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第 3 章

3.4 回路設計と基板設計について

3.4.2 基板設計

②ネット名:N00001 (N00001 R1-2、 D1-1)

回路設計CADが自動的に割り当てたネット名N00001を、電流制限抵抗(R1)の 2番端子と、LED(D1)の1番端子に接続する。

③ネット名:VCC (VCC TP1-1、 R1-1)

回路設計者は電源の+極を接続する側を VCCというネット名と定義した。これを テストピン(TP2)の1番端子と電流制限抵抗(R1)の1番端子に接続する。

① ~③で解説した読み方を回路図に重ねると図 9のようになる。

図 9:ネットリストデータの記述範囲と回路図

図 10:基板設計CADへの取り込み直後の状態例

この段階では、部品は基板上に配置されていない。図 10の基板外側上部に部品が 配置され、ネットリストデータから読み取った接続情報が白線で表示されている。図 11に、その様相を拡大したものを示す。

図 11:基板設計CAD上の部品外形とネットリストデータ例

この状態から基板設計者は、基板上の部品配置を検討する。

部品の配置は回路設計者からの外形図や指示書によって指定されるものがあるが、

すべての部品ではない。回路設計者が指定する部品の例は、筐体との位置関係を指定

する必要があるスイッチや、他の基板に電気信号を接続するためのコネクタの場所な ど限定的なものとなる。

基板設計者が部品配置を検討した状態を図 12に示す。

図 12:基板設計者が部品配置を検討した状態

基板上の部品配置が完了した状態(図 12)の段階で、基板設計者は回路設計者に 部品配置の確認の依頼を出す。確認は、部品配置が指定の場所になっているかを確認 し、次に続くパターン設計で部品の配置位置変更による手戻りを少なくすることを期 待しておこなわれる。

回路設計者に部品の配置が了承されてから、基板設計者は図 12に白線で表示され ているネットリストデータが銅箔になるよう、白線に幅をつけながら、引き回しを設 計する。これをパターン設計という。

パターン設計が完了した状態を図 13に示す。緑色の幅のある線が、基板設計者が 設計したパターンである。この例はおおむね図 7の回路図どおりのパターンとなって いる。

図 13:基板設計が完了した状態

パターン設計が完成したら基板設計は終盤である。最後に回路設計者・基板設計者 双方で基板設計データをもとに、基板設計の妥当性の確認をおこなう。これはS社、

K社では複数人が基板設計図等を見ながら意見を出し合う形がとられ、最終的に承認 権を持つ者がその図面を承認する検図がおこなわれる。これを基板検図と呼ぶ。

基板検図が合格となれば、基板設計データは製造用データに変換され、基板の製造 を開始する。

基板製造が完了したら、次に部品のはんだ付け工程(実装工程とも言う)が始まり、

最終的に部品がはんだ付けされた基板(図 6に例示)が完成する。

なお、本研究のインフォーマントは基板設計のことをアートワーク設計と呼ぶ場合 もあり、同一インフォーマントであってもこれらの呼び方が混在していた。本稿では 基板設計を優先して用いることにした。他方で本稿中のインフォーマントの発言は、

インフォーマントの発言をできるだけ忠実に記述することにしたためアートワーク 設計という言葉が残っている。アートワーク設計は基板設計と読み替えてほしい。