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〆[ヨ

第2節  刺激「情報の入り口」

 感情に起因する入り口、情報のインプット部分で何が問題になっているかを まず考えなければならない。

 アンケートによるとマイナス感情として「あなたが教師を辞めたいと思った 悩みはどんなものでしたか」という複数回答可の設問に対し、1位が予想通り

「生徒指導がうまくいかない」を筆頭に「学級経営がうまくいかない」「自分 自身の個人的な問題」「教職が好きになれない」「同僚とうまくいかない」「保 護者とうまくいかない」「教科指導がうまくいかない」「管理職とうまくいか ないj「家庭の問題」「体調が悪い」「その他」「部活動がうまくいかない」「昇 進に希望がもてない」の順になっている。その他の中には第3章でも触れたよ うに「・教職に自信や責任がもてなくなったとき・自信がどんどんなくなって きて、生きていくのも嫌になる・違う職に就きたい・他にやるべきことがある のでは…  と思ったとき・学校の管理主義(上意下達)の強化、目の丸、君 が代等の強化・書類のための書類の作成強制等・若い時と今では違うものが あります・社会(教育)の流れに疑問を感じる」というものがあった。

 またプラス感情として「あなたは教師になった喜びを最も感じるときはどん なときですか」という設問に対し、1位が「生徒が心を開いてくれた」を筆頭 にr授業がうまくいった」r学校に自分の居場所を感じた」r保護者が理解を 示した」r部活動にやり甲斐を感じた」rその他」r生活が安定している」「地 域に貢献していると感じた」r管理職に褒められた」と続いている。(具体的 数値は第3章、及びappendixを参照)

 このマイナス感情とプラス感情を眺めてみると共通点が見えてくる。当然と 言えば当然なのだが、これら全てのマイナス感情をプラス感情、プラス刺激に

変えていく手立てを書いていくわけにはいかないが、学校現場で特に必要とさ れ、悩んでいる教師の多い「生徒指導の方法」、「学級経営の方法」、「教科指 導の方法」と同僚、管理職、保護者とうまくいかない、あるいは家庭の問題も

コミュニケーションの問題が大きいであろうから、「上手なコミュニケーショ ン」の4つについて論述することとする。重なる部分も多いかと思うが、それ ぞれが独立してあるかのように思えるが、大きな目で見るならば根っこにある 部分は共通しているかも知れない。

2−1 生徒指導の方法

 生徒指導、生徒を指導するとは、一体何を生徒に指導するのだろうか。その 歴史までさかのぼって、論じるつもりはない。またそういう研究でもないので そこまでは論じないが、文部科学省が出している定義には触れておきたい。

 それによると「生徒指導とは、一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、

同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己 実現ができるような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々 の生徒の自己指導能力の育成を目指すものである。」と定義されている。

 これは我々が現場で行っている生徒指導のニュアンスと少し違うような気が するが、できていることを褒めたり、できてないことや人権を踏み外したよう な言動に対し、叱ったり、諭したりしているのは要するに上記の定義を満たし ているのかも知れない。よりよい生き方を模索するものかも知れない。生徒指 導とは教育そのもののような思いもする。

 しかし現場で目常的に、現実的に「生徒指導」といえば、否定的なマイナス のイメージが先立つのが正直なところではないか。規範を犯すものなど問題行 動を起こす者に注意することによって引き起こされるトラブルに悩んでいるの が現場の声である。もちろん問題行動を起こさせない、あるいは未然に防ぐ取 組もあるが。

 定義の中の自己指導能力の育成という言葉には興味を引かれる。自己指導能 力とは何だろう。兼田ら(2002)の研究によるとrその時、その場でどのよう な行動が適切か自分で考えて決めて実行する能力」とし、児童生徒は、社会の 一員として他者との関わりの中で生きていかねばならない。(中略)自覚、認 識、意欲、態度を培うことである。このねらいを実現させるために、他の意人 の主体性を大切にしながら、自分の主体性を大切にする自己指導能力の育成 が不可欠であるとしている。

生徒指導資料第20集 文部科学省著作刊行物(1988)

「問題行動を未然に防止する新たな視点に立った生徒指導に関する研究」兼田ツヤ子・織田明・吉賀恵里香

自己指導能力とは、まさに「生きる力」といってもいいかも知れない。

 目指すべきはそういうことではあるが、実際問題としての日々の問題行動に 手をやいている教師にとって対処療法と言われようが、せっぱ詰まった生徒指 導は、その解決法を模索するのである。そして根本的な問題解決への取組へと 続いていく。いや対処療法的指導と防止的、さらによりよい生き方を目指した 指導は同時並行で行われるべきものであろう。

 さて、現場で教師を困らせている問題は対教師暴力であり、いじめであり、

不登校であり、学級崩壊であり、多々ある。それを一っずっ取り上げ、方法を 探っていくのが、本研究の目的でないのでそこまではしないが、現場で教師が 苦悩している事柄を挙げて、そこから共通して見えてくるエッセンスのような ものを探ってみたい。以下は厳密なものではないがよくあることではあると思

われる。

表4−3  学校内でよくあること 事  柄

挨拶ができない 無断欠席 遅刻 忘れ物

ベル着ができない 私語

居眠り

返事ができない ノートを取らない 授業中の立ち歩き 冷やかし

無反応 無視 暴言 悪ロ

ガム、菓子類 いじめ

いたずら いやがらせ 物を隠す

「おやよう」の挨拶、立つことさえできない。

連絡もなく何人かいない。話の途中で入ってくる。

提出物を集めても持ってきている方が少ない。

ベルが鳴っても立ち歩いている、教室にいない。

関係のない話、休み時間の雰囲気を引きずっている。

何回起こしても寝てしまう。

指名しても返事さえ返さない。

ノートを取るよう待っていても鉛筆も握らない。

当然のごとく友人の所に物を借りにいたり等する。

人の発言に対して茶化したりする。

指名しても無表情で何の反応を示さない。

意識的に眼中にないと関わりを拒絶する。

筋の通らぬ乱暴な言葉で威嚇する。

気に障ることを大抵は本人のいないところで言う。

休み時間や時には授業中でさえ口を動かしている。

個人的、集団的の言葉や暴力で個人攻撃をする。

大概が許せない行為で間接的な攻撃。

いたずらの程度の悪いものでしっこいもの。

靴や本、文房具類を隠し迷惑を掛ける。

学校内でよくあること

教喧恐窃喫工器賭落 師嘩喝盗煙ス物け書

事  柄

暴    ケ破事き カ    一損      プ

不要物を持ち込む 服装違反

頭髪違反(茶髪等)

保健室から出ない 掃除をさぽる

注意をした教師などに肩を突いたり蹴ったり殴る。

暴力で意志を通そうとする。喧嘩は対等関係である。

暴言や暴力で金品を奪う。

盗み。特に万引きが多いが罪の意識が希薄である。

トイレ、体育館裏、時に教室で挑発的に煙草を吸う。

休み時間に校内外に抜けだし、授業を受けない。

特に多いのがガラス、スイッチ等の破壊行為。

トランプ等ゲーム類でお金を賭けて遊ぶ。

机、椅子、壁等に書いたり、彫ったり。人権に関することも 多く、荒れていく前兆でもある。

ゲーム類、菓子類などトラブルの元になったりする。

通学服に手を入れ変形する。ワンポイントや色など 最も煩わしい問題である。

一昔前の眉毛に前髪がかからないとかいった問題ではなく、

色初め、脱色、そり込みを入れる、モヒカン、パーマ等、親 も許可しているなどやっかい。

授業が始まっても教師へ行こうとしない、すぐに調子が悪い と行きたがる。見極めが難しい。

終学活が終わると逃げるように、部活動に行ったり下校する。

居ても何もしようとしない。

表4−4 学校外でよくあること 事  柄

不登校 喧嘩 いじめ 恐喝 窃盗

無免許運転 飲酒

喫煙 賭け事

要因は様々であるが、学校に行かない、行けない。

他校間との暴力事件など。

呼び出して、手先として使ったりする。意図した仲間はずれ 個人、グループで暴言や暴力で金品を奪う。

盗み。特に万引きが多いが罪の意識が希薄である。

バイクの二人乗り、ノンヘルメット運転が多い。

自動販売機などからビール、酒、酎ハイ等の飲酒。

部屋、公園等で煙草を吸う。

友人宅でゲーム等における賭け事