない(ただし、その場合には、本 手続による手数料を徴収することはできない。)。

② 閲覧等の請求の方式

交付の求めについては、対象となる証拠書類等を特定するに足る事項等を記載 した書面の提出を求める。

様式例65

図1〔3-11〕

<法令>◆ 提出書類等の写し等の交付の求めは、次の事項を記載した書面を提出して しなければならない。

① 対象書面等を特定するに足りる事項 ② 交付の方法

③ 送付による交付を求める場合にあっては、その旨

令10条

(運用)○ 閲覧の求めの方式については、法令上の定めはないが、審理手続の円 滑な進行を図る観点から、交付の求めと同様に、書面の提出を求めるこ とが適当であると考えられる。

様式例65

③ 手数料の減免申請

審査請求人等が提出書類等の交付に係る手数料の減免を求める意向を示してい る場合は、手数料減免申請の書面及び経済的困難等の状況にあることを証明する 書面を提出させる。

<法令>◆ 提出書類等の交付を受ける審査請求人又は参加人は、実費の範囲内におい て手数料を納めなければならない。なお、審理員は、経済的困難その他特別 の理由があると認めるときは、手数料を減額し、又は免除することができる。

法38条4~6項

(運用)○ 写しの交付を請求する書面に必要な内容を記載することで、手数料減 免の申請書面とすることは可能であると考えられる。

様式例65

イ 閲覧又は写しの交付を拒むことができる「正当な理由」の有無の確認

○ 閲覧等を求める書面の記載事項による対象となる提出書類等の範囲の把握後、

当該提出書類等が、その閲覧等を拒むことができる「第三者の利益を害するおそ れがあると認めるとき、その他正当な理由があると認めるとき」に該当している かどうかについて、確認を行う。

<法令>◆ 審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当 な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。

法38条1項後段

[解釈]□ 閲覧等を拒むことができる「正当な理由があるとき」とは、具体的には、

例えば、第三者の個人識別情報が含まれている場合や、閲覧等により、行 政機関が行う事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ がある情報が含まれている場合など、行政機関の保有する個人情報の保護 に関する法律第14条各号に規定する不開示事由と重なるものが想定され る。

□ 提出者から閲覧等を認めることが適当でない旨の意見が提出された場 合であっても、審理員は、閲覧等を拒む「正当な理由」が認められない場 合には、これを拒むことはできない。

(運用)○ 第三者の個人識別情報が含まれていることが直ちに「正当な理由」

に該当するものではなく、例えば、審査請求に参加していないものの、

審査請求に係る処分等に密接に関与している第三者についての個人識 別情報については、「正当な理由」に該当しないと判断される場合もあ り得ると考えられる。

○ 本手続は、簡易迅速な審理手続の枠内で認められるものであること

から、写しの交付の対象となる資料が膨大であるため、写しの交付を 認めることにより、その事務負担が過大となり、迅速な審理手続の遂 行に著しい支障が生ずるような場合についても、「正当な理由」に該当 し得るものと考えられる。

○ 本手続は、情報公開法等における部分開示を前提とするものではな

いことから、「正当な理由」に該当する情報を除くこと(マスキング)

により、閲覧等が可能となる場合であっても、その作業負担が過大で、

迅速な審理手続の遂行に著しい支障を生じるような場合は、閲覧等を 拒むことも許容され得ると考えられるが、マスキングが必要となるこ とをもって直ちに「正当な理由」に当たるものではなく、審理手続の 遂行への支障等の個別の事情を踏まえて判断する必要があると考えら れる。

ウ 提出者への意見聴取

○ 閲覧等を認めることが適当と認める場合には、原則として、提出人に対し、求 めがあった提出書類等についての閲覧等の可否についての意見を聴取する。

様式例66

<法令>◆ 審理員は、閲覧をさせ、又は交付をしようとするときは、当該閲覧又は交 付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審理 員が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。

法38条2項

[解釈]□ 審理員は、提出された提出人の意見に拘束されない。

□ 審理員が、提出人から意見を聴くまでもなく、閲覧等を拒むことがで きる「正当な理由」に該当するか否かについて判断が可能である場合に は、提出人の意見を聴く必要はない。

(運用)○ 意見の聴取の方式としては、閲覧等の求めに対する決定を迅速に行 う観点から、当該求めがあった際に、提出人に対し、一定の回答期限 を付して、求めがあった提出書類等についての閲覧等の可否について の意見及びその理由を提出するよう、書面により照会することが適当 であると考えられる。

様式例66

○ 提出書類等の提出時に、提出人から、当該資料の審査請求人又は参 加人による閲覧等の可否についての意見及びその理由が提出されてい る場合は、改めて提出人から意見を聴く必要はない。

様式例31、39、

46

○ 意見の聴取を行う際には、提出人に対し、審理員は提出意見に拘束 されない旨を明確にしておくことが望ましい。

様式例28、31

エ 閲覧又は写しの交付の可否の決定及び審査請求人等への通知等

○ 上記イ・ウを踏まえ、閲覧等の求めの可否を決定し、速やかに、当該求めをし た審査請求人又は参加人に通知する。

その際、閲覧の日時及び場所を指定する場合には当該日時及び場所を、写しの 交付を認める場合には交付の方法、手数料の額及び納付方法等を、手数料の減免 を求められていた場合には減免の可否を、併せて通知する。

<法令>◆ 審理員は、提出資料等の閲覧をさせる場合には、日時及び場所を指定する ことができる。

法38条3項

◆ 写しの交付は、①提出資料等を複写機によりコピーした書面の交付、②電 磁的記録に記録された事項を出力した書面の交付、③オンライン化法4条1 項の規定によりオンラインで交付、のいずれかの方法により行う。

令11条

◆ 写しの交付に係る手数料の額、納付方法及び減免については、審査庁が地 方公共団体の機関である場合には条例で、審査庁が国・地方公共団体以外の 機関である場合には審査庁の定めるところによることになる。

法38条6項

◆ 審査庁が国の機関である場合には、写しの交付に係る手数料は、交付する 書面(オンラインで交付する場合は交付の基となる書面)1枚につき10円(カ ラー出力の書面を交付する場合は1枚20円)であり、原則として審査庁が定 める書面に収入印紙を貼付して納付しなければならない。

令12条1・2項

◆ 写しの交付を受ける審査請求人又は参加人は、送料を納付して、送付によ り交付を受けることができる。この場合の費用は、切手の納付等の方法(審 査庁が国以外の機関である場合には、審査庁が定める方法)により行う。

令14条

(運用)○ 閲覧等の可否等の通知は、書面により行うことが適当であると考え られる。

様式例67、68

○ 閲覧等の可否を通知する際、当該閲覧等を認めない場合やマスキン グ等を実施した上で閲覧等を認める場合には、審理員は、当該求めを した審査請求人等に対して、書面により、その旨及びその「正当な理 由」を通知することが適当であると考えられる。

○ 写しの交付方法は、審理員が適当と認める方法を最終的に判断する こととなり、情報公開法における開示請求のように、交付を受ける者 の自由な選択を前提とするものではないが、交付を受ける者の希望に 可能な限り対応することが望まれる。

オ 閲覧等の実施

○ 上記エの決定の内容に沿って、閲覧等を実施する。

(運用)○ 提出書類等の閲覧をさせる際、審理員又は審理員補助者は、指定し た場所以外での閲覧や当該提出書類等の破損等を防止するため、立ち 会うことが適当である。

○ 写しを交付することも可能である提出書類等について、閲覧を受け