「泡と〜粟と」で○が少ないのは,これがあまり使われない語,特に「粟」と いう語を含んでいるからであろう。「橋と〜箸と」はどこでも,いちばん区溺 40
するものが多い。しかし,これはいわば知識として習得したからではなかろう か。他の組でも,知識の反映と見られる例が調査中に多く聞けたのである。知 識があれば,それをアクセントに反映させることができる人が半数以上あるの は,薄れているとは言っても,アクセント観念がやはりあることを示している
と思う。
さて,「紙と〜髪と」の○は,「泡とN粟と」を除いた他の3品目○と比較す ると,まず少ないと言える(釧路の「鼻と〜花と」は例外)。すなわち,東京 方奮における紙・髪の「区溺なし」を多少反映しているのかとも考えられる。
年齢別に見たとき,「橋と〜箸と」のような知識を反映するものを除くと,
若い人ほど○が少なく,×が多くなっている傾向がうかがわれる。北海道方言 のアクセントが無アクセントに向かいつつあることを,示すのであろう。
なお,参考のために1モーラ名詞について区別があるかないかの観点からま とめたものを次にかかげよう。
取り上げた調査諮は「柄と(1類)〜絵と(罫1類)」,「iヨと(1{類)〜火と
(頂類)」である。
・・… 鼕jG1娼5日∵(と1、 腿もFH k
札幌
帯 広 釧 路 年齢○
年齢1 年齢2 男 女
6396 玉0 27
46 O 54 77 8 i5 67 17 17 73 5 22 60 6 34 65 4 31 61 9 30
46 }9 35 33 13 54
44 10 tl 6
so e so 47 H 42 39 16 45 38 15 47 46 12 42
〜火と」のほうが,
○が少ないことが 共通している。こ れはどういうわけ であろうか。釧路 で最もよく区乱し ており,帯広が最 も区溺があいまいになっている。札幌はこの中間にある。この傾向は,前に述 べたところでも大体あらわれていたことである。また○の率にも,1モーラ名 詞と2モーラ名詞とで,そう大きな差はないようである。すなわち,2モ・一一ラ 以下の名詞が不安定である,という,調査1で得た結論は,大体ここでもあて はまると思う。
年齢的に見ると,若いほうに区:別しない傾向がわずかだが見えるようで,こ 4i
れも2モーラ名詞について述べたこととだいたい一致している。
§4 まとめ
以上,調査flによって,都市部における第3世の言語の状態が明らかになっ た。北海道方言も決して単一なものではなくて,地域差が椙当認められる,と いうことも明らかとなった。この点については,なお全道的に調査する必要を 感じ,のちに調査Vを計画した。
なお,同世代であっても,年齢の差によって,言謡の状態,あるいは共通語 化の程度が違うのではないかと考えられる。この点に焦点を置いて調査したの が,つぎに述べる調査濃である。
また,集団移住地,すなわち,今なお集団移住者の子孫が注民の大多数を占 める地域社会の第3世は,混住地の第3世とどのように違うか,どんな点に故 地の雷語を残しているか,などについても,ある程度の数について調査する必 要を感じた。そして計ilしたのが,調査Wである。
42
4.世代の違いと年齢の違い
一調査ll{(富良野調査)
§1 目的
この調…擬は,年齢層と世代のどちらが共通語化の要因としてきいているかを 知ることを主目的とした。すなわち,調査1によって,第1世から第2世,さ
らに第2世から第3世へ移るに従って共通語化が進むことが明らかとなったの で,つぎに嗣じ世代にあっても,年齢が違えば共通誘化の程度が違うかどう か,違うとすれば,年齢の差と世代の差のどちらが共通語化の要困としていっ そうっよく働くかを知ろうとしたのである。
言うまでもないが,第2世および第3世の言語の実態を把握することも欝的 とした。特に第3世のそれは,調査夏と比較すれば,調査地による差を見る資 料となる。
§2実施
以上の}舞的を達成するためには,調査地として,次のような条件にかなった ところを選ぶのが適当である。すなわち,
①北海道の内陸部の農業地帯にあること。これは調奮1の結果と関う璽させる うえでも:重要である。
② ある程度植民の歴史が古いこと。
③ 人口動態のあまり激しくないこと。以上②,③は,被調査者,特に第3世 の被調査者をたやすく得るためである。
④差を数量的に見るために,被調査者を多く得られるところ。すなわち,少 なくとも総人口2万程度の町であること。
⑤ 多くの町民に協力してもらえそうなところ。まず町当局の強力な援助が期 待できるところでなければならなv・。
ソラ チ 以上のような条件を備えたところとしてあがった候補地のうちから,空知郡
フラノチヨにカミカワ
窟良野町(YII支庁)を調査地として選んだ。警良野町は,人口 28, 747人(昭 1 R33年)で,明治30年に初めて植民のあったところである。位置は,経緯度で 43
いえば,北海道のほぼ中央になる。
調査は次のような段取りで行なった。昭和34年8月4H。調査費用の点を考 慮し,町励人口表によって,被調査者となる15歳以上の人口が約1:万人になるよ
うに,町内のある区域を指定した。また調査票などの関係書類を配布する準備 をした。8月5,6fi。その1万人に,国立圏語研究所第1研究部長名および 町長名の依紅熱を添えて,r社会調査票」を醜つた。各町内にいる町の嘱託員 に一括して概数を配布し,嘱託員から,該妾する15歳以上の男女に配る,とい
う方法をとった。8月7〜10臼。嘱託員が各戸から調査票を集め,調i査本部に 鰯けた。8月8〜13費1。集まった調査票を整理集計した。作業には北海道立富 良野高等学校の生徒の協力を受けた。8月13 U。整理した調査票によって,面 接至適の被調査者を200人選び出し,この被調査者に,国立国語研究所第1研 究藩1長名の,訪問予定Elを記入した依頼状を郵送した。8月14〜21臨研究所 側の調査員は,この闘に「言語調査票」によって200人について面接調査を行 なった。同時に「社会調査票」によって得られた3世代そろった家族について 北海道側の調査員が面接調査を行なった。
醜布した「社会調査票」は,本人についてたずねる部分と,家族についてた ずねる部分とに分かれている。本人については,民名・性別・生年。現住所・
出生地・居住経歴・学歴について記入を求めた。家族については,父親・母 親・父方の無謬・父方の組母・母方の祖父・母方の祖母について,次のような 形で記入を求めた。なお,この「社会調査票」のねらいは,主として,本人が 北海道何世であるかを知ることにある。以下に示すのは父親の場含であるが,
母親以下についても問じ形で記入を求めた。
酩唖同齢
● ﹁−⁝フμ・烹3・イ︒
伯
父 親父貯蝋:i虚:1醜…年6、 k.出生地
都道府県∵灘富良駒陣纏。畿
・。現住所は窟良野町以外 1 ハ.明治・大正・昭和 年に酒虫} 〃
歳まで 歳まで v
ff
地⁝町村〃11−−番⁝ ⁝肺区〃・
町村 騨石
遺県ノ
アユアノ⁝狸藩移
一
計⁝x⁝⁝繍一.で
で
〃
「社会調査票」の回収情況を簡単に表示すれば次のようである。この種の調 査の回収率としてはいいほうである。
4 r
市街地 郊 外
配布数 闘収数 同収率 6, 108入 4,298人 フ0.4%
5,317 4,165 78.3
5/, i・ir−i umT, 」,一2M, un−abghrmrmn, i
世・第3世とする),年齢(10代・30代を中・む・とする),性,
郊外か)などである。200人の内訳は次のようである6 0世代・年齢
IO代第2世 50人 30代第2世 50人 【第2世 100人
10f kng 3世 50 3G首覧こ第3−1嚢: 50 第3−L111: i oO
回収された調査票によって,次 の条件を舶味して,面接調査の被 調査老200入を選んだ。すなわち,
第出世か(できるだけ純粋の鎗2 居住地(市街地か
玉○代 IGO 30代 1CO i計 200
0娃 男 100 0艦住地 市街地 114
女IGO 郊外86
このほか,選択に当たっては考慮しなかったが学歴・職業などについては次 のようになっている。
○学歴
小学校卒(小と略す) 2!
高小・新中卒(中) 82 旧中・薪高卒(高) 84 旧高・新大卒(大) 12 不明 1
0居住経歴
富良野町以外で2年以上住んデここと
カミ)な:し、 169
北海道以外に2年以上住んだことが ない 29 北海道以外に2年〜9年間住んだ 2
§3結果
肇. 蛙会調査の結果
○職業
事務的俸給生濃墨・自由業・公務員 商業酌事業主
商業的労務春(商庸員など)
工員・運転手・鉄道員 その他の労務者・日雇 襲業
学生 主婦 なし
503746654 3ま圭2 522
回収した社会調査票を集計したものは,付表2にまとめてあげる。これらの 表は,薩:接ことばには関係しないことであるが,一一meにこのような農村を乱暴 に持つ都市(および住民)がどのような構造を持っているかを知ることは,言 語の変化の解釈にも役立つであろう。なお,集計対象は,回収数から,対象外 45
(14歳以下),年齢や性別の不明な者などを除いた,8,337である。
調査地区は富良野町のうち,次の区域である。
a. 1区〜6区,鉄道区,製綿弓区。
b.学田,北・上・中・下・爾御料,上・中・下5区,藪・南・北下由,爾・北大沼,
東・西鳥山,清水山,富沢,沼内。
aは市街地。以下の集計では,必要に応じてはr町」と略記する。bは農林 的地域。置iじく「村」と略記する。
集計表から読み取れることで,ことばにやや関係のあることについて説明し
よう。
まず,出生地別に分けると,下の表のように,年齢の高くなるにつれて,窟 良野町で生まれた人が少なくなり,北海道以外で生まれた人が多くなる。窟良 野町以外の北海道で生まれた人はその中間である。この程度の規模と古さとを 持つ地点での住民構成は大体このようなものであろう。
王200−
leoo 800 600 4ee 200
φ一富良賢町で生まれた人 A、 ひ一…噌北海道(富良野町以外)で / \、 生まれた人
/ \ 一一綱重以外・生・れた人
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へ◎鴨一一唖 1−甲軸辱 15一一19 20一一29 30L3g 40一一4g 50:一sg 60一一6g 70:一一79 80 L89 90L
出身県別に見て,多いのは,宮城県167,青森県163,富山県157,秋田県137,
福島県133,山形県114で,少ないのは,高知県・長崎県・宮崎県各2,鹿児島 県・島根県各3,千葉県・京都府各4である。ひとりもいない府県はない。な お,中部473のうち,北陸3県で256を占めている。
父親の出身県溺に見た場合は,多いのは,富山県491,富城県280,青森県 256,福島県230,少ないのは,長崎県・宮崎県各2,神奈川県・大阪府各3で ある。母親の方は,多いのは,富山県361,宮城県260,福島県222,青森県209,
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