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工 身近な対象の存在と工夫された内容

 前出した図4。3−3のTaさんが提出した電子ポートフォリオは,

量が多い電子ポートフォリオである。また,相手校に公務員(教師)を 調べる生徒がいなくて,交流がない状況でもあった。しかし,幸いに,

調べる対象の「教師」が常に身近にいるということと,電子ポートフォ リオの内容がQ&A方式で,おもしろい工夫がなされていたので,交流 が始まり,振り返りが生起した。

(2)振り返りにつながらなかった電子ポートフォリオ

 次に,振り返りにつながらなかった電子ポートフォリオについて分析

する。

ア 専門的なアセスメントが必要な電子ポートフォリオ

 図4.4−5は,コンピュータ関係の仕事を調べているグループが提 出した電子ポートフォリオである。

みなさんこんにちは一。私達2人は,システムエンジニアっていう仕事を調べていま一す。だけど,

T中学校で,この仕事を調べる人っていないんですね(〉〈)ちょっとかなしかったです…

でもまあ,2人だけれど,がんばりま一すく^^)っていうかんじでがんばるんでね意見などじゃん じゃん書き込んでいってくださ一い。

では,下へGO!

!.システムエンジニア(以下SE)の仕事ってどんなの?

● ハードウェアとソフトウェアおよび通信回線をいろいろと

組み合わせ利用者の要求にかなったコンピュータシステムを設計する。(途中略)

2.この仕事に就いている人にはどんな人がいるの?

●製造業.金融保険業.建設業などの企業や学術研究機関など,一般にユーザーと呼ばれるコンピ ューターを利用する側の情報処理部門と,パッケージソフトウェアを開発したり,ユーザーの情報シ ステムを受託開発したりするコンピューターメーカー,情報処理産業など。

      (途中略)

今のところでは,ここまで調べました。これについての意見・感想をまってます。では,また,出来 しだい書き込んでいきたいと思います。

図4.4−5 コンピュータ関係のグループの電子ポートフォリオ

 相手校にはコンピュータに興味がある生徒はいるが,電子ポートフォ

つた。教師は,専門的なアセスメントの必要性があると判断し,SEの 専門家を探したが,見つからなかった。今後,学習に入る前の早い段階 から,専門家などの人材バンク作りに学校ぐるみで取り組み,生徒が専 門的なアセスメントが受けられるように努める必要がある。

イ ポイントがずれた電子ポートフォリオ

 図4.4−6は,漁業グループが提出した電子ポートフォリオである。

内容をみても分かるように,学習のポイントがずれているため,交流が なかなか生まれず,振り返りが生起しなかった。

僕達は、季節の魚の種類について調べました。

春… 旧いか,メバル,マダイ 夏…  イサキ,太刀魚,タコ,アジ 秋… サンマ,カワハギ

冬…  クロ,ブリ

そちらの魚は、どんな魚がいますか?   教えて下さい。

    図4.4−6 学習のポイントがずれた電子ポートフォリオ

 教師は,学習の目的を事前に生徒にしっかりと理解させるとともに,

どのような電子ポートフォリオを作成するのかを具体的に示すことが 必要である。また,学習の途中や電子ポートフォリオを提出する前に,

学習の目的に照らして生徒自身にチェックさせることも大切である。

ウ 知識のみの電子ポートフォリオ

 図4.4−7は,整備士グループが提出した電子ポートフォリオであ る。内容が仕事の内容や資格だけにとどまっており,「なぜその職業を 選んだのか」や「自分はどう考えたのか」等に関する記述がない。

 この場合も,事前に教師が電子ポートフォリオの内容を示し,一人一 人の考えを少しずつでも入れていくようにさせることが必要である。ま

一144一

た,次のエのことも関係している。

整備士に大切なこと

・車の安全面、環境面(排気ガス)

整備士をしていて辛いこと

・いろいろなぎょう車の整備 整備士の内容

・車の整備、車検、自動車の販売、保険業務 整備士になるために必要な資格

三級自動車整備士(じつむ経験)、三級さし解傭士、二級自動車整備士、

二級エンジン整備士、電装整備士、二級ガソリン整備士、

二級自動車ジーゼル整備士、自動車検さいいん(一年以上のじつむ経験)

まだいろいろあるけど、一応これだけ入れます。

たくさん返事をください。

画像1は、自分たちが話を聞いているところです。

画像2は、資格の写真

画像3も一緒です。       [画像1][画像2][画像3]

図4.4−7 知識のみの電子ポートフォリオ

工 生徒個人の顔がみえない電子ポートフォリオ

グループで調べたことを,グループで選び電子ポートフォリオを作成 するため,生徒個人が交流の前面に現れにくいことが,振り返りが生起

しなかった原因でもある。

図4.4−8は,調理師グループが提出した電子ポートフォリオであ

る。

給食センターには、次長1名、栄養士1名、調理員6名と運転手2名、計10名で働いている。勤務 時間は、朝の8時から夕方の4時30分まで

〜仕事内容〜

1,朝の打ち合わせ。(健康観察、献立の説明をし、手順を打ち合わせる。)

2,身じたくをととのえる。(自衣・帽子をつける、手をブラシで洗い消毒する。)

3,調理場内の代などの消毒をする。

4,材料の下ごしらえをする。(かわむき機・・ごろごろこすって皮をむく。

  ジャガイモなど

 野菜きり機・・いろんな形に切ることができる。)

5,調理をします。(かま・・スープやにものなどを大きなかまでたきます。

 揚げ物機・・魚や肉などを揚げます。ご飯もセンターでたきます。)

6,配嚇します。(学校、学級別に配午します。)

7,学校別にコンテナ車に入れて配送車に乗せて各学校に運びます。   (後略)

図4.4−8 調理師グループの電子ポートフォリオ

この電子ポートフォリオに対して,「調理師をやっていて,一番うれし い時ってどんな時?」という質問がくるが,教師に促されても返事を書 こうとする生徒はいなかった。このことは,提出された電子ポートフォ リオに対して生徒一人一人が無責任になっており,かつ,自分の考えを 他者に表現することをためらう状態になっていたと考えられる。そのた

め,質問に答えるべく,新たに調べていこうとする姿が観察されなかっ

た。

 教師は,生徒一人一人が前面に出るように,グループの人数を調整し たり,電子ポートフォリオの内容に生徒の考えをつけるよう支援したり,

また,質問をする場合は「○○さんへ」というように,個人名を書くよ うにするなど,生徒の実態に即して生徒一人一人を支援する必要がある。

オ 催促の電子ポートフォリオ

 図4.4−9は,販売員のグループが提出した電子ポートフォリオで

ある。

遅れてごめんなさい。

こっちで、6/19日に調べ学習があって、○○屋さんていう所に行って来ました。

そこで、分かったことは1日の働く時間が、○○屋さんでは、A, M8:00〜P, M7:30まで と、お客さんとは普段仕事関係や日常生活のことを話すんだそうです。

品物のならべ方は、お客さんが見やすいように。

それと、別に資格はいらないそうです。

全体の平均で良いのですが、分かったら教えて下さい。

それじゃ、また… 。

     図4.4−9 販売員グループの電子ポートフォリオ        (網掛けは筆者)

 調べ学習で分からないことを,相手に聞いている内容である。また,

その聞いている内容(網掛けの部分)が,答えようがない内容である。

電子ポートフォリオの内容のよしあしを,その都度,教師が生徒に気づ