本実践において外部の協力者は,インターネット環境が整っていると いう条件があるので,ごく限られた方しかお願いができなかった。近い 将来,どの家庭からもインターネットができる環境が整えば,生徒の学
びも今以上に発展していく可能性が出てくる。
(3) まとめの段階
① 学習のねらい
グループポートフォリオを振り返ることで,自分の学習の歩み を再認識し,学習のまとめをするとともに,今後の課題を考える ことができる。
② 学習の経過
生徒の学習の様子
1 個人ポートフォリオを作成する
・今までのポートフォリオや他者の意見な どを見返し,4つの規準に沿うと生徒自身 が判断した内容を個人ポートフォリオとし て保存した。
2 テレビ会議で,これまでの成果を発表
する
・この学習で学んだことや新しい発見等を まとめ,テレビ会議をつかって発表した。
さらに,発表後に意見交換をした。
3 これからの課題について考える 今後の課題について考えた。
教 師 の 支 援
・システムの検索機能を利 用させて,学習を振り返ら
せた。
・教師との対話により,個 人ポートフォリオとして保 存する内容を生徒にはっき
り意識させた。
これからの新たな課題につ いて出し合い,今後の調べ学 習の意欲づけをさせた。
図4.2−12 まとめの段階の経過
生徒たちは,調べ学習の途中や共同ポートフォリオ作成時に,深い振 り返りを個人ポートフォリオとして随時保存してきたが,もう一度最後 にシステムの検索機能を使って学習を振り返り,深い振り返りがあった 場合には個人ポートフォリ
オに保存した(図4.2−
13と図4.2−14)。
その際,グループポートフ ォリオを,時系列で辿るこ とはせず,キーワードに自 分の名前や相手の名前,ま たは心に残った言葉を入れ る等して検索した。教師は
写真⑥ 検索して学習を振り返る
生徒の検索を支援し,対話により一つ一つの深い振り返りをなぜ残すの かを生徒に意識させた。
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図4.2−13 個人ポートフォリオの例(1)
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図4.2−14 個人ポートフォリオの例(2)
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以上の学習をまとめ,テレビ会議システムによる発表会を行った。
生徒たちは,個人ポートフォリオに保存した内容を主にして,これま での学習の成果と今後の課題を発表した。
写真⑦ 写真⑧
テレビ会議システムによる発表会
4⊇3 授業の分析 4、3.1 分析の方法
分析の方法として,質的研究の一つであるグラウンデッド志学リー (Grounded Theory)を用いる。
グラウンデッドセオリーはデータ対話型理論とも呼ばれ,B.G.グレイ ザーとA.Lストラウス(Glaser&Strauss,1967)によって作られた方 法論である。
この分析方法を用いる理由は,次の通りである。
ア Web上と実世界のコミュニケーションや相互作用は本質的に特性 が違う。しかし,前者の背景に後者が深く関わっている。
イ 電子ポートフォリオを分析していくときに,実世界の調べ学習の 過程と密接に関係している。そのため,電子ポートフォリオのデー タと実世界の発話プロトコルなどのデータを無関係に分けて分析 することは適切ではない。
ウ 実践のデータは,インターネット上でのポートフォリオシステム (グループと個人)への書き込みとやりとり,調べ学習での生徒の 会話,生徒の学習ファイルの記録等,幅広い異質のデータを対象と する。
山内祐平(1999)は,このグラウンデッドセオリーについて「この方 法論は,電子空問の社会的相互作用と実世界の文脈を総合的に扱える柔 軟性を持っており,エスノメソドロジーや談話分析よりも幅広いデータ
を柔軟にとり扱うことができる」としている。
グラウンデッドセオリーは,方法論的に厳密な規定があるわけではな く,フィールドノーツやインタビューの記録を質的に分析していくこと が中心となる。