第 8 章 分析結果の統合
8.1 word2vec で企業名から得られた製品名の検証
8.1.3 ビールメーカーでの検証
分析の対象としたアサヒ、キリン、サントリー、サッポロという企業名でword2vecの分 析によって得られた製品名と出現数、Rを、ブランドイメージ調査のアサヒ、キリン、サ ントリー、サッポロで得られた思い浮かぶ製品と比較したのが表8-9である。
92マツダホームページ「カーラインナップ」,
<http://www.mazda.co.jp/cars/> 2016年9月20日アクセス。
93ホンダホームページ「カーラインアップ」,
<http://www.honda.co.jp/auto-lineup/?from=pulldown> 2016年09月20日アクセス。
94トヨタホームページ「カーラインナップ」,
<http://toyota.jp/carlineup/> 2016年9月20日アクセス。
日産ホームページ「カーラインアップ」,
<http://www.nissan.co.jp/CARLINEUP/?sclisid=LS_TIJ_99_GO_GLIS_00279303> 2016年9月20 日アクセス。
95 高木(2007)などを参照。
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アサヒでは第三のビール(新ジャンル)のクリアアサヒとビールの製品名であるスーパ ードライがword2vecから得られたアサヒの製品名にも、ブランドイメージ調査で得られた 製品名にも現れている。しかし、逆に、word2vecでもブランドイメージ調査でも、アサヒ で得られた製品名はこのクリアアサヒ、スーパードライだけであった。ブランドイメージ 調査ではスーパードライが41件(93.2%)と圧倒的で、クリアアサヒの回答は1件であ った。
キリンではビールの製品名である一番搾りとラガーがword2vecから得られたキリンの 製品名にも、ブランドイメージ調査で得られた製品名にも現れている。word2vecからだけ 得られたキリンの製品名は第三のビールの製品名であるのどごし(生)、チューハイの製品 名である氷結で、ブランドイメージ調査でだけ得られた製品名は発泡酒の淡麗(生)であ った。
サントリーではビールの製品名であるモルツ、ザ・プレミアム・モルツ、第三のビール の製品名である金麦がword2vecから得られたサントリーの製品名にも、ブランドイメージ 調査で得られた製品名にも現れている。ブランドイメージ調査だけで得られた製品名の角 はウイスキーの製品名である。角はサントリービールではなく、同じサントリーグループ のビーム サントリーの製品 であるが、サントリーという企業の歴史 を考えると、思い浮 かぶ製品として現れても不思議はない。
サッポロではビールの製品名である黒ラベルがword2vecから得られたサッポロの製品 名にも、ブランドイメージ調査で得られた製品名にも現れている。word2vecからだけ得ら れたサッポロの製品名は第三のビールの製品名であるドラフトワン、ブランドイメージ調 査からだけ得られたのはビールの製品名であるヱビスと黒生であった。
word2vecから得られた製品名ではアサヒはクリアアサヒ、キリンはのどごし(生)、サ
ッポロはドラフトワンと、第三のビールの製品名がサントリーを除く3社におけるそれぞ れの自社の製品名では最もRの値が高かった。図8-7はここで考察している4社にオリオ ンビールを加えた5社のビール・発泡酒・第三のビール(新ジャンル)の2005年から2015 年の出荷数量の推移である。
2005年から2013年までビールと発泡酒の出荷数量は下降し続けているのに対して、第 三のビール(新ジャンル)の出荷数量は上昇し続けている。絶対量としてはビールの数量 が多いが、市場の動きとしては第三のビールが活発である。このことがword2vecから得ら れた製品名の中で第三のビールの製品名が3社のそれぞれの製品名の類義語の中では最も Rの値が高かった理由であろうと推測できる。
8.1.2の自動車メーカーの考察でword2vecから得られた製品名の類義語は売れ筋の製品
の製品名であるとしたが、売れ筋の製品とは単に販売金額、あるいは販売数量が多いだけ でなく、数量が伸びている製品、大きく市場を変化させている製品の製品名とも言えよう。
逆に、ブランドイメージ調査で得られた各社の思い浮かぶ製品がビールに集中しているの は出荷数量が多いからであろうと推測する。
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表 8-9 word2vec抽出結果とブランド調査の思い浮かぶ製品名比較 【ビール・酒類】
※ は他社製品・無回答等 は一方にしか出現しない
wordvec2 「アサヒ」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 アサヒ
類義語 出現数 R(コサイン類
似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント
クリアアサヒ 4 0.603131250 スーパードライ 41 93.2
ドラフトワン 4 0.596190497 クリアアサヒ 1 2.3
スーパードライ 10 0.594512898 無回答 2 4.5
金麦 3 0.570766886
ザ・プレミアム・モルツ 5 0.565216172
のどごし 4 0.552446418
モルツ 4 0.528336577
一番搾り 6 0.527742376
黒ラベル 6 0.506601294
wordvec2 「キリン」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 キリン
類義語 出現数 R(コサイン類
似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント
ドラフトワン 4 0.588719040 一番搾り 25 56.8
のどごし 3 0.559653024 ラガー 14 31.8
氷結 3 0.559646547 淡麗 2 4.5
一番搾り 9 0.558568017 その他の製品名 1 2.3
黒ラベル 4 0.542797074 無回答 2 4.5
スーパードライ 10 0.540542138
ザ・プレミアム・モルツ 5 0.531719846
ラガー 4 0.526566401
wordvec2 「サントリー」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 サントリー
類義語 出現数 R(コサイン類
似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント
モルツ 3 0.563778877 プレミアムモルツ 21 47.7
スーパードライ 6 0.553668201 モルツ 14 31.8
ザ・プレミアム・モルツ 7 0.547565243 角 1 2.3
ドラフトワン 4 0.545104906 金麦 1 2.3
金麦 3 0.544028123 その他の製品名 3 6.8
一番搾り 4 0.538722068 他社製品 1 2.3
黒ラベル 4 0.530860335 無回答 3 6.8
wordvec2 「サッポロ」2003年~2012年類義語(製品名) ブランドイメージ調査 自由回答 サッポロ
類義語 出現数 R(コサイン類
似度1回平均) 代表的な製品名 度数 パーセント
スーパーブルー 2 0.605268806 黒ラベル 25 56.8
ドラフトワン 4 0.605100542 ヱビス 8 18.2
スーパードライ 5 0.550340497 黒生 4 9.1
黒ラベル 8 0.544697084 その他の製品名 1 2.3
氷結 3 0.520044764 製品カテゴリー 1 2.3
ザ・プレミアム・モルツ 4 0.515884459 他社製品 3 6.8
無回答 2 4.5
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図 8-7 大手5社のビール・発泡酒・第三のビールの出荷量推移
図8-8は2005年から2015年の各社の主要製品の出荷数量96を企業別のグラフにしたも のである。
96 ビール系飲料の販売実績(出荷数量)については、下記の記事にある表「主要ブランドの販売数量(実 績)」「大手5社ビール系飲料出荷数量」から作成した。
日経MJ(流通新聞)「ビール系飲料、出荷11年連続減、ビールは19年ぶり増、昨年シェア、キリン・
サントリー拡大。」2016年1月18日付,p.11。
日経MJ(流通新聞)「ビール系、アサヒが首位、昨年5社出荷1.5%減、最低を更新、『第三』は初のマ
イナス。」2015年1月19日付,p.11。
日経産業新聞「ビール系、縮小止まらず、大手5社、9年で16%減――景気浮揚も市場厳しく(DATA ナビ)」2014年1月17日付,p.16。
日経産業新聞「ビール系出荷、過去最低、大手5社、昨年1%減、サントリーは健闘。」2013年1月17 日付,p.17。
日経産業新聞「11年ビール系出荷3.7%減――アサヒ・サントリー、キリン・サッポロ。」2012年1月 18日付,p.18。
日経産業新聞「ビール系出荷、昨年2.8%減、下位勢シェア伸ばす――サントリー、サッポロ。」2011 年1月18日付,p.16。
日経産業新聞「ビール系飲料、09年、出荷量最低――ビール6%減、第三は21%増。」2010年1月18 日付,p.20。
日経産業新聞「アサヒ、我慢の首位、08年ビール系出荷量、8年連続トップ――キリン伸び悩み。」2009 年1月16日付,p.15。
日経産業新聞「12月のビール系飲料、第三のビールが健闘、出荷量7%増。」2008年1月18日付,p.18。
日経産業新聞「ビール5社、06年出荷量、2年連続で減少――夏の天候不順など響く。」2007年1月18 日付,p.20。
日経産業新聞「ビール大手5社、05年出荷量、2年ぶりマイナス――猛暑反動・年末寒波響く。」2006 年1月18日付,p.24。
1)日経MJ(流通新聞)など「大手5社ビール系飲料出荷数量」(2006-2016)から作成(脚注96参照)。
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1)日経MJ(流通新聞)など「主要ブランドの販売数量(実績)」から作成(脚注96参照)。
図 8-8 ビール4社の企業別主要製品出荷数量推移
アサヒはビールの売り上げで業界ナンバーワンのスーパードライとクリアアサヒである が、スーパードライの出荷数量は2005年から2012年まで下降を続けている。逆に、2008 年に新発売97となったクリアアサヒの出荷数量は、前述の図8-7の第三のビール(新ジャン ル)程ではないが、ゆっくりと上昇している。スーパードライは業界ナンバーワンの売り 上げ98で、企業名でword2vecから得られたRの値も他社のビール製品比べると高い(スー パードライ0.59、一番搾り0.56、モルツ0.56、黒ラベル0.54)。その点では8.1.2.4のマツ ダで考察したように、アサヒの第三のビールの製品がクリアアサヒ以外にない99という主た る製品の少なさがRの値の高さの要因の1つとも推測される。
キリンでは第三のビールののどごし(生)のRの値が最も高く、次にはチューハイの氷 結が現れている。氷結の出荷数量の推移は得られていないので除くが、ブランドイメージ 調査でだけ得られた発泡酒の淡麗(生)が現れていないだけで、それ以外はword2vecから 得られた結果と出荷数量の推移の上位の製品名は一致しているようである。またブランド イメージ調査にだけ現れた淡麗(生)よりも、word2vecだけに現れたのどごし(生)の方 が近年の出荷量は多い。
97 アサヒホームページ ニュースリリース 「2007年12月18日 新ジャンル『クリア アサヒ』 2008 年3月25日(火)新発売」,
<http://www.asahibeer.co.jp/news/2007/1218.html> 2016年9月21日アクセス。
98 図8-8「ビール4社の会社別主要製品販売数量推移」を参照のこと。
99 アサヒホームページ「商品情報」,
<http://www.asahibeer.co.jp/products/beer/> 2016年9月21日アクセス。
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000
2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年 出
荷 量( 万ケ ース
)
アサヒ製品の出荷数量推移
スーパードライ クリアアサヒ
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000
2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年 出
荷 量( 万 ケー ス)
キリン製品の出荷数量推移
一番搾り ラガー 淡麗(キリン)
のどごし(キリン)
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
出荷 量
(万 ケー ス)
サントリー製品の出荷数量推移
ザ・プレミアム・モルツ モルツ 金麦(サントリー)
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
出荷 量
(万 ケー ス)
サッポロ製品の出荷数量推移
黒ラベル エビス ドラフトワン(サッポロ)
麦とホップ(サッポロ)