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第4節 反応(行動)

表4−6  認知の仕方で変わる心身の反応

肯定的認知 否定的認知

良い反応 悪い反応

・目に力がみなぎる ・よく眠れなくなる

・免疫力が上がる ・酒量が増える

・血行が良くなる ・ミスが目立ってくる ・体(動き)が軽くなる ・欠勤、遅刻が増える ・声に張りがある ・ケガ、事故が増える

(病気) ・表情が明るくなる ・体がだるくなる

・食欲が湧く ・免疫力が下がる

・機敏な反応ができる ・病気になりやすい

・姿勢がよくなる ・動悸がする

・活動的になる ・嘔吐がある

・その他 ・その他

・やる気が湧く ・やる気がでない

・充実感が湧く ・不平、不満が多くなる

・気分がいい ・責任感が乏しくなる

・すがすがしい ・自信がなくなる

・何事も前向きに捉える ・取り越し苦労ばかりしている

(感情) ・余裕を持って人に接する ・怒りっぽくなる

・何事にも感謝の念が持てる ・表情が乏しくなる

・落ち着いた言動がとれる ・セカセカ、イライラが増える

・自信が育っ ・浪費、借金が増える

・より質の高いものを目指す ・服装がだらしなくなる

・ストレスを楽しめる ・気が大きくなり、よく喋る

・何事も肯定的にとらえる ・孤独感に満ちる

・幸福な気持ちになる ・全てが無意味に思える

・優しい気持ちになる ・何事にも消極的になる

・理性的に振る舞える ・強迫観念にとらわれる

・建設的に物事に取り組める ・何事も否定的にとらえる

・その他 ・その他

 この否定的反応がバーンアウトにつながっていく、これは過剰なストレスか ら引き起こされるもので、次にその一般的な症状について触れることにする。

4−3 様々な反応(2)過剰なストレスから引き起こされる症状

 第2章でストレスにっいて述べたように、軽度のストレスは人間にとって大 切なものである。それは意欲、充実感、達成感等につながり幸福感に至る。

 まったくストレッサーの無い環境をつくり、そこで過ごしてもらう実験をし たところ、精神不安や集中力低下、記憶力の低下につながったそうだ。ストレ スのない環境というのは、無臭、適温、ノイズの無い1 いうことらしいが、そ の実験の信頼性を議論する以前に、想像することは難しくない。我々にとって 適度なストレスは必要なものであり、ストレスが無いようにと努力すること自 体があまり意味を持たない。ストレスはあって当たり前から始めるべきだ。

 しかし過度のストレスは非常に怖い症状を生み出す。これは避けなければな らないことである。それでは一般的に過度のストレスが引き起こす症状とはど んなものか下記に述べてみる。

心身症と神経症

神経症もしばしば身体症状を伴うので心身症との鑑別が困難であると言うこと であるが、辞書的意味では下記のようになる。

【心身症】  大辞泉

精神的・心理的要因から起こる、身体的な症状および疾患。胃潰瘍・高血圧

・皮膚炎など。

【神経症】  大辞泉

心理的な原因によって起こる心身の機能障害。精神病にみられる人格の障害 がなく、自分は病気だという意識がある。不安神経症・心臓神経症・強迫神経 症・心気症・ヒステリーなど。ノイローゼ。

表4−7心身症と神経症の違い

抱えているストレスに気づかない、過小評価する 心身症 体の不調となって現れる

身体症状が比較的特定の器官に限られる 自律神経の失調やホルモンの異常で起こる

見方を変えれば、病気でないこともあり、過大評価する 神経症 不安、恐怖、くよくよ気に病む

身体的訴えも多彩にわたる

注:夏目誠・中島一憲(2001)「教職員のためのメンタルヘルスハンドブック」参照

 東京の三楽病院精神神経科の症例から見ると、教師の場合の割合は、うつ病 が約4割、神経症・心身症が約3割、その他の病気が約3割となっているそ

うで、うつ病、神経症・心身症で約7割あるのは教師という仕事の厳しさを物 語っている。それが不適応から来るものか、不適格から来るものか定かでない が、現場復帰のプログラム、研修も工夫されているが、復帰できる者は多くは ない。その症状にならないための努力といち早く気づくことも、早期発見早期 治療ということで大切になる。一般的に次のような、病気、症状は知っておく

べきだろう。

      「教職員のためのメンタルハンヘルスドブック」(2001〉

  4−8 ストレスからくる 々な症    兵庫県教職委口会公立学校共済組合兵庫支部

       心身症 ・症 

①循環器系

 本能生高血圧症 レイノー病 神経性狭心症 期外収縮その他の不整脈、など

②消化器系

 消化性潰瘍 慢性胃炎 過敏性大腸症候群 心因性食欲不振 胃アトニー、など

③骨、筋肉系

 慢性関節リュウマチ 痙性斜頸 書痙 外傷性頸部症候群 チック、など

④呼吸器系

 気管支喘。昆、過呼吸症候群 神経性咳漱 、など

⑤神経系

 偏頭痛 筋緊張性頭痛 自律神経失調症 冷え性、など

⑥内分泌代謝系

 糖尿病 尿崩症 心因性多飲(渇)症 甲状腺機能充進症、など

⑦泌尿器系

 夜尿症 遊走腎 神経性頻尿 性不能症、など

⑧皮膚系

 神経性皮膚炎 円形脱毛症 多汗症 慢性ジンマシン、など

⑨その他

 耳鼻咽喉科(メニエール症候群など)眼科(眼精疲労など)産婦人科(月経困難症な  ど) の言令 の疾患

①神経症

 不安神経症 強迫神経症 ヒステリー ヒポコンドリー

②不眠症

 入眠障害 途中覚醒 早期覚醒 熟眠障害、など

③慢性疲労感

 筋肉痛 身になり 肩こり など

       症的症

       孟一     宝

離人症 反応性抑うつなど

①能率低下、注意集中困難

②不適応行動 (やっ当たり孤立断絶など)

③情緒不安定 (イライラ緊張しすぎ落ち着かないなど

④弱気行動

⑤消極的、不活発な行動 6無 欠

      認知・、鳳   宝

①知的機能低下(計算ミス ちぐはぐな受けこたえぼんやりしているなど)

②思考歪曲(誤解曲解ひがみなど)

③非生産的思考(無意味なことを考える同じ事を繰り返して考えているなど)

④優柔不断(意志決定ができないあれこれ迷いが多いなど)

夏目誠・中島一憲(2001)「教職員のためのメンタルヘルスハンドブック」

4−4 様々な反応(3)その他

 こうしてみてみると、我々の病気というものは、大概がこころの疲れから来 ているように思える。確かにビールス、ウィルスと病原菌もあるのだが、体の 免疫力が下がっているときに、抵抗力がないわけで病気になりやすい。

 「病は気から」というのは単なる精神論、気休めではなく、本当に言える ことなのである。夏目・中島(2001)はうつ病について次のように述べている。

(1)うつ病

気分と感情の病気である「うつ病」は精神神経科を訪れる患者の約4割を占め ると言われるが、その要因によって3種類に分けられる。これを総称して「抑

うつ状態」と呼んでいる。

ア)内因性うっ病 脳内の神経伝達物質に異常が起きる

 積み重なったストレスなどがきっかけで脳内の神経伝達物質(ト㌧バミン)

 の働きが悪くなって起こる。気分の高揚低迷が現れるのが躁欝病である。

 神経伝達をよくする薬物療法がよく効く。

 几帳面で完全主義の傾向にある人が陥りやすい。

イ) 反応性うつ病 環境要因による

  理想と現実のギャップ等など喪失感から、いつまでたっても復帰できず   抑うつ状態から抜け出せなくなった状態である。

  昇格、異動、退職など環境の変化に弱く、心の中で葛藤を起こしやすい   人が陥りやすい。喪失体験をふり返り、正常な「喪の作業」を完了する   ことで直ることにつながる。

ウ) 性格性うつ病 性格要因による

  教師として不適格な性格である場合、要するに教師の資質の問題である。

  共感性に乏しく、内閉的で冷たく硬いタイプ、感情的に不安定で自己愛   的タイプ、思考の万能感に縛られているタイプは一般的に教師に向かな   いと言われる。冷静に自己をふり返り、自分にとって教職が適材適所な   のかを考える。職種が変わって、水を得た魚のように元気になることも

  ある。

うつの状態を見極め、それに合った治療法でないと効果は望めない。

(2) パニック障害

 これまで「不安神経症」と呼ばれていた病気が1980年から診断名として D SM一皿で「パニック障害」と変わった。名前が変わったのは、これまで心 理的原因とばかり思われていたものが生物学的要因による可能性も高いと考え

られるようになったからであるらしい。不安を感じたり、安心したりするのは

脳の神経伝達物質(ノルアドけリン、セロトニンなど)の働きによる。そう考えると内因

性うつ病の一種にも思われるが、ある目突然始まり、検査しても原因が分から ないという。それだけに人にその苦しみが理解してもらえない。過呼吸症候群

と似ているが別の病気で、ほっておくとうつ病へとなっていく。様々な書物も 出版されているので、知っておく必要もあるが、早めに医者に診てもらう。

(3)摂食障害

児童生徒にも多いが、一般に拒食症と言われている。過度なダイエットなどか らふつうの食生活ができなくなり、拒食と過食を繰り返すことになる場合が多 い。認知障害が起こっているので、他者の栄養管理には目が向くが、自分には 向かない。「いい子」「いい人間」を演じ続けるのに疲れて発症する場合もあ るようである。

(4)統合失調症

「精神分裂病」のことで、2002年より正式に「統合失調症」とよばれるよ うになった。進学、就職、結婚、出産、転居などのライフイベントをきっかけ に発症することが多く、幻想や妄想にとらわれる。悲しい場面で大笑いするな

ど、思考や感情、行動にまとまりのないのが特徴である。

(5)依存症

ある対象物への依存をやめられない病態を言う。仕事や暴力、買い物、ギャン ブルなどの行為も対象で、幼児期に、母にやさしく抱かれた実感を欠いている ために起こると考えられている。

 ア) アルコール依存症      イ) カフェイン依存症  ウ) 薬物依存症         エ) ニコチン依存症

 依存症とパニック障害は不安を紛らわすために量が増えていくので大いに 関係がある。控えることである。

渡辺 登(2003)「パニック障害 心の不安はとり除ける」講談社