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保護者懇談会を終えて

ドキュメント内 エッセー (ページ 106-109)

9月25日と26日に保護者懇談会を行った。初日は小学生部と中学数学のクラスの保護者を 対象として、そして2日目は高校数学の各クラスの保護者を対象として、私から塾の方針の説 明と近況報告をした後に質疑応答の時間を持った。有意義な時間が過ごせたと思ったが、冷静 に考えてみると、伝え切れなかったことも多かったし、お母さん達の質問によって初めて気付 かされるようなこともあった。それに何より参加率が50%程度で、来れなかったお母さん達も 多かったので、もう一度まとめ直しておこうと思う。

  懇談会では最近実施した数IAクラスにおける2次関数のテストの成績表を資料として準 備した。稲荷塾の単元別テストは、単元ごとの理解度をチェックし、クラス分けの判断材料に するためのものである。配点としてはテキストの復習ができていて基本的内容を理解していれ ば点数が取れる筈の問題が50点分あり、残り50点分は応用問題になっている。レベルはかな り高いと言える。また50点を基準点として、これ以上なら合格で基準点未満は不合格だが、同 じ不合格でもいろいろあるので説明しておこう。

 簡単のために40点から49点をA、30点から39点をB、20点から29点をC、10点から19 点をD、0点から9点をEとすると、テストによってクラス分けをする際に上のクラスは合格

者とA、B、Cの成績の者で、D、Eが下のクラスになることが多い。つまり基準点の半分ぐら

い取っていれば、「詰めは甘いものの、話には大体ついて来ている」と見ているということだ。

 Dはやるべきことをやっていない。ここでやるべきこととは、復習ノートを作ることと宿題 プリントをこなすことで、その上にテスト前にはテキストの問題を解き直すようにすれば理想 的だが、そういうことができていないとDのような点になってしまう。Eは授業自体について 来れていない。

 総じて不合格者は取り組みのどこかに甘さがあり、何らかの改善策を講じなければならない が、一番良いのは授業日以外にもう一回塾に来ることだ。そしてすぐに質問ができる環境で宿 題プリントの問題を解き、授業のポイントを再度確認してもらうということをしていたら勝手 に成績は上がって行く。そのために土曜日の演習時間が設けられているが、どうしても土曜日 の都合が悪いのであれば、小学生部の時間や中学数学の時間、及び金曜日の7時半までも利用 できるようになっている。いずれも利用料金は1回100円だから非常に良心的と言えるのでは ないだろうか。(自画自賛)

 さて数IAクラスに在籍している中2生の成績を見てみよう。全員で9人になるが、そのうち 合格者は1人で、Bが1人、Cが1人、Dが2人、Eが4人だ。さらに中1生を見ると、4人 中合格者は1人でCが1人、残る2人はEだ。中1、中2共に似たような分布になっており、

非常に優秀な子がいる一方、大半は苦戦している。

 もちろん合格点が取れる子が主流であってほしいが、苦戦している子も大丈夫だ。というの はこの表の中には去年も数IAの授業を受けていて、今年は数IIBを学びながらもう一度数IA のクラスにも来ている子が4人混じっていて、全員合格点を取っているからだ。昨年の問題と 今年の問題ではレベルこそ同程度になるようにしてあるが、全く別の問題なので、彼らが下調 べをして受けたわけではない。つまり彼らの実力がアップしたわけで、特に去年30点だった 子が今年は77点でトップになっていることは注目に値する。そうなるとまず表情が変わって 来る。去年は苦しげで自信がなさそうだった彼女が、今年は自信に満ちていて落ち着いた雰囲 気になっているのだ。その効果は数IIBでも表れ始め、前回の数列のテストでいい成績を取り 現在ベクトルの分野は上のクラスで受講している。去年Eだった2人も今年は何とか合格点を 取っている。

 当然のことながら、これで彼らの眠っていた才能が開花したというようなおめでたい話では ない。そうじゃなくて、彼らが勉強の仕方を身に付けたとういうことで、このことがとても重 要なのだ。このように通常より早い学年で高校数学に入ることができれば、2年続けて数IAを 学ぶといったような余裕のある学習をすることが可能だし、加えて学習の仕方自体も早い段階 で身に付けることができるというわけだ。ちなみに数IAを2年連続で受講する場合、2年目の 数IAに関する月謝は3ヶ月で5千円だ。何と良心的なのだろう! (自画自賛の2乗)

 中2以前から高校数学に入ることのメリットを述べて来たが、最大のメリットはまだほかに ある。仮に中2で数IAを学ぶとすると、中3で数IIB、高1で数IIIを学ぶことになり、高2 で演習レベル1のクラスに入ることになるが、この「高2で演習レベル1」がとてつもなく重 要だ。実は今年の高3生の中のエースは教育大附属の子で、高1で数IA,高2で数IIBと数III を学んで来た。非常に優秀な子ではあるが、高3になって初めて東大、京大レベルの問題で演 習をしてみた結果(演習レベル2)、まるで手が出ないし、説明しようにも入試のイロハの話が 通じないというところからのスタートになってしまった。その後の巻き返しには目を見張るも のがあり、現在猛追中だが、針の穴を通すようなコントロールで条件を整えて行かなければな らない状態だ。「高2で演習レベル1」を経て受験勉強に入るのと、それを抜きで高3になるの とでは決定的に違うスタートラインだということを知ってほしい。

 もう少し詳しく説明しておこう。演習レベル1の到達目標は阪大、神大の理系レベルだ。文 系だと東大、京大レベルに少しおつりがくっついて来る。これを通して入試における基本的な 知識と技術をマスターすれば、そこから東大、京大向けの受験勉強が始まるのだ。事実上東大、

京大の入試問題と神大の問題は全く違う問題だ。つまり神大では高校数学の基本的な知識と技 術を身に付けているかどうかを問おうとしているのに対し、東大、京大ではそれが身に付いて いることを前提にもっと別のことを問うて来ているのだ。そして一般的に言って神大から東大、

京大へのレベルアップには1年程度の時間がどうしてもかかってしまうのだ。だから高校に入っ てから高校数学を始める子が高校3年間で東大、京大レベルに到達しようと思えば、2つ3つ のことを同時にこなさないといけないので、本当に忙しいことになってしまう。結論としてそ ういう子は演習レベル1を経て高3を迎えることができないので、何らかの形でその不足を補 う努力をしなければならない。ひとつ考えられるのは、できる限り土曜日に来て演習レベル1 の問題の半分でもこなすことだ。もうひとつは理科の学習をどんどん進めることだ。はっきり 言って理科は学校のペースに頼っているようでは全く間に合わないのだ。理科の学習法につい ては「小さな数学塾のヒミツ」のp.74の「理科を制する者が勝利を掴む」を参考にしてもらえ ばいいと思う。

 演習レベル1を高2ですることのメリットの話から、そうすることができない子についての 話に話題がシフトして来たが、具体的には高1で数IAのクラス、高2で数IIBと数IIIのクラ スに在籍している子についてのことだと理解してほしい。中3で数IAのクラスに来ている子 については高1で数IIBと数IIIをやれば、高2で演習レベル1に入れるから大丈夫だ。この 数IIBと数IIIを同時にやることについては、それぞれに1年ずつかけるのに対して負担が大 きくなるのは当然だが、誰でもこなせるようにしてあるので安心してもらってよい。

 さて、塾のシステムや学習の流れについて説明して来たが、塾の変化と今後の展望について も書いておこう。資料の成績表に戻ると、合格者が12人で全体の約半数になっている。これま ではテストによって多少の変動がはあったものの、合格者の全体に対する割合は大体4分の1 程度だったことを考えると、これは塾のシステムが機能し始めて来ていることと、塾のレベル 自体も上向いて来ていることを意味している。近い将来、クラス分けの基準を「基準点」すな わち合格者と不合格者の境に設定できるようになるだろう。そして下のクラスがA、B、Cの メンバーで構成されるようになれば理想的だ。

 そういうことで塾は全体として上昇ムードの中にある。しかし最も発展しているのは小学生 部だ。この春、新年度を26人の生徒でスタートしたが、現時点で生徒数が42人になった。人 数が増えただけではなく、こういう子に来てほしかったと言えるような優秀な子が集まり始め ている。42人のうち17人は中1から高校数学に入れそうだし、そのうち2、3人は間違いなく 灘レベルの能力を持っている。このまま行くと、2、3年の内には選抜試験を実施しなければな らないようになるかもしれない。もしそうなれば益々レベルは上がって行くことになるだろう。

(2012年10月1日)

ドキュメント内 エッセー (ページ 106-109)