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化粧品メーカーでの検証

第 8 章 分析結果の統合

8.1 word2vec で企業名から得られた製品名の検証

8.1.4 化粧品メーカーでの検証

分析の対象とした資生堂、花王、コーセーという企業名でword2vecの分析よって得られ た製品名と出現数、Rを、ブランドイメージ調査の資生堂、花王、コーセーで得られた思 い浮かぶ製品と比較したのが表8-10である。

資生堂でword2vecからも、ブランドイメージ調査からも得られた製品名はマキアージュ

であった。ブランドイメージ調査から得られた製品名は他にツバキ、クレ・ド・ポー ボー テ、エリクシールなどが現れている。特にツバキは回答件数が8件とマキアージュの9件 と大きな差はない。花王ではword2vecからも、ブランドイメージ調査からも得られた製品 名はソフィーナとビオレで、word2vecの抽出結果とブランドイメージ調査の結果が一致し ている。コーセーではword2vecからも、ブランドイメージ調査からも得られた製品名はエ スプリークである。ブランドイメージ調査の結果にだけ現れているのは雪肌精、ヴィセで、

特に雪肌精は11件で、コーセーの無回答を除いた回答では50%以上の割合を占めている。

100 5.3.2で述べた①の段階の処理。

101 サッポロホームページ ニュースリリース 「20030711日 初体験のスッキリ[生]『サッポロ Draft One』(ドラフトワン)新発売」

<http://www.sapporobeer.jp/news_release/search/index/year_2003/pageID_3#results> 2016921 日アクセス。

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表 8-10 word2vec抽出結果とブランド調査の思い浮かぶ製品名比較 【化粧品】

化粧品については個別の製品(ブランド)の売り上げや順位を統計資料として得ること ができなかった。そこで、各社の主力製品がどのような製品であるかを、各社の決算短信 や文献から調べてみる。

資生堂は2005年以前には100以上のブランド(製品名)群があったが、2005年以降、

それを6つの「メガブランド」に経営資源を集中的に投下する戦略をとった102、これを川 島はメガブランド戦略と呼んでいる(川島,2010)。6つのメガブランド、つまり資生堂の主 力製品をメーキャップのマキアージュ(2005年8月発売)、男性用化粧品のウーノ(2005 年8月発売)、スキンケアのアクアレーベル(2006年2月発売)、シャンプー・リンスのツ バキ(2006年3月)、メーキャップのインテグレート(2006年8月発売)、スキンケアの エリクシール シュペリエル(2006年9月発売)としたのである。

102 日本経済新聞「資生堂、戦略6ブランド育成、ドラッグ店向け拡販、売上高1600億円めざす。」2006 615日付朝刊,p.15。

※    は他社製品・無回答等     は一方にしか出現しない

wordvec2  「資生堂」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 資生堂

類義語 出現数 R(コサイン類

似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント

ソフィーナ 5 0.500031763 マキアージュ 9 20.5

MAQuillAGE 5 0.497571188 ツバキ 8 18.2

ASIENCE 3 0.462656597 クレ・ド・ポー ボーテ 2 4.5

エリクシール 2 4.5

その他の製品名 7 15.9

他社製品 3 6.8

無回答 13 29.5

wordvec2  「花王」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 花王

類義語 出現数 R(コサイン類

似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント

ソフィーナ 7 0.534105390 ソフィーナ 13 29.5

ビオレ 3 0.513987650 ビオレ 6 13.6

ASIENCE 4 0.492862619 リセッシュ 1 2.3

その他の製品名 6 13.6

製品カテゴリー 1 2.3

他社製品 1 2.3

無回答 16 36.4

wordvec2  「コーセー」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 コーセー

類義語 出現数 R(コサイン類

似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント

エスプリーク 3 0.593330582 雪肌精 11 25.0

コフレドール 4 0.550361872 ヴィセ 3 6.8

ソフィーナ 8 0.541331500 エスプリーク 2 4.5

MAQuillAGE 5 0.535544586 その他の製品名 3 6.8

Precious 3 0.529612879 製品カテゴリー 1 2.3

est 3 0.490752578 無回答 24 54.5

ASIENCE 3 0.458901336

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花王の平成24(2012)年12月決算短信103を見ると重点ブランドとしてカウンセリング 化粧品のソフィーナ プリマヴィスタ、コフレドール、オーブ クチュール、セルフ化粧 品のケイト、スキンケア製品のビオレが挙がっている。特に、ソフィーナは2006年にカネ ボウ化粧品を花王グループに編入するまで、花王の化粧品事業の主たるブランドであり、

平成17(2005)年3月期の決算短信104までは事業の種類別セグメント情報では「化粧品(ソ フィーナ)事業」とし、洗顔料やシャンプー・リンス、衣料用や台所用洗剤などの「家庭 用製品事業」、業務用食用油脂などの「工業用製品事業」と分けていた。つまり、花王にと って「化粧品=ソフィーナ」であったわけである。なお事業の種類別セグメント情報は平 成18年3月期105にこれを「化粧品」と改め、平成20年3月期106に「当期セグメント別の 動向」の「事業別業績」としてコンシューマープロダクツ事業とケミカル事業に大別し、

コンシューマープロダクツ事業をビューティーケア事業、ヒューマンヘルス事業、ファブ リック&ホームケア事業に再編成している。コフレドール、ケイトは花王グループに編入 されたカネボウ化粧品の製品であるため、ここでは考察から除外する。

コーセーの平成25(2013)年3月決算短信107を見ると、主力ブランドを雪肌精とエスプ リークとしている。

表 8-11 2003年~2012年 化粧品メーカー記事検索

103 花王決算短信 平成2412月期 (2012/04/01-2012/12/31)

<http://www.kao.com/jp/corp_ir/imgs/results_fy2012_all.pdf> 2016924日アクセス。

104 花王決算短信 平成173月期 (2004/04/01-2005/03/31)

<http://www.kao.com/jp/corp_ir/imgs/results_fy2004_all.pdf> 2016924日アクセス。

105 花王決算短信 平成183月期 (2005/04/01-2006/03/31)

<http://www.kao.com/jp/corp_ir/results_fy2005.html> 2016924日アクセス。

106 花王決算短信 平成203月期 (2007/04/01-2008/03/31)

<http://www.kao.com/jp/corp_ir/imgs/results_fy2007_all.pdf> 2016924日アクセス。

107 コーセー決算短信 「平成253月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

<http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1054400> 20169月24日アクセス。

マキアージュ 57

ツバキ 51

ウーノ 17

エリクシール 23

アクアレーベル 9

インテグレート 11

ソフィーナ 89

アジエンス 50

オーブ 22

ビオレ 64

エスプリーク 24

雪肌精 21

ヴィセ 17

1)網掛けはword2vec、アンケートに無い製品名。

2)日経テレコンでの検索結果の記事数。

コーセー 628

会社名による検索 会社名+製品名による検索

資生堂 2,319

花王 2,282

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表8-11は2003年1月1日から2012年12月31日までの日本経済新聞の記事を、日経 テレコンを使って企業名と製品名で絞り込んで検索した結果の記事件数である。網掛けは

word2vecの抽出結果からもブランドイメージ調査の結果からも得られなかった製品名であ

る。資生堂のエリクシールは同社の他のマキアージュなどと比べると、記事の件数が半分 以下である。そこで、ここでは各社の製品の中で記事数の多かった資生堂のマキアージュ とツバキ、花王のソフィーナとアジエンス、ビオレ、コーセーのエスプリークと雪肌精を 売れ筋製品として、word2vecで得られた製品名の考察をおこなう。

資生堂でword2vecからも、ブランドイメージ調査からも得られた製品名はマキアージュ

であった。マキアージュは前述したように売れ筋製品なので、word2vecから得られるのは 当然であろう。ブランドイメージ調査からだけ得られたツバキは表8-11のように、記事数 としてはマキアージュと同じくらいである。なぜツバキがword2vecから得られなかったの であろうか。

前述したようにマキアージュとツバキは2005年から2006年にかけて新たに発売された 製品である。表8-12はツバキが発売された2006年の日本経済新聞の記事を、日経テレコ ンを使って資生堂とツバキで絞り込んで検索した結果である。ツバキのブランド立ち上げ と、その成功に関する記事がほとんどである。次に表8-13は分析対象期間の最後の2年間

(2011年、2012年)の日本経済新聞の記事を表8-12と同じように日経テレコンを使って 資生堂とツバキで絞り込んで検索した結果である。13件の記事のうち6件(網掛け部分)

が海外市場の記事である。発売からわずか6、7年で記事の内容が大きく変化している。こ のことがツバキという製品に関する記事表現の特徴を曖昧にし、word2vecから得られなか ったのではないかと推測する。表8-14は表8-13と同じように、分析対象期間の最後の2 年間(2011年、2012年)の日本経済新聞の記事を、日経テレコンを使って資生堂とマキア ージュで絞り込んで検索した結果である。マキアージュの記事には海外市場に関する記事 は全く見当たらず、マキアージュの製品についての記事が多くみられる。このことから、

売れ筋であっても、ある一定期間内において、ツバキのように、その製品に関する記事の 内容が大きく変化した製品名はword2vecからは上手く抽出できないようである。

図8-9は資生堂の決算短信108から作成した同社の2006年3月期から2013年3月期の国 内化粧品事業とグローバル事業、その他の売上高の推移を表すグラフである。国内化粧品 事業の売り上げは減少傾向で、逆にグローバル事業の売り上げが大きく伸びていることが わかる。このような海外へシフトを強めた経営戦略の変化がツバキの記事には表れている のではないかと推測する。

108 資生堂の決算短信については参考文献を参照。

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表 8-12 ツバキでの2006年新聞記事検索結果

表 8-13 ツバキでの2011-12年新聞記事検索結果

見出し&掲載日 洗髪剤とスキンケア化粧品、資生堂が新ブランド。

2006年1月26日付 日本経済新聞 朝刊 35ページ

資生堂ヘアケア新ブランド、表参道ヒルズに6女優、宣伝費50億円投入。

2006年3月31日付 日本経済新聞 朝刊 35ページ シャンプー市場、資生堂首位に、4月10-16日シェア。

2006年4月26日付 日本経済新聞 朝刊 13ページ

つばき油配合のシャンプー話題、石川由紀子さん(旬の人)

2006年5月15日付 日本経済新聞 朝刊 19ページ ユニリーバ、ヘアケア製品、発売を前倒し。

2006年6月8日付 日本経済新聞 朝刊 12ページ

資生堂、戦略6ブランド育成、ドラッグ店向け拡販、売上高1600億円めざす。

2006年6月15日付 日本経済新聞 朝刊 15ページ

ユニリーバ、ヘアケア製品前倒し発売、販促で資生堂に対抗。

2006年7月4日付 日本経済新聞 朝刊 35ページ

特集――資生堂社長前田新造氏、ブランド作り巧みに(日経フォーラム世界経営者会議)

2006年9月4日付 日本経済新聞 朝刊 26ページ

資生堂、ヘアケア首位に、今年シェア15.4%→23%に拡大。

2006年12月29日付 日本経済新聞 朝刊 10ページ

見出し&掲載日 資生堂、「ツバキ」来春全面刷新。

2012年11月20日付 日本経済新聞 朝刊 12ページ 資生堂、主力品、ネットで先行販売。

2012年6月15日付 日本経済新聞 朝刊 31ページ 資生堂、創業140年記念オイル、明治の製品、現代風に。

2012年5月23日付 日本経済新聞 朝刊 31ページ

アジア向け商品、開発速く――ライオン、都内に研究所集約、資生堂は現地化急ぐ。

2012年5月2日付 日本経済新聞 朝刊 10ページ 資生堂「ツバキ」、テレビCM、中国全土で。

2011年11月12日付 日本経済新聞 朝刊 9ページ

高級ブランド、中国シフト、日米欧の低迷補う――ヴィトン、バーバリー。

2011年10月8日付 日本経済新聞 夕刊 1ページ

高級ヘアケア品、中国市場に投入、資生堂の「ツバキ」。

2011年9月15日付 日本経済新聞 朝刊 13ページ

頭皮ケアで髪から若く、美容室でマッサージなど、女性の需要広がる。

2011年8月10日付 日本経済新聞 朝刊 27ページ

ユニ・チャームや資生堂、内需企業も海外主力に、3年後に売上高逆転。

2011年7月21日付 日本経済新聞 朝刊 1ページ 資生堂、五島列島産ツバキ油、ヘアケア商品に採用。

2011年7月16日付 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ TSUBAKI、ロシア市場投入、資生堂、アジア外で初。

2011年5月20日付 日本経済新聞 朝刊 13ページ

特集――日本経済新聞電子版、仕事や趣味、一歩先行く視点。

2011年5月15日付 日本経済新聞 朝刊 25ページ 資生堂社長に末川取締役、国内立て直しへ12歳若返り。

2011/01/13 日本経済新聞 朝刊 9ページ 1)網掛けは海外関連の記事。