年次報告
2007 67
南アジア
(
2008
〜2012
年)を現在作成中である。同戦略は、成果 重視の枠組みに基づき、第11
次5
カ年計画に規定される開 発優先分野およびセクター別戦略に沿った内容となる。イン ドに対するADB
の年間平均貸付額は、2000
〜2005
年の 約13
億ドルから、2006
〜2007
年には24
億ドルに増加 した(マルチトランシェ融資ファシリティの総額を計上した 場合)。実際の承認額(サブプロジェクトおよび通常貸付)は、2006
年が15
億ドル、2007
年が14
億ドルだった(図7
)。インドにおける
ADB
のノンソブリン業務の総額は3
億7,930
万ドルとなった。これには、風力発電施設の建設と運 営を目的とする7,930
万ドル相当のインド・ルピー建て民 間セクター貸付が含まれる。このプロジェクトは、風力発電 セクターに対するADB
初の貸付である。第
11
次5
カ年計画では、物理インフラおよび社会インフ ラの支えがなければ成長を持続させることはできず、よりイ ンクルーシブなものにすることもできないことが認識されて いる。従って、運輸、エネルギーおよび都市セクターのイン フラ開発に対する支援が、引き続き、2008
〜2010
年のADB
支援プログラムの重点となる。業務の効果
ADB
の都市セクター事業により、カルナタカ州、ラージャスターン州、マディヤプラデシュ州を含むいくつか の州における上下水道、排水および固形廃棄物管理に対する アクセスが改善された。タミルナードゥ州とケララ州に対す
る津波被害復旧支援は、必要不可欠な都市インフラの再建と 生計安全保障の改善に貢献した。
ADB
は国道整備プログラムおよび政府の地方道路プログラ ムを支援した。これらは、アッサム、チャティスガル、マディ ヤプラデシュ、オリッサおよび西ベンガルの5
州においてア クセスの改善と雇用創出を通じて農村開発を推進すると期待 される。エネルギー分野における
ADB
の支援は、支援対象州にお ける送配電網の改良および電力セクター改革の支援に集中し ている。2001
年および2007
年に承認されたマディヤプラ デシュ州に対する電力セクター貸付は、独立州電力規制委員 会の立ち上げ、州電力庁の分割および電力セクターの全体的 なガバナンスの改善に貢献した。国レベルでは、ADB
は国営 送電公社(Power Grid Corporation of India Ltd.
)による 全国送電網の強化を支援している。モルジブ
パートナーシップの優先分野
10
月、ADB
はモルジブ向け の新たな国別パートナーシップ戦略を承認した。この戦略で は、組織および人材面での能力不足が国家目標達成の制約要 因になっていると認識された。従って、ADB
の支援は段階的 なアプローチを取ることになる。第
1
段階では、一連の総合的な能力開発イニシアティブがマイクロファイナンス受益者の所得は3倍以上に増加した
68
アジア開発銀行南アジア
支援される。このため、内部監査能力、税務管理、複数年度 会計の枠組みの開発、債務管理といった分野における経済・
財務運営の向上ならびにプロジェクト管理能力の強化を目的 とする技術協力(貸付)が供与される。運輸、電力および民間 中小企業の成長を促す環境の整備を含むその他の分野におい て、官民パートナーシップの構築を目的とする能力開発を支 援していく。
体勢が整ったところで、
ADB
の支援は第2
段階に移行する。内容としては、運輸、電力および中小企業開発の各分野にお ける投資およびセクター開発に対する戦略的な支援が含まれ る。各セクターにおいて、
ADB
は投資支援に加え、官民パー トナーシップの育成措置と中核セクター機関の能力開発措置 を組み合わせる予定である。モルジブ初の民間セクター事業 が第1
四半期に承認された。リース会社向け融資ファシリティ に対する450
万ドルの民間セクター貸付である。業務の効果
20
年近くにわたり、ADB
は経済発展と貧困削 減に大きく貢献してきた。業務評価局は、同国の開発成果に対 するADB
の貢献は特に有益であったと述べている。セクター 別では、評価期間におけるADB
の貸付総額の約半分を占めた 運輸・エネルギーの両セクターで成果が達成された。しかし、実施能力の不足により、開発成果に時宜を得た方 法で貢献する
ADB
の能力が次第に阻害されるようになった。津波被害とその後の救援活動は果敢に行われたものの、行政 や未成熟な国内建設業界に重い負担をかけることになった。
経済は回復しつつあるが、未完成の開発事業や復興イニシア ティブが多数累積しており、公的債務も急増していることか ら、新規公共投資に対する
ADB
の支援は段階を踏んで慎重 に行う必要がある。ネパール
パートナーシップの優先分野 国別業務計画において国別戦 略・プログラムの実施状況がレビューされ、政府の開発優先 分野、個別セクターのパフォーマンスおよびプロジェクトの 準備状況に基づいて、
2008
〜2010
年のADB
の支援プロ グラムが調整された。国別戦略・プログラムと国別業務計画 は引き続き、ネパールの暫定3
カ年計画(2008
〜2010
会 計年度)の優先項目に沿った内容となっている。暫定計画は2007
年12
月に承認され、2007
会計年度に終了した第10
次計画を引き継ぐものである。
ADB
は国別戦略・プログラムの包括的な中間レビューを開 始した。これは2008
年に完了する予定である。ADB
はまた、政府、世界銀行、日本の国際協力銀行および英国の国際開発 省と協力して、
8
月に国別ポートフォリオ・レビュー・ミッショ ンを派遣した。同ミッションは、プロジェクト実施の阻害要因を取り除き、近年達成されたポートフォリオ・パフォーマ ンスの改善を維持するために導入された措置の有効性を評価 した。
業務の効果
1998
年2
月に承認され、継続されていたコミュ ニティ地下水灌漑セクター・プロジェクトが、2007
年7
月 に完了した。この事業では、1
万767
本の集団浅層管井が建 設された。約5
万4,000
ヘクタールの農地に通年灌漑が提 供され、約7
万戸の農家に利益がもたらされた。ほとんどの 受益農家は現在小麦を生産しており、44
%はさらに現金作物 を栽培している。農家の45
%はプロジェクト実施以前と比 べて2
倍の量の野菜を栽培している。実施中の分散型地方インフラ・生計プロジェクト(
2004
年
9
月に承認)では、これまでに計50km
の地区道路および34
本の山道橋が建設された。労働集約的で環境に優しい参 加型アプローチが採用され、地元で約8
万2,000
人の非熟 練労働者が直接的に雇用された。生計および所得創出活動の 推進を目的として、労働者の間で約68
の貯蓄・信用グルー プが形成され、女性の参加率は40%
を超えた。ADB
が1998
年に承認した2,000
万ドルの地方マイクロ ファイナンス・プロジェクトが2007
年6
月に完了した。実 施機関として1998
年に設立された地方マイクロファイナン ス開発センターは、58
のマイクロファイナンス機関を通じ、ネパール
75
郡の3
分の1
に散在する50
万戸以上の家庭に、総額
194
億ネパール・ルピー(3
億220
万ドル)のマイク ロファイナンス・サービスを提供した。プロジェクトの完了 までに、受益者1
人当たりの平均年収は3
倍以上に増加し、特に女性の貧困削減に貢献した。
スリランカ
パートナーシップの優先分野
ADB
はコロンボ港の整備を 進めた。これはスリランカで過去最大の官民共同事業であり、国全体の経済成長に大きな影響をもたらすと思われる。教育 と中小企業の地域開発も重点分野であり、両分野を対象とす る
2
件の貸付が処理され、承認された。同国初のポートフォ リオ・レビュー・ミッションが派遣され、政府は準備状況の 基準を積極的に導入した。ポートフォリオ管理は、国内紛争 の再開を含む困難な状況を踏まえれば、まずまずの成果を上 げた。優先分野には、運輸、上水道、電力および教育の各分野と 紛争後の復興および経済運営(財政運営および公営銀行監理)
が含まれる。新しい国別パートナーシップ戦略の策定も必要 であるが、これは
2008
年に延期された。リース業界の体質強化および中小企業への金融サービスの 拡大を目的とする
1,000
万ドルの民間セクター貸付が承認年次報告
2007 69
南アジア
された。南アジア局と民間部門業務局が共同で、リース会社 を対象とするノンソブリン・プロジェクトを実施した。
業務の効果 政府は
ADB
の財政管理改革プロジェクトの支 援を受けて税務行政と徴税業務を改善し、税金の抜け穴を塞いだ。
ADB
の支援はまた、紛争影響地域における信頼構築に貢献 した。スリランカ東部の実施中案件(バッティカロア上水道等)が再開しつつあり、なおざりにされていた地域で至急必要な 基本的社会インフラが整備されている。
首都カトマンズから
30km
離れたバクタプール郡の、風光明媚な村で、
50
人の女性(全員がラマダンダ女性自 助センターの会員)が誓約を朗唱する。自分たちより低い カーストの構成員を差別しないこと、お金は賢く使うこ と、貯蓄すること、そしてタバコやアルコールを控える、といった内容である。
「 皆 さ ん、 こ ん に ち は 」と
37
歳 のMana Kumari Shrestha
さんがいう。「私は4,000
ネパール・ルピー(63
ドル)を借りる必要があります。子供たちの授業料を払う のにお金がいるんです」コーディネーターから、以前
1
万8,000
ネパール・ルピーを借りたのに、なぜまたお金が いるのかと尋ねられた彼女は、こう説明する。集まったグ ループから「賛成」の合唱があがり、融資が承認される。これは、近年地方のあちこちで生まれた女性主導の地 方マイクロファイナンスで見られる典型的な光景である。
専門家は、ネパールの概して男性優位の農村社会におい て、女性の権利を拡大しジェンダー障壁を取り払うに当 たって、マイクロファイナンスが極めて重要な役割を果 たしているという。
1999
年に設立された民間セクター開発銀行である地 方マイクロファイナンス開発センター社(RMDC
)は、60
を数える同社のパートナー組織を通じ、ネパールの
75
郡 のうち47
郡でマイクロファイナンス・プログラムを実 施しているという。RMDC
のMeghraj Gajurel
部長は「こうしたプログラ ムは全国を通じ、都市部と農村部の両方で貧困削減に大き く貢献しています」という。「また、マイクロファイナンス・プログラムのローン回収率は
99.1
%と非常に高水準です」と彼はつけ加える。対照的に、多くの商業銀行ではこうし たプログラムよりもデフォルト率が高いのが普通である。