第5章 自尊感情を高める技法
第1節 問題の明確化
1−1 自尊感情回復のための流れ
S砂1 問題の明確化
悩み・苦痛
o
図5−1 悩みのイメージ
何か分からないもので悶々として、
果てしない、解決不可能な問題に思
えている。
頭の中でいくら考えても堂々巡り で、問題可決の糸口も見つからない。
※ 悩み、苦痛を事実に即して具体的に書き出し、明確にする。
表5−1 (例)悩みを具体的に書いてみる
1 夜中でも保護者から電話がかかる 9 自分が無能に思えて仕方ない
2 何かと反抗する生徒がいる 10 持病がある
3 家のローンが負担である 11 通勤に時問がかかり行く だけで疲れる
4 管理職が自分のことを理解してくれない 12 不登校生徒を担任している
5 同僚が嫌みを言う 13 子育てがうまくいかない
6 いっも研究主任をさせられる 14 人前で上手にしゃべれない
7 夫(妻)と口論が絶えない 15 忙しすぎて自分の時間がもてない
8 教科指導がうまくいかない 16 その他
3プゆ2 問題の分類
生徒指導 教科指導 学校体制 個人 家族 その他 図5−2 問題の分類化
今、自分を苦しめている悩みが何についての悩み、問題であるのかをはっき
りさせる。
S1ゆ3 それぞれに合った問題解決法・取組
コミュニケーションの取り方 サーション。トレーニンク
プレゼンテーション
仕方
専門機関・信用 る人に相談
その他
図5−3問題解決法 認知の仕方
問題解決の一つのスキルとして下記のようなものがある。
アサーション・トレーニング ワークショップ(研修) 病院 コーピング リラクゼーション ピア・サポート カウンセリング ストレスマネジメント 自律訓練法 論理療法 その他の解決スキル 病気、怪我によって行くべき病院が違い、治療の仕方も違う。同じ風邪でも 熱風邪か鼻風邪か喉風邪か、それぞれに薬が違うように、悩みの症状によって 問題可決法や努力の仕方が違ってくる。やみくもに精神論で頑張っても、効果 も成果も期待は薄いであろう。しかし最終的には認知の仕方にゆだねることに なるのではないか。
それぞれにあった解決法には、またそれぞれに違う個人の性格等があるので まず、「自分を知る」ことが大切になってくるだろう。しかし意外に客観的に
自分で自分を知ることは難しいものだ。
そういう時にS∫ψ・4の後に付記した心理テストは信頼性も高く役に立っ。
S 印4 取組の結果・成果
自信回復をする/自信をつける (自尊感情が高まる)
問題を克服する(教師として成長する)
← 新たな問題は生じる 問題克服を重ねてさらに成長 ストレスを楽しむ(快ストレス)、成長に換える教師(バーンアウトの予防)
図5−4 取組の結果・成果
バーンアウトを起こしそうなときには、個人の努力だけでは防げるものでは ない、家庭や組織のいわゆるソーシャルサポートは欠かせない。だが個人とし てできることは、上記のようなことで最終的には自信を回復すること、自信を つけること、また認知を変えることで自尊感情は高まり、教師としても成長す るはずである。問題が解決したからと言って、新たな問題が生じないと言うこ とではない。生きている限り何らかの問題はある。しかし一度、問題を克服し た経験をもつ者は、努力する意味と、いい意味の開き直りと、何とかなる、何
とかするという明るい展望をもてるはずである。
ストレスこそ教師を成長させる肥やしであると、ストレスを楽しむ教師もで てくるかもしれない。
1−2 客観的に自分を知る心理テスト
MMPlについて
130の外国語に翻訳され、90力国以上で使用されている550項目からなる国 際的質問紙法テスト
MMP I 人格検査
Minnesota Multiphasic Personality lnventory
米国ミネソタ大学・Hathaway(臨床心理学)Mckinley(精神医学) 両教授に よって1940年初めて発表された人格目録テスト。目本版MMPI新目本版研究会 筆者は授業で受けたが、550項目答えるのに80分ほどかかる。早い人で
も1時間はかかるようだ。質問内容は大人向けで、子どもには使えない。55 0項目答えること自体、尋常では受けられない気がするが。簡単な測定器具を 使って判定する。詳しいエゴグラム心理テストのようなものか。統合失調症を 調べたりする。不安検査のCMAS(シーマス)も使われている。
MBTlについて
MB T lは他の性格検査とは異なる。
MBTI(エムビーティーアイ:Myers−B益ggs Type Indicator)は、個人をタイ プに分類したり、性格を診断したりすることが目的ではない。回答した個人一 人ひとりが、自分の心を理解するための座標軸として用いることを最大の目的 にしている。検査結果はきっかけに用い、専門家(MBTI認定ユーザー)の支 援を受けながら、MBTIを受けた本人が、自分についての洞察を深め、自分の ベストフィットタイプ(しっくりくるタイプ)を見つけ出す過程(プロセス)その ものを重視している、世界で最も利用されている性格検査(Personality
Inventory)である。(参考文献一塾 )
ユング心理学のタイプ論をもとにした世界で45力国以上で活用されている 性格検査で筆者は個人的に受けたが、MMPIやエゴグラムのように最初、質問 紙法で検査を受ける。性格を16のタイプで考える。
MB T Iは、一人ひとりの性格を心の機能と態度の側面からみたものだ。そ れらは、「ものの見方(感覚・直観)」と 「判断のしかた(思考・感情)」及び
「興味関心の方向(外向・内向)」と「外界への接し方(判断的態度・知覚的態 度)」の4指標であらわされ、16タイプに類型化してとらえようとする。
MBTIは、16タイプそれぞれの強み、特徴、そしてその人の今後の課題 を整理し、個人の成長や人と人との違いを理解し、周囲の人との人間関係作 りにも役立てることができる。検査結果はあくまできっかけとして使用する。
受検者は、検査結果はあくまできっかけととらえ、自分がしっくりくるタイプ すなわち、「ベストフィットタイプ:BestFit Type」を自分でみつけるようにす
る。
最初分けられたグループで話し合いをしていると、少し違うぞと思ったら、
別のグループに移動し、自分にぴったりのタイプを見つけ出すというものであ った。融通が利いてなかなか面白いものである。
エゴグラムについて
交流分析の中で自己発見と人間理解、よりよい人間関係を求める「気づき」の
科学(参考文献h廿:〃www。c o ram−f隆/seikaku/)
上記のアドレスでインターネット上で50の質問の後、自己分析をしてくれ る。人間には3つの私というのがあり
P(Parent)親的な私 (親の自我状態)
A(Adult)大人的な私(大人の自我状態)
c(Child) 幼稚な私 (子供の自我状態)
P(Parent)親的な私 (親の自我状態)はさらに2っに分かれて
CP(Cdtical Parent)批判的な親 NP(NurturingParent)保護的な親 C(Child) 幼稚な私 (子供の自我状態)も2つに分かれて
FC(Free Child)自由な子供 AC(Adapted Child)順応した子供
CP NP A FC AC の5つの私が質問紙で表され、Mタイプ、Nタイプ などどこが高くて、低い、どこで無理をしているかがある程度分かり、指導に 役立てると使っている学校も多いようだ。
エニアグラムについて
お
麟麟 イプがある.自分らしさの発見をして行くことで、
図5−5エニァグラム 本当の自分と向き合うことができるとする。
何となく占いのような気もするが、筆者には思い当たることが多かった。
(参考文献麺蟄 2003)
(参考文献一 2003)
杉田峰康 「交流分析のすすめ」〜人間関係に悩むあなたへ〜 目本文化科学社
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表現すること」と定義している。
今では中学校の特活などでアサーショントレーニングを行っているところも あり一般化してきている。定着には至っていないように思えるが。
これは関係性を損なわないコミュニケーション方法と言えるだろう。自己表 現には表2のように3つのタイプがある。
非主張的・受動的(ノン・アサーティブ)の自己主張
自分の気持や考えを抑えて、遠回しな言い方や遠慮しがちな言い方で、子ど もに対して非主張的な傾向が強い親、教師は適切な指示や要求ができない。
叱ることも褒めることもできないという状態を作り出す。結果的に子どものい いなりになって振り回される。その無力感から抑うつ的になる場合もある。
攻撃的(アグレッシブ)な自己表現
自分の気持ちや考えのみをはっきり言うが、子どもの気持ちなどを無視した り、軽視したりで、関心を持って聴こうとしないような自己表現である。
必ずしも荒々しい言い方とは限らず言葉巧みにコントロールするようなやりか たも含まれる。こういったことは無意識に子どもの自己表現を抑えている。
ほめることよりも怒りがちで自分を頑固に押し通す。本人はストレスを自覚 していることは少ないが、喫煙量や飲酒量の増加、血圧の上昇といった問題に つながることも知られている。思うようにならないとイライラしやすいので、
安定した心理状態を保っことが困難で無力感にさいなまれることもある。
アサーティブな自己表現
非攻撃的自己主張とはよくいった言葉であると思うが、自分の気持ちや考え を適切に表現するが、子どもの気持ちや考えや要求にも関心を持ち、理解しよ
う、聴こうという姿勢を大切にした自己表現である。
アサーティブな親・教師は、子どもに対して、自分はこう思う、こうして欲 しい、こういうことはして欲しくない、こんな気持ちがしているということを 明確に表現することができる。いわゆるアイ(1)・メッセージである。
お互いに納得のできる結論に大切にするが、いつも自信を持って落ち着いて
野末武義(2003)「ストレス解消ハンドブック」金子書房