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第3章  教師の苦悩に関する調査研究

第1節 アンケート

1−1 アンケートの制作に当たって

 現場ではこの種のアンケートが時々、舞い込む。その度に、この忙しいとき にとそれどころじゃないんだという感情が働く。またやっていく内に、この質 問に、こんな答え方はしないだろうと、言葉に不快感感を持ったりする場合が あるので、r思う」r考える」、r思わない」r思えない」、r少し」rやや」r時々」

など表現を変えた。機械を使った分析には支障があると、手作業で分析し、考 察することにした。

 アンケート内容については後ろのappendixに載せたので参照していただき たい。ねらいとしては現場の教師の苦悩と工夫を見ることである。下記に箇条 書きとしてそれぞれの筆者のねらいを列挙する。

         0          1

年齢、教師歴で捉え方が違うか

家庭、子供の有無で何か影響を与えるか

教師の資質の一部をどれだけ持ち合わせているか

現場での仕事がいかにストレスフルで辞めようと思った教師が多いか どのようなことで苦しんでいるのか

職場での孤立感

生きがい、やりがいをどこに求めるか

心理テストの認知度、論理療法は使えるかどうか

子供、保護者、同僚、管理職、人間関係の構築はどうか バーンアウトの予防に何が必要か

以上の10項目をねらいとし、8月、9月に実施したものを以下に考察する。

1−2 アンケートの考察

 実施校は京都市中学校7校、内3校が同和校(48名)、1校が養護学校

(高等部6名) 、1校が育成学級(障害児学級6名)、 2校が一般学校(9 名)、和歌山県中学(5名)、兵庫教育大学大学院現職教員(中学)(6名)の

80名の先生方に協力願った。数としては不十分であり、一般化するには無理 があるが、一つの糸口にはなるだろう。

 以下、グラフを用いて考察を行う。類似項目を並べるので、質問順番とは変 わる場合もある。番号は質問の番号になっている。(appendix参照)

教師のバーンアウトの予防に関するアンケート 回答グラフ 1−2−1 アンケート回答者について

アンケート協力者年齢層 アンケート協力者性別

Y軸 07 06 05 04 03 02 01

男性 X軸

女性

アンケート協力者既婚者・未婚者

アンケート協力者お子様の有無

アンケート協力者 教師歴

Y軸 05 04 0a o2 01

0 一    ,       一一廿①F〜聲 世ゆN〜ON 世①N〜⑩N 基世Ooり

       軸       X世のr〜Or

世①〜O

計ゆ〜r揮喉世﹁

 アトランダムな依頼であるが、この 年齢構成は京都市の、あるいは目本の 典型的な年齢構成である。今年50代 を迎えた方々が一番多いのではないだ ろうか、10年後には、いくら少子化

といえども、教員不足になる。

  しかし、視点を変えると今がもっとも、ベテラン教師といわれる先生方 が多い時代でもある。50代で担任している教師も珍しくない。新採が次々に 辞めていって困っているという記事もあったが、辞めようと思ったことのない 20代も多かった。これは性格か、あるいは経験が浅いからか分からないが、

責任あるポジションにいないこと、生徒との年齢が近いことに加え、感覚的な もの(価値観)が類似してきたことによってそのストレス感が違うのかもしれ ない。今の若い新採は本当に狭い難関を乗り越えて採用された、いわゆる優秀 な人材である。「でもしか先生」なる言葉は今の時代にはない。だが、いわゆ るという言葉をつけたのは、何が優秀なのかという疑問からである。ここで教 師論を論じるつもりはないが、教師は様々な職種を持つ保護者、家庭環境の中 で育った子供たちを対象にしている。

 ここで役立つのは、教師自身の経験的な知識である。筆者は経験こそが真の 知識であり、その中より知恵が生まれると考えている。今は学問的に優秀でな いとなかなか採用試験は合格できない。そういった意味では筆者は幸運な時代 に採用された。もちろん若い者が頭でっかちで、みながぬくぬくと育ってきた というのは無粋であり、間違っている。時代が人を育てる要素も多いというこ

とである。

 若いときと悩みが変わってきたという40代の先生もあったが、数だけの問 題でなく、圧倒的に悩みを抱えている先生はベテラン先生に多い。定年退職が 近づいてくれば、別の意味で指折り数えてなんとなく目々を過ごせるのかもし れない。しかし教育に夢を持ち、何とかしようと思うが、思うようにならない

ところに苦悩が生じるのだろう。

1−2−2 現場での仕事がいかにストレスフルか

【2】      【21】

 この数値は筆者にとって意外であり、また何かを示唆しているように思えた。

秦の研究によると表にもあるようにストレスを感じている人は93%あり、退 職を少しでも考えたことのある人は96%を超えている。これは、教師歴や既 婚者、男女間でも若干の違いはあるかもしれないがそのことが救いの手になる

とは限らない。   表1     教師のストレスについて  (秦)

教師が辞めたいと  深刻な教師不適応(教師をやめたい)とストレス状況

、思い詰めるほどの 時には、よっぽど自 尊感情が下がってい

るに違いない。教師 と言うよりも人間と しての存在価値さえ 否定している状態で

あると、容易に推測         (小・中学校 教師)

できる。

 今回の調査で【3】68%というのは驚きであり、筆者にとっては肩すかし だった。筆者にとって100%の数値が上がってもおかしくないと経験的に思う からである。これは現任校の教師の半数以上が「辞めようと思ったことはない」

と答えているからである。決して楽な学校ではない、どちらかといえば行事は 多く、N田くのプロジェクトXでも紹介されたような、京都市でも厳しい荒れ を経験した学校でもあるのだ。それを知っている教師は少なくなったとはいえ、

外からの異動希望のない学校であるにも拘わらず、「辞めようと思ったことは ない」というのは、バーンアウト予防の何かソーシャルサポートの何かあるの かもしれない。

【31】      【48】

   ストレス めたい

とても

まっている

すこし

まっている

あまり

まっていない

まったく

まっていない

計(N)

強く感じている 65.2 28.3

6.5 0.0

100(46)

少し感じている 31.6 62.0

6.4 0.0

100(171)

あまり感じていない 12.2 56.7 29.4

1.1

100(180)

まったく感じていない

4.9

42.0 45.1

8.0

100(162)

20.5 51.2 24.8

2.8

100(572)

【51】

しかし、【48】「教師の仕事は忙しすぎ ると思いますか」の問いに「思う、少し 思う」を入れて92,2%が思い、【51】

「学校でストレスを感じる時があります か」でも同じく89.1%の教師がそう思 っている現状があり、事実でもある。

 教師の資質として事務能力というのも

【20】

田い

あるとおもうが、世の中が皿化してか ら、ますます書類類が増えたような気が する。授業に行って帰ってくると机の上

に書類が積んであるという感がある。

圃その書類をやる時間もなく、生徒指導が

   起こ.る。焦燥感と万年疲労を抱える。

   【20】r学校はこれからますます厳しい時代    になっていくと思いますか」96.9%短絡的 に否定的な捉え方ではないのかもしれないが、明るい見通しではない。【31】「目曜

目の夜が辛く思える時があるか(月曜目のことを思うと)」では68.8%は偶 然にも「辞めようと思ったことがある」にも近い。筆者は副担任時代、月曜目 になると誰かが年次休暇を取り、突然に道徳の授業が代行として回ってきたり、

学年主任になってからは、逆に代行を組むのに苦労し、年間60時間以上の代 行に行ったこともある。それ故に目曜目の夜になると「みんな、明目は元気で 通勤してくれるように」と祈りにも似た思いを持ったものである。

1−2−3

【3】

  ◎ か

どのようなことで教師は苦しんでいるのか       【23】

 、 里  一 、

06 05 D4 03 02

D1

摯e申u福雲︾農繋

凹否蜜皿㊦皿

価ゆq鵡鞭量

築別馨U一製駄

齪誕e腿嫌

繭築驕琶 軸       X

V価い刃餐剛柳

二V悔℃牽置

V惟中刃細謹

い築鮎㌍誌騒

ゆ飛緋聖招釧

中築細鰹緊卦

【24】 【25】

 【3】「あなたは教師を辞めようと思った悩みは何でしたか」は予想通り 生徒指導がうまくいかない の47.7%で一番多かったが、 学級経営がう まくいかない が 個人的な問題 教職が好きになれない と同じようであ

ったのが意外であった。アンケートに回答頂いた先生方が担任をしていた頃か ら時間が経った方が多かったのかもしれない。学校で1番、何が1番かという のは難しいことであるが、ストレスフルな役職は担任ではないだろうか。当然、

学級経営の中に生徒指導は入ってくるだけでなく、保護者との人間関係、

他の学級担任(同僚)との人間関係もある。仕事も勤務時間が過ぎれば仕事が 終わるわけではない。たまにではあるが、夜中でも、目曜祭目でも呼び出しが ある。気の休まる時がないのが担任である。

 アンケートに協力して頂いた先生方は【23】【24】【25】r学級経営、生徒指導、

教科指導に自信がありますか」の問いに「ある、少しある」が65.6%、68.8

%、73.4%と高い数値になっている。このことが学校の安定につながってい るのであろう。

【44】       【45】

 一方、【44】r児童・生徒に指導が通じずに自信を無くすことがありますか」

は「ある、少しある」が76.6%と高い、自信はあるがいつもうまくいってい るわけではないということだろう。若干ではあるが「ない」と答えられた方が 数名いるのも驚いた。どう考えたらいいのだろう。

 【45】r自分は教師に向いていないと思うことがありますか」はrある、少 しある」が57。8%はいろいろな問題が考えられるだろうが、対生徒・保護者 との遣り取りでうまくいかない時、いわゆる「へこむ」という感情が多いのだ ろうなと思う。謙虚に向いていないと考える人こそ、使命感あってのことと思 えば、教師に向いている人かもしれない。

1−2−4 職場での孤立感

 バーンアウトのいつくかある要因の中で、大きな課題の一つに「孤独感」

というものが考えられる。人は悩んで苦しんでいるとき、どうしても誰も分か ってくれない、自分一人だけなんだと思いがちである。