第 5 章 高圧水素ガス環境中における高強度析出強化型ベリリウム銅合金の
5.2 供試材および実験方法
5.2.2 実験方法および試験片形状
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◆疲労寿命試験
平滑丸棒試験片を用いた引張圧縮疲労試験を大気中と 115 MPa 水素ガス中にて行い,応力振 幅σaと破断繰返し数Nfの関係(S-N特性)に及ぼす水素の影響を評価した.試験における応力 比はR = ‒1,周波数はf = 1 Hz,温度は室温とし,負荷波形はサイン波とした.Fig. 5-3 (b)に,
疲労寿命試験片の形状と寸法を示す.これらの試験片の平行部表面には,引張試験片と同様の手 順にて周方向の傷がないように鏡面研磨を施した.通常,疲労寿命試験では負荷繰返し数107回 までの疲労試験を実施し,試験片が破断しないときの応力振幅の値を疲労限度σwとして評価す る.しかしながら,周波数1 Hzの下で107回の疲労試験を完了するには4か月程度の時間を要 し,高圧水素ガス中での材料試験コストを考慮すると現実的ではない.そこで,水素ガス中での 試験に関しては,2×106回の負荷後に試験片が非破断の場合,そこで試験を中途終了した.さら に大気中の試験についても試験時間の短縮のため,2×106回にて非破断の場合は周波数を10 Hz へと変更し,その後破断もしくは107回まで試験を継続した.また,R = ‒1の引張圧縮疲労試験 においては,試験片軸と試験機の荷重軸との僅かな誤差により,測定される疲労寿命が著しい影 響を受けることが想定される.本研究での疲労寿命試験では,Fig. 5-3 (b)に示す試験片のφ13 mm
部分に90˚毎に4か所,試験片の軸方向に沿ってひずみゲージを貼付し,‒1 kNの圧縮荷重を負
荷した際に試験片軸のブレがないように,試験片取付け時に軸心の調整を行った.
◆疲労き裂進展試験
ASTM-E647[45]に準拠した疲労き裂進展試験を,荷重振幅ΔP一定の下で大気中と115 MPa水
素ガス中にて行った(ΔP一定試験).試験における応力比はR = 0.1,周波数は大気中においてf
= 10 Hz,水素ガス中ではf = 1 Hzである.Fig. 5-3 (c)に疲労き裂進展試験用のCT試験片の形状
と寸法を示す.これらの試験片は,母材の長手方向とき裂進展方向が一致するように採取した.
応力拡大係数やき裂長さの算出を含め,その他の実験方法に関しては2.2.2節で述べたものと同 様である.また ΔP 一定試験に加え,き裂進展速度に及ぼす試験周波数の影響を調べる目的で,
ΔK値を20 MPa·m1/2で一定に保ったまま周波数を0.01 ~ 10 Hzの間で変化させるΔK一定試験を
大気中,0.7 MPa窒素ガス中および115 MPa水素ガス中にて実施した.ΔP一定試験を終えた試 験片については,試験後大気中での疲労負荷により試験片を分断し,SEM による破面観察を実 施した.また,ΔK一定試験に使用した試験片については,試験片を板厚中央部に沿って切断し,
き裂周辺を研磨の後にEBSDを用いた結晶学的き裂進展経路の分析を実施した.
◆平面ひずみ破壊靭性試験
ASTM-E399[46]に基づく破壊靭性試験を大気中と115 MPa水素ガス中にて行い,平面ひずみ破
壊靭性値KIcに及ぼす高圧水素ガス環境の影響を評価した.Fig. 5-3 (d)に,破壊靭性試験用CT試 験片の形状と寸法を示す.試験片表面近傍における平面応力領域を取除き,破壊靭性値の試験片 板厚依存性を最小化するため,試験片の両面には深さ1.1 mmのサイドグルーブを,機械加工ノ ッチ先端からマクロなき裂進展方向に沿って加工した.破壊靭性試験に先がけ,すべての試験片 には大気中にてΔK = 15 MPa・m1/2,R = 0.1,f = 10 Hzでの疲労負荷によりa0/W = 0.5となるまで 疲労予き裂を導入した.ここで,a0は予き裂長さである.
破壊靭性試験は,予き裂導入後の試験片に各試験環境下で一方向の引張負荷を与えることに より実施した.負荷中の試験機のクロスヘッドスピードはCHS = 0.0002 mm/sとし,試験は不安 定き裂伝播が生じ荷重値の急激な低下が起こるまで継続した.平面ひずみ破壊靭性値KIcの算出 は以下の式により行った.
] ) / ( 6 . 5 ) / ( 72 . 14 ) / ( 32 . 13 ) / ( 64 . 4 886 . 0 [ ) / 1 (
) / 2
(
40 3
0 2
0 2 0
/ 3 0 N
0
Ic
a W a W a W a W
W a W BB
W a
K P
Q
(5.2)
ここで,PQは不安定き裂伝播が生じる直前の最大荷重,BNはサイドグルーブ底における試験片 板厚である.疲労予き裂長さa0の値は,試験片の両側面と,板厚方向に沿って試験片を4 等分 した位置におけるき裂長さを,破断した試験片の破面上から光学顕微鏡により測定し,その平均 値として求めた.192
Fig. 5-3 Shapes and dimensions in mm of the specimens for mechanical tests; (a) smooth, round-bar specimen for tensile tests; (b) smooth round-bar specimen for fatigue life tests; (c) CT specimen for fatigue crack growth tests; (d) CT specimen with side grooves for fracture toughness tests.
Fig. 5-4 Hydrogen desorption profiles from the cylindrical specimens with different thicknesses exposed to high-pressure hydrogen gas at elevated temperature, measured via TDA.
(a) (b)
(c) (d)
Furnace temperature [°C]
D e so rp ti o n r a te [ m a ss p p m /m in ]
CuBe-AT
Hydrogen charged at 100 MPa, 270 °C, 540 h Temperature rising rate : 100 °C/h
Specimen diameter : 8 mm Thickness, t
1 mm 1 mm 2 mm 3 mm
0.23 ppm 0.21 ppm
0.13 ~ 0.15 ppm
0 200 400 600 800
0.002
0.004
0.006
0.008
0.01
193