に対する直接融資の比率を引き上げる。従って、
PSOD
の業 務には金融コミュニティとの緊密な協力関係が必要である。この関係は
ADB
が提供する様々な保証および協調融資商品 により強化されており、こうした商品に対する需要はこの2
年間に大きく増加している。
PSOD
は、25
件の案件に対してADB
の金融セクター・パー トナーと共に協調融資を行い、その触媒効果によって、開発 途上加盟国のために4
億2,500
万ドルの直接的な追加資金 を動員した。この資金は、総事業費の合計が41
億ドルにの ぼるプロジェクトに利用された。NHFMC の不良債権
ポートフォリオの売却により、
不良債権市場が活性化された
知識の創造と共有
ADB はナレッジ・マネジメントを、組織がその目的
を達成するために知識を創造し、捕捉し、蓄積し、取
り出し、強化し、普及させ、適用する方法として定義
している。 ADB は様々な方法で知識を管理している。
85
知識の創造と共有 全体的な戦略はナレッジ・マネジメント・フレームワーク
に規定されており、その主な活動プログラムは、知識の共有 に資する組織文化の改善、知識商品・知識サービスの管理シ ステムの改善、業務プロセスと情報技術(
IT
)の改善、実務コ ミュニティの機能強化、そして対外関係とネットワーク作り を通じた知識の創造、共有、学習および普及の拡大の5
項目 である。業務部局は、
ADB
が支援するプロジェクトにベスト・プラ クティスや最新または最適な技術を取り込むこと等により、フレームワークの実施に貢献している。業務部局はまた、新 しい、有用かつ利用可能な知識を創造し、その活用を促進す る
ADB
の技術協力プログラムの実施に大きな役割を果たす。業務部局の活動は、知識関連
4
部局の業務により支援され、補完される。経済調査局、地域経済統合室と地域協力・持続 的開発局の
3
部局は本部にある。東京にあるアジア開発銀行 研究所は、日々の業務から離れて、長期的な視点から知識を 創造し普及させることができる。業務評価局(OED
)も、公 式には4
つの「知識部局」の1
つに数えられていないが、開 発効果に関して多くの知識、見識と「教訓」を生み出す。これ らの知識4
部局およびOED
が2007
年中に作成した主な「知 識商品」の一覧を付録14
に示す。ADB の比較優位
ADB
は知識に関する3
つの比較優位分野に引き続き注力 することによって、価値を創造し、開発途上加盟国を支援す ることができる。まず、ADB
はアジア・太平洋地域の全政 府に対する深く広範なアクセスを得ているため、各国の特殊 事情に関する詳しい見識と、地域全体を見渡す視点を有して いる。第2
に、ADB
は明らかに、経済、財政、環境、工学、エネルギー効率、プロジェクト管理や社会的影響といった重 要かつ多様な学問分野における専門知識を組み合わせ、開発 問題に対するセクター横断的かつ学際的なアプローチを提供 することができる。第
3
に、ADB
は知識を生産するだけで はなく、その知識を大規模な長期開発投融資により補完する ことができ、事実そうしている。ADB
はこのように、研究機関および国内シンクタンクの特 徴の一部を有している。しかし、ADB
の価値は正確な分析を 超えて、政府に対するアクセス、地域内および地域全体のト レンドを特定する能力、学際的なアプローチ、そして良好な 見識と知識を大規模化通訳:
魅力的な融資を通じて実施する 能力を通じてもたらされる。ADB
が2007
年中に行った主なナレッジ・マネジメント活 動の概要を以下に記す。活動の中には、外部の知識利用者に 向けて行われたものもあれば、内部に向けられたものもある。外部の知識利用者のニーズへの対応
成長、開発、貧困および平等に関する 知識資源の増加
ADB
は知識を創造し、様々な外部の知識利用者に供給して いる。この対象には、開発途上加盟国はもちろんのこと、開 発に関心を持ち良質のデータや見識を求めている他のステー クホルダー、例えばアジア・太平洋地域に関与している他の 開発パートナー、民間セクター、研究者や域外の開発途上国 が含まれる。様々な重要テーマについて、ADB
がどのように 知識を提供したのか、その概要を下記に記す。ADB
の(主要指標調査刊行物である)『キー・インディケー ター』の特別章において、域内で不平等が拡大しているという、開発の質に関する決定的な論点についての重要な新しい知見 が発表された。重要かつ新しい洞察が得られた。まず、不平 等の拡大は、一定の経済成長の貧困削減に対するインパクト が以前よりも小さくなることを意味する。第
2
に、現在アジ アで採択されている政策は、富裕層の間での成長の加速を推 進する方向に働いているように見える。この理由を理解し、政策によって比較的貧しいグループのためにより多くの雇用 を生み出すにはどうすればいいかを理解することは、アジア の開発途上国においてよりインクルーシブ(包括的)な成長を 推進するために不可欠である。
ADB
が生み出したこうした知見は、平等の問題について新 たな関心を呼び、その後の国際的議論の形成に貢献した。例 えば、上記の特別章は、ファイナンシャル・タイムズ紙の2
つの論説記事やエコノミスト誌の全面記事など、注目度の高 い記事で引用された。特別章を引用した
250
件の記事のう ち12
件は中国語で書かれ、その後66
の中国語ウェブサイ トに掲載された。同業機関による引用は、研究の信頼性の証となる。世界銀 行は同行の『東アジアのルネッサンス:経済成長に向けたア イデア』において『
2006
年アジア開発展望(ADO
):アジア の貿易ルート』を引用した。国際通貨基金は『2007
年アジア 太平洋経済展望』および様々な国連刊行物の中で『2007
年ADO
』と『2007
年主要指標』を引用した。エコノミスト誌は 初めて、『2007
年ADO
』の特集小論文「危機の10
年後:投 資と成長に関する事実」に基づいて、同ADO
に関する記事 を掲載した。『2007
年ADO
』に関する報道の注目すべき特 徴は、マスコミの多くの記事が、その政策および分析に関す る小論文にまつわるものだったということである。『2007
年ADO
』に関する約400
件の報道記事が把握され、60
件以上 が目標としたメディアに取り上げられた。域内の貧困と平等は中心テーマとして、『ミレニアム開発目 標:アジア・太平洋地域における進捗状況・
2007
年』にま86
アジア開発銀行知識の創造と共有
とめられている。これは、一連の地域別進捗報告書の最新版 である。同報告書では格差に焦点を当て、国の進歩による恩 恵を十分に得ていないグループを特定すると共に、インクルー シブな成長を提唱している。同報告書は、国連アジア太平洋 経済社会委員会(
UNESCAP
)および国連開発計画(UNDP
) と共同で作成された。ADB
はこの分野における知見の創造と普及について、引き 続き主導的役割を果たし、いくつかの新たな研究結果を発表 した。『地域開発の力学:東アジアにおけるフィリピン』もそ のひとつである。この書籍では、本格的な地方分権化プログ ラムの開始から約15
年が経過したフィリピンにおける、地 域的力学および政策のあらゆる側面が詳しく検討された。分 析は、東アジアと東南アジア、特に中国とインドネシアにお ける類似の経験にも及んだ。この書籍の教訓は、フィリピン(人 口がもうすぐ1
億人を突破しようという大きな開発途上国)に関心を持つ読者だけでなく、地方分権化プログラムを開始 しようとしている他の多くの開発途上国にとっても有意義な ものである。
経済と財政に関する知識
ADB
は引き続き、経済と財政に関する重要な新研究を行い、その結果を発表した。例えば、アジア・太平洋地域のための 国際比較プログラム(
ICP
)により、アジア各国の主なマクロ 経済指標と開発指標の意味のある比較が可能となった。この 研究はその後、インターナショナル ・ ヘラルド ・ トリビューン、フォーブス、ビジネスウィーク、
CNN-IBN
速報、AP
通信社、ロイター、トムソン・ファイナンシャルおよび新華社のウェ ブサイトを含め、
70
を超える記事で引用された。多くのア ジア諸国の新聞でも、ICP
のレポートが取り上げられた。『アジア経済モニター』は年
2
回発行される定期刊行物で、ASEAN+3
(東南アジア連合および中国、日本、韓国)の財 務大臣・中銀総裁代理が経済の展望や政策問題を話し合う会 議に提出される機密報告書に基づいている。ADB
は、この媒 体を通じてASEAN+3
の財務大臣と政策対話を行う唯一の 国際金融機関であり、省庁の最高レベルの実務者に情報を伝 え、政策決定に影響を与えることができる。資本フロー管理、およびアジア金融危機から
10
年を経た銀行セクターに関す る2
つのテーマ章を含む2007
年7
月号は、50
社を超える国際的新聞社および国際通信社に取り上げられた。
「アジア・ボンド・ウェブサイト」(
AsianBondsOnline:
http://asianbondsonline.adb.org
)は、債券に関する最新 情報を提供するウェブサイトである。同サイトの情報が地域 のニーズを満たしていることは明白であり、第3
四半期の平 均日次訪問者数は2,700
を超え、前年同期比で67
%増加し た。11
月はさらに訪問者が増えて、1
日当たりの訪問者数 が2,800
を優に超え、平均訪問時間は18
分を超えた。アジ ア開発銀行研究所の「E-
ニュースライン」は、アジアの開発関 連ニュースを毎日発信する無料サービスで、3,000
人を超え る講読者に配信されている。ADB
はまた、税制改革に関する各国の経験を共有し、移転 価格や付加価値税などの、開発途上国における国際税制およ び国内税制の主要問題を議論するため、第17
回租税会議を 開催した。越境経済活動のグローバル化が進んだ結果、域内 国同士および域外国との国際租税条約が急増している。この 会議では、二重課税の回避や移転価格に関連する問題点やベ スト・プラクティスについても議論された。「第
4
回マイクロファイナンス・トレーナー研修」の通信教 育コースには、600
人以上の参加者が登録した。このコース は、28
カ国から参加した133
名にマイクロファイナンス・トレーナーの資格を授与することにより、アジア・太平洋地 域のマイクロファイナンス機関の知識および能力の構築に貢 献した。この事業は、世界銀行の東京開発ラーニングセンター と提携して行われた。この研修により生み出された知識は広 く活用され、高く評価されている。例えば、研修教材は中国 語とベトナム語に翻訳されている。
「アジアのシンクタンク:ナレッジ・マネジメントと知識の 共有に向けて」と題したワークショップには、
20
カ国近くのADB
加盟国から、一流の研究所の所長や幹部など計32
名が 参加した。このワークショップでは、ナレッジ・マネジメン トと知識の共有に関する最新の動向が発表され、アジアの開 発に向けてより大きな政策インパクトを達成するための機会 が模索された。ナレッジ・マネジメントの専門家によるプレ ゼンテーションや、一連の参加型グループ・セッションにより、参加者はナレッジ・マネジメントと知識の共有についてのア プローチを向上するための優先順位を明確にした行動計画の 策定に向けて知識・技能を共有することができた。
上記以外の知識商品は、それほど知名度が高くないかもし れないが、開発途上加盟国が優れた政策を策定し、良好な投 資判断を行えるように支援するという点では、同様の影響力 を有している。例えば、
ADB
の開発途上加盟国の主要な経済・社会・財政指標を含む「統計データベース・システム(
SDBS
)」の一部がインターネットを通じて公開され、無料で利用でき るようになった。
SDBS
オンライン(http://sdbs.adb.org)
はその立ち上げ以降、すでに多数の利用者を獲得している。