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専門家

インターネット  (非公開)

生徒個人

 保護者

電子ポートフォ リオシステム  (個人)

生徒が許可した人 教師

      図2.2−3 遠隔共同学習を支える学習環境

(1)グループポートフォリオ

あるテーマで生徒が調べたことから電子ポートフォリオを作成し,イ

ンターネット上でサーバーに提出する。グループポートフォリオの場は,

提出された電子ポートフォリオをもとに非同期で意見交換・情報交換す る場である。

 本研究では,前述の学習に関わる人として,専門家・地域の人・保護 者の3者を対象に,生徒の学習を達成するために適した人材を選定する。

選定された人は,インターネットで生徒が作成した電子ポートフォリオ に対して意見や情報を提供したりアセスメントしたりする。

 専門家・地域の人・保護者が意見や情報を提供したりアセスメントし たりすることにより,生徒の学習に次のような効果がもたらされる。

〈専門家〉

 専門家は,専門的な知識を持ち,その道で経験豊富である。生徒が将 来を考える上で現実的かつ具体的な情報を提供することができ,生徒の 調べ学習を支援し発展させることができる。

〈地域の人〉

 地域の人は,生徒にとって身近な存在である。一人一人の生徒を知っ ていて親身になって生徒の学習をサポートできる。なかにはその道の専 門家も含まれ,両側面からの支援が可能となる。

〈保護者〉

 学校で学んだことが,家庭に帰ってからも実生活のなかで生きて働き,

応用できるためにも保護者の支援は欠かせない。また,学校の経営責任 を示し,2者連携をより強固なものにするためにも,保護者の協力が必

要となる。

 なお,お互いの交流によって学習を深めていく機能と交流をスムーズ にさせるための工夫が必要である。また,教師・保護者・地域の人が,

一38一

自宅にいながらにして生徒の電子ポートフォリオを閲覧でき,生徒一人 一人に応じた書き込みができるという工夫も必要である。紙ポートフォ リオにおいては,生徒同士・教師・保護者・地域の人が書き込みを付箋 紙で行う実践が多く見られる。しかし,この方法ではグループポートフ

ォリオとして残した生徒の作品を学校に足を運び,念を入れてみるとい うことをしなければならない。Webによる共同ポートフォリオは,イン ターネットの環境が整えば,非同期でアクセスできる点で利便性がある。

(2)個人ポートフォリオ

 生徒が調べ学習の途中や電子ポートフォリオを作成する途中,また,

グループポートフォリオでの意見交換・情報交換・アセスメントから生 まれた深い振り返りを生徒自身で判断して,自分なりのポートフォリオ を作り上げていく場が,個人ポートフォリオである。つまり深いレベル の振り返りを蓄積していく場である。個人ポートフォリオとして残す際 に,「なぜ残すのか」を分かりやすくするために「深いレベルの振り返 り」にはアニメーションによるラベルを付す。詳しくは次章で説明する。

 深い振り返りを保存することの意味は,次の3つにある。

 ①深い振り返りを見直すことで,生徒自身が自分の学習の変容を捉    えることができる。

②生徒が学習でどのような深い学習をしたのか辿ることができる。

 ③数師をはじめとする他者が生徒一人一人の考えが分かり的確な    アセスメントができる。

 なお,この個人ポートフォリオは,生徒の保護者・教師,そして生徒 が許可した人のみアクセスできるようにし,プライバシーを保護するた

第3章 電子ポートフォリオシステムの開発 3.1  システム開発の視点と全体構造

 3.1.1 機能面からみたシステム開発の視点

 本研究では,ポートフォリオをただ単に過去を振り返るためだけのも のとせず,他の学校や専門家等の他者との関わりにおいて積極的に将来 の生き方を考えるような成長していくポートフォリオと捉える。そこで,

学習に関わりのある人にポートフォリオを公開し,交流による意見交 換・情報交換・アセスメントにより,生徒が学習を発展させ,より深い 振り返りに結びつく授業の構築をめざす。

 また,離島・へき二等学校においては,生徒も少人数で他者との関わ りが十分とれない現状があり,インターネット上の電子ポートフォリオ を授業に活用することでより多くの他者との交流から深い学習に結び つくよう支援する。

 以上のことから,より深い振り返りの生起を支援する電子ポートフォ リオシステムにはどのような機能が必要であるかを述べる。

 前述の,2.2.1の電子ポートフォリオの考え方や,2.2.2の

電子ポートフォリオの機能面におけるメリットを生かして,次の4つの 視点から電子ポートフォリオシステムの開発を進める。

(1)マルチメディアを一括して取り扱う機能

 生徒が学習ファイルからポートフォリオを作成するとき,テキストデ ータだけでなくそれに関連する画像や動画,音声等の情報が付随するこ

とがある。それらの情報を意味的にリンク付けをし,一括して保存する ことは,紙ポートフォリオにはできない電子ポートフォリオの利点であ

る。

 そこで,ポートフォリオをユ枚のカード型のデータベースとして,テ

一40一

キスト・画像・動画等の各データを一括して保存できるようにする。そ うすることで生徒自身も関連した情報を捉えやすくなり,さらに他者に とっても,電子ポートフォリオを提出した生徒がどんな情報を得たのか がわかり,意見交換・情報交換・アセスメントがしゃすくなる。

 また,学習が進み,以前作成した電子ポートフォリオに新たなデータ を付け加えたり,または,不要なデータを削除したりするなど編集をす る必要性に迫られたとき,生徒自身の手でスムーズに編集ができる機能

も必要である。

(2)意図の表示とコミュニケーションを促進する機能

 評価規準に即して作成された電子ポートフォリオは,作成者がどのよ うな意図で提出したのか,また,畢出された電子ポートフォリオに対す る意見はどのような意図があるのかが一教室における学習では自明な 場合でも,インターネット上においては受け手には分かりにくいし,ま た,正確に伝わりにくい。そこで,インターネット上でのコミュニケー ションを援助するために,簡単なコミュニケーションの言葉を予め用意 する。このことは,提出された電子ポートフォリオに対してどのような 意見を書き込めばいいか困る生徒にとってみれば,予め用意された言葉

を手がかりとして自分の意見を引き出すという役目もある。

 藤田(1998)は,数学の学習場面における教室でのコミュニケーショ ンの成立を指向して,6つの意見提出のボタンを提案した。

①思うんだけど②教えて ③同じです

④お答えします⑤そうしよう⑥まとめます

 それは,コミュニケーションに参加しにくい生徒に配慮した言葉にな

連接関係で全体的に捉え,特定の意見に至る流れをよく把握することに 貢献できる」と指摘している通り,数学の学習場面におけるコミュニケ ーションにおいては藤田のボタンは効果的である。しかし,教科にはそ の教科の目標があり,収束的な側面が強いが, 「総合的な学習の時間」

においては,子どもの自由な学びが重要視される。そうなると,試行錯 誤が子どもの学びには不可欠である。

 そこで, 「総合的な学習の時間」は,子どもの「知」が学習のプロセ スのなかで,・そこに関わる人との関係において再構成されるような時間 でありたい。つまり,振り返りの機会を増やすコミュニケーション活動 を意識的に学習の中に工夫し設けることで深い振り返りによる効果が

期待される。

 以上のことから,コミュニケーションボタンは,生徒に他者との相互 作用によって自分の学習を振り返らせるきっかけを作るような機能を

持たせ・図3・1−1の團のような6つのコミユニケーシ・ンの言

葉を考えた。

〈ポートフォリオを提出〉

@   電子ポート

@    フオリオシ援G    ステム